グリーンデータセンター設計の最前線
データセンターの効率を上げるための5つのポイント
二酸化炭素排出量とエネルギーコストが急速に増大していることから、グリーンで効率的なデータセンターの実現は業界にとって急務だ。
現状のままでは、データセンターの温室効果ガス排出量は5~10年後に航空業界を上回り、2020年までに同業界の4倍にも達する見通しだ。データセンターの効率向上は、企業にとってかつてないほど重要になっている。効率的なデータセンター実現のための5つのポイントを紹介する。
ポイント1:エネルギー効率化
データセンターの効率向上の第一歩は、データセンターの全消費電力をIT機器の消費電力で割った値である「PUE(Power Usage Effectiveness)」を改善することだ。PUEは、データセンターの効率や“グリーン度”を示す指標として利用できる。最近の調査では「無駄のない設計が採用されており、測定データが定められていて前年比の改善が証明できる、PUEが低い(1.5~1.7)データセンター」は、グリーンな、あるいはエネルギー効率の高いデータセンターと分類できることが分かっている。
これに対し、効率の低いデータセンターは、PUEが2以上でレガシー機器が多く、測定による管理が行われておらず、非効率なコンポーネントで構成されているデータセンターだ。
ポイント2:PUEの低減
PUEの低減を目指す企業にとって重要なのは、外部効率、内部効率、ユーザー効率の3つに重点を置くことだ。
企業は、消費電力とPUEをKPI(重要業績指標)とし、これらを継続的に改善することを目指さなければならない。それに当たっては、米国Uptime Institute、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)、Green Gridが策定したガイドラインに沿って取り組むとよい。
消費電力やPUEの監視によって効率の変動を追跡し、経営上層部に報告することは、効率化への取り組みに対する意識の喚起と支持の獲得につながる。それによって、業務効率の最適化が促進されるとともに、改善を要する、あるいは状況に応じて繰り返し適用する必要があるデータセンターの技術とプラクティスが明確化される。こうして、企業にとって効果的なグリーン化の手法が整備されていく。
ポイント3:設計
優れた設計が設備投資の削減や効率の向上につながるのは意外なことではない。だが、優れたデータセンター設計とはどのようなものなのか。効率化とグリーン化を共に実現できることが分かっている1つのモデルは「モジュラー設計」の考え方だ。
モジュラーデータセンター設計は、サービスを中断せずに将来の拡張が可能である点がユニークだ。
ポイント4:運用の合理化
米国McKinsey and CompanyとUptime Instituteによる最近の調査では、運用効率を高めるための5つの重要なステップが明らかにされている。
それによると、最初のステップは「遊休サーバを一掃する」ことで、これによって効率が10~25%上がる。第2ステップは「仮想化の活用」で、これは25~30%の効率アップにつながる。第3ステップは「古い設備の更新」で、これによる効率向上は10~20%となる。第4ステップは「新規サーバ需要の抑制」で、これによって効率が10~20%高まる。第5ステップは、「よりグリーンで電力効率の高いサーバを導入し、省電力機能を利用する」ことで、これによる効率アップは10~20%に相当する。
企業はこれらのステップで、65%に上る全体的な効率向上、そしてPUEの大幅な改善を期待できる。
ポイント5:ユーザーサービス
データセンターの効率化に当たっては、ユーザーの支援も重要だ。効率的なデータセンターを実現するには、エネルギー効率化対策に関する専門的サポートを提供し、この対策のベストプラクティスを浸透させる必要がある。
データセンター担当者はユーザーに、革新的なホット/コールドアイル設計のような冷却や省エネルギーの手法について、いつでもアドバイスを提供できなければならない。
データセンター担当者は、効率測定・分析ツールを利用し、最新手法で効率評価を行い、その結果に応じて対応策を策定、実施するとともに、測定値とその評価をユーザーのCSR(企業の社会的責任)目標と整合させることを求められる。必要な専門性を備えていなければ、データセンター担当者にとって、ユーザーが求める効率向上を達成するのは困難だ。
まとめ
グリーンで効率的なデータセンターは実際に実現可能だが、二酸化炭素排出量とエネルギーコストが急速に増大していることから、業界にとってその実現は急務だ。
企業は、特に測定について足並みをそろえて取り組まなければならない。ベンダーはすべての機器に、消費電力を生産性と比較して評価できる標準的なメーターを搭載するようになるだろう。エネルギーを浪費しているかどうか分からなければ、浪費をなくすことはできないため、こうしたメーターは必須だ。
しかし、企業を後押しする責任があるのはベンダーだけではない。データセンタープロバイダーは、効果的な業界標準と評価枠組み、データセンター設計、運用効率化のステップ、すべての顧客のIT効率向上の支援を先頭に立って推進しなければならない。
はっきりしているのは、電力供給業者からラックメーカーまで、業界全体が効率向上に協力し、効率的なグリーンデータセンター設計の最前線を切り開いていく必要があるということだ。
本稿筆者のレックス・クアーズ氏は、欧州全域でデータセンターサービスを提供するオランダのInterxionのデータセンター技術・エンジニアリング担当副社長。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー