ベテランサイトマネジャーに聞くリスク管理
着々と進むGoogleの新データセンター建設
Googleが6億ドルを投じて建設中のデータセンターについて、サイトマネジャーとして同社がOracleから引き抜いたトム・ジャコビック氏にインタビューした。
Googleが6億ドルを投じて米ノースカロライナ州レノアに建設中のデータセンターは、2008年3月までに稼働を開始する見通しだ。データセンターの立ち上げに向けて、Googleはトム・ジャコビック氏をサイトマネジャーに任命した。
Googleに入社する前は、ジャコビック氏はOracleの戦術オペレーションディレクターを務めていた。同氏はキャリアを通じてIT推進業務に携わっており、米国空軍での現役勤務も経験している。同氏は現在も予備役にある。
ジャコビック氏にGoogleでの新しい仕事について電子メールでインタビューした。
―― どのようにしてデータセンター運用の分野に携わるようになったのですか。
ジャコビック わたしはデータセンター環境で15年以上働いています。最初はExodus Communicationsのネットワークエンジニアでした。同社でさまざまなデータセンターの業務を行い、関連技術を学びました。そうした積み重ねを経て、大規模データセンターの構築・運用管理に当たるようになりました。
―― Googleでの新しい仕事は、具体的にはどのようなものですか。
ジャコビック わたしはレノアの施設作りの監督と支援に責任を持ちます。施設が稼働したら、そのサービスとITインフラの可用性を保証するチームを統括します。また、このチームは社内技術者と連携して、レノアから提供する追加のサービスや機能を決定するとともに、われわれの施設とGoogleのほかの施設の相互依存を管理します。
―― Googleはプレスリリースであなたのことを、「IT課題を解決するリーダーとして名をはせている」と紹介しています。これまでを振り返って、大変な窮地に陥ってそれを切り抜けた経験はありますか。ほかのデータセンター責任者のために、差し支えなければお聞かせください。
ジャコビック ミッションクリティカルなデータセンターで働いている人は皆、重大な危機を経験しているものです。わたしは以前の職場で、NCAA(全米大学体育協会)バスケットボールトーナメントの期間中に大手スポーツ情報Webサイトにサービスを提供する責任者を務めたり、大手グリーティングカード会社をその書き入れ時のホリデーシーズンに担当したりしました。どちらのケースでも、サービスが不安定になったり、停止してしまったことがありました。
そうした状況で分かったのは、チームのメンバー全員を担当システムに精通させることの重要さです。わたしは、自分のチームの担当分野における保守とトラブルシューティングの力量を信頼していたため、チームを問題解決に集中させるとともに、顧客に冷静に説明を行い、どこに問題があるか、その解決のために何を行っているかを理解してもらうことができました。
―― Googleで管理しなければならないサーバの台数を既に見積もっていますか。また、それらを管理する用意はできていますか。
ジャコビック 最初の質問ですが、レノアの施設に入るサーバの台数は、受け入れる準備ができるまで分かりません。データセンターを建設して設備の検収を完了するまでのプロセスには、長い期間がかかります。その間に、Googleの提供サービスやそれらを支える技術は、必ず変わっていきます。その変化に応じて変わる規模やサポートの要件を考慮に入れて、担当するソリューションを用意することになります。今の段階では、サーバ台数はかなりのものになるとだけお答えしておきましょう。
2つ目の質問については、多数のサーバによって提供されるサービスの保守と最適化という課題に、わたしは対応できると確信しています。
―― Googleのデータセンターでのあなたの典型的な1日はどのようなものですか。
ジャコビック Googleに来て分かったことの1つは、ここでは、物事が決まりきったパターンで動いていくことがないということです。当初は、データセンター建設チームと連携して、施設の能力と課題の十分な把握を図るとともに、会社の方針を達成できるようにスケジュールどおりの進ちょくを確保することに、日々取り組むことになるでしょう。
また、わたしはエンジニアリングチームの協力を得て、われわれが提供するサービスにかかわる技術の把握を進めます。同時に、われわれが加わる地域コミュニティーとの会合に引き続き参加していきます。初期工事が完了したら、わたしは現地チームとともに、パフォーマンスの改善とシステムの保守を行います。また、サービス管理とサービス提供の効率を高める方法を検討していきます。
―― Googleは、2008年までにカーボンニュートラルになると公約しています。この計画はどのように実現するのですか。また、あなたは環境に配慮したデータセンターを運用した経験がありますか。
ジャコビック われわれの基本方針は、エネルギー効率を高めていくことです。再生可能エネルギーの活用、利用技術の開発、開発促進活動への参加を推進するとともに、これらではカバーされない環境影響の軽減に取り組みます。わたしの仕事はこの2番目の取り組み、つまりエネルギー効率の最大化にかかわっています。Googleの最も重要な環境対策の1つは、自社のコンピュータとデータセンターを省エネ化することです。これらのエネルギー効率を最大限に高めるとともに、さらに次のレベルに引き上げる方法を開拓していくつもりです。
また、既にわれわれは、環境に配慮したデータセンターの構築に向けて重要な措置を講じてきました。その建設に当たっては、用地造成から建築工事まで、できるだけリサイクルを目指しています。例えば、掘り出した岩や石を粉砕して建材の一部に用いたり、細断した新聞紙などのリサイクル材料を絶縁材に使ったり、既存の小川やその流域への影響を最小限にとどめるように建設プランニングを行ったり、といった具合です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー