言葉だけではないIBMの本気度
クラウド関連パートナーを巧みに取り込むIBMの中堅市場戦略
IBMが従業員数1000人以下の中堅市場でのシェア拡大を目指し、ビジネス分析およびクラウドコンピューティング関連のパートナー向けインセンティブを発表した。
米IBMは、中堅市場のITプロバイダーとして覇者の座に就くことを渇望しており、もう何年もそのことについて語っている。
そのための模索は、2011年2月15日に米国オーランドで開催されたIBM PartnerWorld Leadership Conference 2011でも見られた。同カンファレンスにおいてIBMは、中堅市場でのIBMのハードウェア、ソフトウェア、サービスのシェア拡大を図る目的で、ビジネス分析およびクラウドコンピューティング関連のパートナー向けインセンティブを発表したのだ。
しかし、従業員数が1000人以下の企業がIBMにどれほどなびいているかは不明だ。IBMは市場セグメントごとに収支を計上していない。
IBMと米Microsoftのパートナーである米Micro Strategiesの営業・マーケティング担当副社長で、カンファレンスに参加したレイ・スカーデリ氏は、中堅企業向け製品に関してIBMは本当に進歩を遂げたと話す。同氏は、中でもIBMの「Storwize V-7000」の機能とパッケージを特に高く評価している。Storwize V-7000がなければ米Dellまたは米Hewlett-Packard(HP)とそのパートナーに流れていたであろう契約を、Micro Strategiesは勝ち取ることができたという。
Micro StrategiesではV-7000ストレージと新しいIBM Power Systemsサーバを自社のテクノロジーソリューションセンターに導入し、顧客が評価できるようにしている。
「ディザスタリカバリやグローバルミラーなど、この規模の企業が目にしたことのないテクノロジーのデモンストレーションが可能だ。IBMの新製品を使えば競合に太刀打ちできるし、これまで提供していなかったセキュリティやコンテンツ管理機能について、今までとはまったく違う話を顧客とできる」とスカーデリ氏は語る。
それでも、多くの中堅(および小規模)企業にとって、IBMは筆頭に挙がるITプロバイダーではない。
米Kusnetzky Groupの創業者でアナリストのダニエル・クズネツキー氏は「中堅企業と話をすると、(ハードウェアについては)IBMよりもHPやDellが話題に上ることが多いが、これは現状を物語っている」と指摘する。
言葉だけではないIBMの本気度
同様に、サーバソフトウェアとミドルウェアについては、ほとんどの中堅企業が無条件にMicrosoft製品を採用すると思われる。しかし、IBMはこの様相を塗り替えようと、競合製品に競り勝つためにパートナーのインセンティブを充実させ、戦略分野でのマージンを引き上げている。
米Avnet Technology Solutionsの上級副社長兼IBMソリューション部門の統括マネジャーを務めるフレッド・クエン氏によると、IBMはVAR(付加価値リセラー)に他のテクノロジープロバイダーを見限らせるようなインセンティブを巧みに提供しているという。
ソフトウェアリセラーには、販売機会の発掘で10ポイント、再販で10ポイントのマージンが提供され、さらにCloud Computing Authorizationを取得すると通常の割引に加えて15ポイントのマージンが提供されると、IBMのISV&デベロッパー事業推進 戦略/先進ビジネス部長、デイブ・ミッチェル氏は明かす。これは、かなり魅力的なマージンだ。
また、IBMの経営陣は、IBMの製品を導入し、収益をもたらす多数のパートナーの必要性についても正しい見識を示している。
IBMのサム・パルミザーノCEOは、コストが最も掛からないソリューションを提供することよりも、パートナーが生き残れるかどうかがIBMにとってはるかに重要な価値だと訴える。同氏はこのカンファレンスにおいて約1500社のパートナーを前に「IBMと提携することで、差別化が可能で(中略)、収益性、マージン、キャッシュフローを改善できる。提携しない場合は、2015年にはこの場にいないだろう」と断じた。
IBMのソフトウェア事業を率いるソフトウェアおよびシステムグループの上級副社長、スティーブ・ミルス氏によると、IBMは最も同社に忠実なパートナーに報いるよう最善を尽くすという。「IBMでは、(最高のパートナーに)最高のマージンを提供できるよう腐心している。その見返りとして、パートナーはIBMユーザーに最高のソリューションをもたらすものと期待している」とミルス氏は語る。
クラウドコンピューティングの到来で、インフラストラクチャの開発および保守に必要なテクノロジーを多数持つエンタープライズベンダーが、中堅企業市場への進出に弾みを付けることができる可能性があるが、それには適正な価格設定が前提だ。
米調査会社O’Kelly Associatesの創設者であるピーター・オケリー氏は、中堅企業が使用できる「安価で“十分に使える”クラウドベースのサービスは多数ある」と指摘する。つまり、米OracleやIBMなど大手のエンタープライズIT企業は、テクノロジーを開発するだけではなく、中小企業でも歓迎されるような価格を設定する必要がある。
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