Wi-Fiの範囲外に出ても業務アプリ利用可能
Hotspot 2.0入門:Wi-Fi網と携帯電話網の統合
Wi-Fi網と携帯電話網の間でトラフィックをシームレスにローミングするHotspot 2.0。その実現のための動向を紹介する。
独Deutsche Telekomの最高技術責任者(CTO)であるオリビエ・ボージャール氏は9月に開催されたBroadband World Forumで基調講演を行い、いよいよWi-Fi網と携帯電話網の統合を実現する機が熟したと宣言した。
その根拠とは? モバイルトラフィックの90%は実際には家庭や職場から発生しており、屋外にいるユーザーによるものは約10%程度にすぎないという。それならば、オフィスやどこか近所のコーヒー店にいるユーザーのトラフィックは、最適化されたWi-Fi網にオフロードできるようにすべきではないだろうか?
Deutsche Telekomをはじめ、ネットワークの混雑の解消方法を模索しているキャリア各社にこう尋ねれば、「その通りだ」との答えが返ってくるだろう。オフィスから地元のコーヒー店まで歩いていく程度の移動であれば、携帯電話網とWi-Fi網をシームレスにローミングできるようにしたいと考える大手企業の多くも同じだろう。
だがほとんどの場合、この2つのネットワーク間のシームレスなローミングは実現していない。なぜなら、Wi-Fi網はログインごとに認証を行わなければならないからだ。「Hotspot 2.0」はそうした状況を一変させることを目指している。
Hotspot 2.0とは?
Hotspot 2.0はユーザーのサインオンや認証をあらためて行わなくても携帯電話網とWi-Fi網間でトラフィックをシームレスにハンドオフできるようにすべく、業界団体のWi-Fi AllianceとWireless Broadband Association(WBA)が共同で開発したもの。ホットスポットのログインを自動化するための技術は何年も前からベンダー各社が開発しているが、そうした取り組みはどれもバラバラに進められており、ほとんどは相互互換性がない。
Hotspot 2.0は新たに承認された「IEEE 802.11u」プロトコルを用いて、対応する端末とアクセスポイント(AP)間の通信を可能とする。それにより、自動ネットワーク検出、アクセス許可、プロビジョニングを実現する。
802.11u対応のモバイル端末は通信キャリアのプロフィールとネットワーク設定ポリシーをローカルに保存する。そして802.11u対応のAPを見つけると、端末はAccess Network Query Protocol(ANQP)を使ってクエリを送信し、ホットスポットで利用できるキャリアやローミングパートナー、EAP認証などの情報を求める。一方、802.11u対応のAPはGeneric Advertisement Service(GAS)を使って、モバイル端末とキャリアネットワーク内のサーバ間に通知プロトコルフレームのレイヤー2トランスポートを提供する。その後、APはサーバのレスポンスを端末に戻し、適合した場合には、ユーザーを自動的に認証して接続する。
プロビジョニングプロセスではさらに、QoS(Quality of Service)マッピングが可能だ。無線レイヤー2優先度へのDSCP(DSコードポイント)マーカーのマッピングを端末ごとに行うことで、エンド・ツー・エンドのQoSが容易になる。
なぜ企業はHotspot 2.0に関心を向けるべきか?
多くの企業は、個人所有の端末や会社支給の端末の急増に対処したり、音声や動画など各種のマルチメディアアプリケーションを配信したりするのに最適な無線LANを構築したいと考えている。だがモバイル端末の急増への対応が急がれる中、企業は会社敷地内の携帯電話の受信状態を改善し、その一助にしたいとも考えている。そのためには、Wi-Fi網と3G/4G網間のシームレスなローミングが必要だ。さらに敷地内のWi-Fiの受信範囲を携帯電話網にまで拡張し、アプリケーションを使用中のユーザーがオフィスを離れても接続が途切れることのないようにできれば、なおさら便利だろう。
Hotspot 2.0は現在、試験運転が行われている。Hotspot 2.0認証テストベッドは2012年に提供される見通しだ。
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