Case Study
仮想テープライブラリ(VTL)の導入で時間の節約を
成長を続ける企業にとって、データのバックアップとリカバリは深刻な問題だ。特にバックアップウィンドウが長引くと、通常業務に支障を来すことになる。その解決に仮想テープライブラリを採用した3社の事例を紹介する。
増え続ける一方のデータ量のせいで、飲料水メーカーのルイビル・ウォーター・カンパニーにとって、バックアップウィンドウは深刻な問題となっていた。同社は仮想テープライブラリを実装することで、それまでは週末だけでは足りないケースもしばしばだったバックアップウィンドウを、数時間にまで短縮することができた。
約1200人の企業ユーザー向けに30Tバイト以上のストレージを運営する小売企業リテールベンチャー(RVI)では、週末ごとのSANのフルバックアップに加え、毎晩2Tバイトのインクリメンタルバックアップを管理する必要に迫られていた。同社はファルコンストアのVTLを採用し、それまで7時間かけていたバックアップを、10件の仮想ジョブを実行することで1時間半程度で済ませられるようになった。
ERPソフトベンダーのエピコ・ソフトウェアは約3年前、老朽化しつつあるバックアップシステム「DLT 7000」の代替を選ぶ必要に迫られていた。当初同社は従来からのテープシステムの採用を検討していたが問題の多さを認識し、クアンタムのディスクベースのバックアップアプライアンス「DX30」を採用することに決定した。
増え続ける一方のデータ量のせいで、飲料水メーカーのルイビル・ウォーター・カンパニー(LWC)にとって、バックアップウィンドウ(バックアップが可能な時間帯)は深刻な問題となっていた。同社は仮想テープライブラリ(VTL)を実装することで、それまでは週末だけでは足りないケースもしばしばだったバックアップウィンドウを、数時間にまで短縮することができた。
EMCのシステムを導入――ルイビル・ウォーター
LWCではEMCの「Symmetrix 8830」を使用し、約10Tバイト(テラバイト)のローストレージがEMCのNASデバイス「Celerra 702G」のほか、3TバイトのBCV(Business Continuance Volume)と5つの標準ボリュームにプロビジョニングされている。また別のロケーションでは、同社は数Tバイトの容量を備える「Clariion CX600」とともに「Celerra 600G」を保守している。そのほかのインフラとしては、UNIXやWindowsのほか、IBMのAS400サーバ数台がさまざまに組み合わされ、約350人のユーザーにより利用されている。
「ときには、テープシステムのバックアップウィンドウを週末の間に完了できず、月曜午前中の就業時間にまでずれ込むこともあった」とLWCの情報技術担当ディレクター、トニー・グレゴリー氏は語っている。同氏の目標は、使用していたEMCのバックアップソフトウェア「Legato」を使ってバックアップウィンドウを短縮し、バックアップを整理統合し、テープの利用を削減することだった。
グレゴリー氏によれば、LWCがVTL用にEMCの「Clariion Disk Library(CDL)」を採用したのは、同社が既にストレージプロバイダーをEMCに統一していたことからすれば、自然な選択だったという。LWCはCelerra 702Gの購入と同時期にCDLを購入した。「実際、そのほかのVTL製品については評価プロセスすら行わなかった。われわれは、EMCがVTL製品を提供しているのを知っていたし、それで満足だった」と同氏は語っている。
またグレゴリー氏によれば、EMCのエンジニアは4時間以内でLWCの環境にCDLをインストールし、設定を済ますことができたという。同ユニットは既存のLegatoソフトウェアと正しく連携し、同ソフトウェアはCDLをテープライブラリとして認識した。「サーバで設定を幾つか変更しただけで、すぐに稼働させることができ、その夜にはもうデータのバックアップに利用できた」と同氏。
VTLへの移行は、バックアップとリカバリの効率に大きな影響を及ぼしている。グレゴリー氏はメリットを具体的な数値で示すことはできないとしているが、同氏によれば、一部の作業はそれまでかかっていた時間のほんのわずかで済むようになっているという。「以前は数時間から数日かかっていたようなリカバリ作業が1時間以下に短縮されている」と同氏は語っている。
ファルコンストアのVTLを採用――リテールベンチャー
約1200人の企業ユーザー向けに30Tバイト以上のストレージを運営する小売企業リテールベンチャー(RVI)では、週末ごとのSANのフルバックアップに加え、毎晩2Tバイトのインクリメンタルバックアップを管理する必要に迫られていた。ほかのデータセンターと同様、RVIもバックアップウィンドウとリカバリウィンドウの拡大という問題に直面し、一方では、災害に備えるためのオフサイトのデータストレージを必要としていた。同社のエンタープライズアーキテクチャ担当ディレクター、デニス・ムーア氏によれば、仮想テープ技術は従来のテープを補完する優れた技術だという。
ムーア氏には既にファルコンストア・ソフトウェアのソフトウェア「IPStor」を使っていたため、同氏はVTL技術にも迷わずファルコンストアを採用した。また物理テープライブラリには、オーバーランドストレージの製品を選択した。
ムーア氏によれば、性能の点では、書き込み速度は従来のテープと比べてそれほど大幅に改善されるわけではないが、VTLでは、個々のテープドライブにバックアップジョブを書き込むよりも効率的に複数のバックアップジョブをディスクにスレッド化できるため、実際の速度は改善される。例えば、大きめのバックアップジョブであれば、分断し、複数の仮想テープドライブに分散させることができる。ムーア氏はこれを「水平なスケーリング」と呼んでいる。VTLではテープドライブは「仮想」であるため、各ドライブとテープのコストが削減される。「1つのストリームでバックアップに7時間かける代わりに、今では10件の仮想ジョブを実行し、作業を1時間半程度で済ませられる」と同氏。
いったんVTLへの初期バックアップが完了すれば、その後、バックアップコンテンツをテープに複製してオフサイトストレージにできる。VTLはプロダクションネットワークとは切り離されているため、時間も人手も多い通常の就業日にコンテンツをテープにプッシュできる。最新のバックアップデータはVTLシステム上に残っているため、こうしたテープはいったんサイトを離れれば再びサイトに戻す必要はなく、緊急時の貴重な時間を節約できる。ムーア氏は特に、大きなテープライブラリと比べてVTLデータはアクセスしやすいという点が気に入っている。「ロード/アンロードがないため、その時間を待つ必要がない。上司のExcelスプレッドシートも驚くべき速さで復元できる」と同氏。
クアンタムのVTLを選択――エピコ
ERPソフトベンダー、エピコ・ソフトウェアのネットワークエンジニア、ピーター・ポポビッチ氏は約3年前、老朽化しつつあるバックアップシステム「DLT 7000」の代替を選ぶ必要に迫られていた。バックアップシステムが寿命に近づきつつあっただけでなく、同氏のバックアップウィンドウはしばしば、平日の就業時間にまでずれ込んでいた。「テープ当たりの容量が、われわれがバックアップしていたデータ量には十分でなかった」と同氏。目標は、市場で提供されている最新のバックアップオプションを再評価し、シマンテックの「NetBackup」を使って週末に2.5T~3Tバイトのデータストレージをバックアップできる“フォークリフトアップグレード”を選ぶことだった。またITスタッフには新技術を習得する時間はほどんどなかったため、新しいバックアップシステムにはターンキー型の製品を選ぶ必要があった。
ポポビッチ氏は当初、DLT 7000の代替として従来からのテープシステムを思い描いていたが、その後すぐに、テープの問題の多さを認識した。エピコは主としてHPのショップだが、同社はカリフォルニア州アービンのオフィスにクアンタムのディスクベースのバックアップアプライアンス「DX30」を採用することに決定した。クアンタムとエピコの社屋はすぐ近くにあり、その点が同社の決定で大きな役割を果たした、とポポビッチ氏は語っている。
「実際のところ、週末にバックアップするデータ量は2倍に増えつつあるのに、データのバックアップにかかる時間は3分の1程度に減っている」とポポビッチ氏。最初のインストール以来、1台目のDX30は拡張アレイでアップグレードされ、同社のサンディエゴのサイトには2台目のDX30が配備され、ミネアポリスのサイトには(拡張アレイとともに)3台目のDX30が配備されている。克服すべき最大の問題は、VTLをSANに適切にゾーニングし、関連のデバイスだけがDX30にアクセスできるようにすることだった。
エピコによるVTL技術の採用に特に革新的な要素はないが、ポポビッチ氏によれば、その点こそがVTLのメリットだという。「ほかの技術よりもDX30の実装を選んだ背景には、プロセスをできるだけ馴染みのあるものにしておきたいという気持ちがあった」と同氏。DX30の最もユニークな特徴はおそらく、ソフトウェア開発スタッフ向けに即席のバックアップを提供できる点だという。この機能のおかげで、テープなら必要となるであろう面倒な作業なしで、新しい仕事や変更を加えた仕事をオンデマンドで仮想的に保護できる。
(この記事は2006年3月10日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー