プライベートクラウドを成功へ導く4つのステップ(後編)
ハイブリッドクラウドを視野にプライベートクラウド戦略を固める
プライベートクラウドはすぐに導入できるものではない。その理由の1つに、既存のハードウェアのライフサイクルがある。また、コストメリットと安全性の確保も考慮すべき課題だ。
前編「プライベートクラウド導入に向けたIT資産の考え方」では、プライベートクラウドの定義とプライベートクラウドで必要なコンポーネントについて紹介した。後編では、プライベートクラウドを構成するハードウェアと、プライベートクラウドのプラットフォームについて紹介する。
ステップ3:ホワイトボックスのアプローチによる仮想化をやめる
現在では大手メーカーから、コンバージドインフラストラクチャという新タイプのハードウェアが提供されている。このハードウェアはモジュラー型であり、追加モジュールを組み込んでキャパシティーを増やすだけで、コンピューティングパワー、ストレージ、ネットワーキングスループットを簡単に追加できる。また、メーカーは仮想化のためにこのハードウェアをコントロールできる管理ツールをバンドルしている。
モジュール型データセンターの関連記事
このように、ハードウェアメーカーが製品を仮想化プラットフォームとしてパッケージ化していることは、プライベートクラウドにおいて重要な意味を持つ。このパッケージ化により、管理者はプライベートクラウド戦略の中で、VMのリソース利用の最適化を推し進めることができる。ストレージはサーバとともに動作し、サーバはネットワークを介してやりとりする。これら全てが連係することで、仮想ワークロードがシームレスに処理される。
今ではこれらの技術のパッケージが提供されているが、それらをクラウド戦略にすぐに取り入れることができるとは限らない。自社のハードウェアの更新サイクルによっては、こうした新しい機器をデータセンターに導入するまでに数年かかる可能性もある。今の時点でできることは、それに備えて計画を立てることだ。
それはなぜか。われわれは10年前、「ホワイトボックスサーバをゼロから自作するのはとても楽しいかもしれないが、インフラの規模が拡大すると、構成がそれぞれ違うサーバは管理しきれなくなってしまう」ということを学んだ。今からコンバージドインフラストラクチャの導入計画を立て始めなければ、データセンター全体で同じ失敗を繰り返すのは必至だ。コンバージドインフラストラクチャが提供されるようになる前は、さまざまなベンダー製の部品を組み合わせてホワイトボックスサーバを自作するように、それぞれ異なるベンダー製のサーバ、ストレージ、ネットワーク機器を自ら組み合わせ、仮想環境を構築しなければならなかった。しかし、このアプローチのままでは、自社のニーズに合わせて柔軟に規模を拡張していくことができない。
ステップ4:ITサービスを適切なプラットフォームで提供する
クラウドコンピューティングのメリットを実現するには、セキュリティへの不安と、コントロールを失うことへの不安を克服する必要がある。
プライベートクラウドは、ITサービスが、理にかなうあらゆる場所で柔軟にホスティングされる将来の環境への第一歩になる。ITサービスを自社のデータセンターでホスティングすることが理にかなう場合もあれば、他社への委託により、パブリッククラウドでホスティングされる方が理にかなう場合もある。
この2つの方法を橋渡しするのが、進化する一連の技術、具体的には通信の安全確保、情報の保護、ハイブリッドクラウド実現のための技術だ。クラウドサービスベンダーや仮想化プラットフォームベンダーは、これらの技術を使った製品の現在および将来のビジョンを企業に提案できるようになってきた。彼らはそれらを盛り込んだ本格的な製品をようやく投入し始めたところだ。企業はこうした製品の今後の成長を把握し、それらを適材適所で導入して、ITサービスの提供に利用していく必要がある。
ハイブリッドクラウドの関連記事
プライベートクラウド定着への道のりは意外に近い
薄いプラスチックカードが、商品やサービスの安全な購入決済メカニズムになるわけがない──。そう思われていたのはそれほど昔ではない。クレジットカードは、一連の数字が刻印され、磁気ストライプが付いているにすぎず、決済手段としてすぐには信頼されなかった。
だが今では、われわれは信頼しきっており、クレジットカードで買い物をすることに何のためらいもない。それと全く同じように、IT分野でも今後、クラウドへの信頼が高まっていくはずだ。その信頼の対象の1つがプライベートクラウドであり、より不安視されてきたパブリッククラウドも、信頼の向上という点で大きく後れを取ることはない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[オーティファイ株式会社] AIでコーディングは加速したのにテストはそのまま? いまQAに必要な進化とは -
事例
[オーティファイ株式会社] QAで開発サイクルを遅延させない 8社の事例に学ぶ「テスト工程」の課題解決策 -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
9割が頓挫する「AI内製化」 差がついたのはツールより設計力
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
-
6
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
7
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
8
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
9
「ネットワークインフラの現状と課題」に関するアンケート
-
10
「有線LAN環境」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー