VMware vSphere Tips
VMware vSphereで仮想マシンの信頼性を向上させる方法
仮想マシンの信頼性を向上させる機能として、VMware HAやVMware FTの他、MSFC(Microsoft Failover Cluster)におけるクラスタ構成、ロードバランサーを利用した負荷分散などの方式について紹介する。
1.VMware HAとVMware FT
VMware vSphereでは、仮想マシンの信頼性向上のためVMware HAとVMware FTが用意されている。VMware HAは、VMware ESXi/ESXホストで障害があった際、仮想マシンを別のVMware ESXi/ESXホストで起動させる機能である。従来、クラスタ構成はクラスタソフトを利用して煩雑な設定をする必要があったが、VMware HAによって簡単な設定でクラスタを利用できるようになった。クラスタ構成のハードルが下がったことで、多くのユーザーが導入している。
一方でVMware FTも、従来は特殊なハードウェアを組み込んだフォールトトレランスサーバを購入する必要があったフォールトトレランス(FT)機能を、通常のハードウェアとVMware vSphereの組み合わせで実現できるようにした、FT導入のハードルを下げる有用な機能である。ただし、現行VMware FTでは、サーバ間の同期用に10GbpsのNIC(Network Interface Card)が推奨されていて、仮想マシンへ割り当てられる仮想CPUリソースにも1CPUという制限があるため導入には注意が必要である。
2.VMware HAでのデータ保護について
VMware HAでは、仮想マシンが他VMware ESXi/ESXサーバで再起動する際、OSが再起動するため、障害発生時直前のトランザクションおよび保存されていないデータを復元できない。そのため、ダウン直前のデータまで保持してほしいという要件にはVMware HAでは対応できない。従ってVMware HAは素早く復旧できるコールドスタンバイレベルの冗長構成といえる。それ以上の冗長レベルを要求するシステムは、「MSFC(Microsoft Failover Cluster)」などのアプリケーションレベルのクラスタ製品を使う必要がある(参考:VMware環境でのMicrosoft Cluster Serviceのセットアップについて)。ただしVMware vSphere上で共有ストレージを使用したMSFCを構成する場合、共有ストレージはFC(Fibre Channel)接続の必要があるなど、仕様上の制限があるので導入製品ごとに注意が必要である。
また、最近はサードパーティーからVMwaer vSphere上で仮想アプライアンスとして動作するロードバランサーが提供されている。Webサーバの冗長化などの場合は、仮想アプライアンス型ロードバランサーの下に仮想マシンを複数配置し、負荷分散と冗長化を実現する方法も有効だ。
信頼性向上関しては、安易にVMware HAに頼るのではなく、アプリケーションの特性および顧客要件に合わせて適材適所で採用していただきたい。
後藤 覚(ごとう さとる)
日立情報システムズ 金融・産業事業本部 Vソリューション推進本部 設計部所属
2002年入社。2008年からサーバ統合を中心とした仮想化に係わっており、現在は仮想基盤をベースとしたサーバ統合、シンクライアント案件の計画~設計、構築、運用を担当するSEをしている。
ちなみに趣味はスノーボードとドライブ。
取得資格
VMware認定技術者:VCP(VMware Certified Professional)
マイクロソフト認定ソリューション デベロッパー:MCSD(Microsoft Certified Solution Developer)
Hitachi Storage Solutionsスペシャリスト
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
VMware vSphere Tips
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
IBM iは生かすもの 捨てすぎない「脱レガシーシステム」が注目される理由
-
3
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
4
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー