ディザスタリカバリはリモートサイトのコントロールが鍵
CIOからのアドバイス──リモートサイトの災害復旧計画を策定するには
ただでさえなかなか目の届かないリモートサイトで、バックアップ/リストアの体制をきちんと敷き、ディザスタリカバリの仕組みを構築するにはどうすればいいのか?
わたしはいつの日か、自社のITを完全に支配する慈悲深い独裁者になりたいと願っている。確かにわたしは現在、IT部門の責任者ではあるが、ITを完全に支配しているわけではない。わたしの会社ではITがリモートサイトに分散するのに伴い、ITに対するわたしのコントロールが次第に低下しているのだ。リモートサイトで使用する機器を指定することはできるが、従業員がその機器で何をするのかをコントロールすることはできない。リモートサイトでITを利用するプロセスと手法を指示することはできるが、実際に何をしているのか監視することはできない。このことは、リモートサイトのディザスタリカバリおよび事業継続計画にも影響する。
例えば、あるリモートサイトの従業員(カールという名前だ)は、自分のことをITの達人だと勘違いしている。このため、このサイトでIT部門のサポートが必要な事態が発生しても、サービスデスクに電話がかかってこない。従業員たちはカールを呼ぶのだ。カールは“得意技”を発揮してサイトをシャットダウンさせてしまう。それからサービスデスクを呼び出し、助けを求めるのだ。わたしがいくら言い聞かせても、リモートサイトは最初にわれわれに連絡してこないのだ。もしわたしがITを完全に支配しているのであれば、慈悲深き独裁者としての権利を行使し、カールをさらし台の刑に処するのだが……。
ディザスタリカバリと事業継続は、わたしにとってリモートサイトの泣き所だ。現実を直視すれば、自社のプライマリデータセンターでさえもバックアップ/リストアの管理に苦労しているのに、リモートサイトの従業員がそれに対処できるはずがない。このため、ディザスタリカバリ・事業継続プロセスをできる限り単純化・簡素化して彼らに指示する必要があるのだ。
わたしはまず、自社のビジネスに絶対不可欠なリモートサイトのシステムとデータはどれなのかを考えることからスタートした。そこがわたしの注意を集中すべき部分である。というわけで、自社のシステムとデータを3つ(A、B、C)の大きなカテゴリーに分類してみた。
- Aシステム:ほんの数分間でもダウンすれば、自社のビジネスがリスクにさらされる
- Bシステム:数時間にわたってダウンすれば、自社のビジネスがリスクにさらされる
- Cシステム:長期にわたってダウンすれば、自社のビジネスがリスクにさらされる(自社のCシステムがダウンして6週間たってから、従業員が初めて気付いたこともあった)
わたしはデータセンターとリモートサイトのディザスタリカバリ・事業継続の計画とツールの照準をAシステムに合わせている。自社のシステムをこのように分類することで、リモートサイトのバックアップとリカバリのことを心配しなくて済むのだ──これほど楽なことがあるだろうか。
システムをA、B、Cのカテゴリーに階層化した後でリモートサイトにディザスタリカバリ・事業継続対策を提供する必要がある場合には、分かりやすい指示書を作成することにしている。この指示書には、バックアップ/リカバリ手順、障害発生時の連絡方法、顧客対策などを記載する。
わたしの会社の場合、指示書の作成に当たっては、最初にIT部門のスタッフまたはチームにドラフトを作成させる。説明を分かりやすくするために、図をふんだんに盛り込むようにしている。次に、IT部門のスタッフに指示書の手順を試させ、タスクを遂行できるかどうかチェックする。最初のテストで見つかった不備を修正した後で、従業員の1人に指示書通りの手順を実行してもらう。このテストが無事完了すれば、指示書を配布する。後は、何も問題が起きないように祈るだけだ。
さらに、1つのリモートサイトで障害をシミュレートさせることによって手順を検証することもある。ユーザーはバックアップデータにアクセスして業務を再開することができるか? 彼らが社内ネットワークとインターネットに接続できなくなるとどうなるか? 電話システムがダウンした場合に従業員同士および顧客との連絡をとれるのか? こういった2、3のシナリオを試すだけで、手順中の不備が見つかり、それらを修正できることが多い。
分類、文書化、検証──これが、リモートサイトでの障害復旧の可能性を高めるためにわたしが実施している対策だ。慈悲深い独裁者というわけにはいかないが、わたしに与えられた権限を有効に活用したいと思っている。
本稿筆者のニール・ニコライセン氏は、ユタ州サウスジョーダンに本社を置くHeadwatersのCIO兼副社長を務める。
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