モバイルWi-Fiホットスポットの企業利用【前編】
業務用スマートフォンをWi-Fi接続させる方法
スマートフォンの普及で急成長が期待されるモバイルWi-Fi市場。業務活用をする際に役立つ情報を紹介する。
2010年初めから2011年半ばまでの約1年半で、モバイルホットスポット製品が急速に増えた。米NovatelによるモバイルWi-Fiルータ「MiFi」の発売がきっかけだ。モバイルWi-Fiホットスポット関連市場は、今後数年間で数百億ドル規模に達する見通しともいわれている。こうした急成長の大きな原動力となるのは一般消費者だろうが、企業もモバイルWi-Fiホットスポットの利用拡大に大きく関係するだろう。モバイルワーカーに仕事をしやすい環境を提供するとともに、加入している携帯電話サービスを有効活用するためだ。
企業がモバイルWi-Fiホットスポットを必要とする理由
通常のWi-Fiホットスポットは、特定の場所(ホテルのロビー、カフェ、ビジネスセンターなど)をカバーし、Wi-Fi対応のコンピュータや携帯電話のユーザーにインターネットアクセスを有料または無料で提供する。しかし、こうしたホットスポットは見つけにくい場合がある上、ユーザーはそこにとどまっていなければならない。結局、コーヒーショップでiPadを使っているワーカーは、ラテを飲み終えてタクシーに乗ったら、ネットワーク接続を維持することはできない。
こうした場合でも接続を維持できるように、モバイルホットスポットデバイスの多くは、固有のモバイルブロードバンド(3Gまたは4G)サービスがセットで販売されている。例えば、iPadは、3GとWi-Fiの両方に対応するモデルが用意されているが、3Gサービスを使う場合、使用状況に応じて月額15~25ドルの料金が掛かる。また、外部または内蔵USB 3Gアダプターにより、ノートPCやNetbookで3Gネットワークが使えるが、この場合も3Gプランを契約する必要がある。従業員がこの両方のデバイスを携帯する場合、会社は2つの3Gサービス契約について料金を支払うことになる可能性がある。従業員がさらに3G携帯電話も携帯すると、3つの契約について支払うことになりかねない。
モバイルWi-Fiホットスポットでは、3G/4GとWi-Fiのいいとこ取りができ、1台のモバイルブロードバンドデバイスで提供されるインターネット接続を、数台のWi-Fiクライアントで共有することが可能だ。ほとんどのモバイルホットスポットは3~5つのWi-Fi接続をサポートしている。これなら、インターネットアクセスが必要なデバイスを複数持っているワーカーにとっても申し分ない。また、モバイルWi-Fiホットスポットは、同僚同士や家族同士でインターネットアクセスを共有して共同作業をするのにも利用できる。ただし、1つの3G/4Gアカウントで使える帯域幅には制限があり、この点は注意が必要だ。
モバイルWi-Fiホットスポットの有料の選択肢
NovatelのMiFi(図1参照)は、広く成功した初のパーソナルモバイルホットスポットかもしれないが、モバイルホットスポットは、MiFiや、カナダのSierra Wirelessの「AirCard」、米Cradlepointの「PHS300」といった類似デバイスだけに限らない。これらのハードウェアベースのモバイルホットスポットは、ソフトウェアベースのモバイルホットスポット、特に、スマートフォンによるホットスポットとの競争に直面している。
専用ハードウェアによるモバイルホットスポットデバイスは、ポケットサイズで長時間駆動し(例えば、1回の充電で連続通信時間が4時間など)、数台のWi-Fiクライアントを手軽にインターネットに接続できるように設計されている。ボタンを1回押せばすぐに使える。しばらく使わないと、スリープ状態に移行するため、バッテリーの消費電力を節約できる。キャリアは、デイパスプランや、データ量に応じたプリペイドプラン、月額料金プランといった3G/4Gプランを提供している。
一方、スマートフォンによるモバイルWi-Fiホットスポットは、韓国SamsungのGalaxyシリーズのようなデュアルモード(3G+Wi-Fi)スマートフォンで所定のアプリケーションを動作させたものだ(図2参照)。このアプリケーションが起動すると、スマートフォンのWi-Fi接続がクライアントモードから「softAP」モードに変わり、数台のWi-Fiクライアントからのトラフィックが、スマートフォンのモバイルブロードバンド回線に転送される。
ホットスポットとして使っているときは、スマートフォンを自宅や会社の無線LANに接続できない。3G音声通話を受けられるかどうかも分からない。しかし、ホットスポットアプリケーションを終了すれば、スマートフォンは通常の機能に戻る。スマートフォンをホットスポットとして使うオプションが3Gまたは4Gサービスに含まれている場合もあるが、ほとんどのキャリアは、このオプションの利用料として月額10~20ドルを課金している。
モバイルホットスポット専用デバイスは、スマートフォンのバッテリーを消耗させたり、インターネット利用と音声通話の受信を同時に行う機能を妨げたりしない。一部のモバイルホットスポット専用デバイスでは、SDストレージを利用でき、少数のアプリを実行できる。例えば、米AT&TのMiFi 2372(100ドルのリベート後で49.99ドル)では、GPS対応のGeoSearchやGeoWeatherというウィジェットなど、MiFi OSに対応するアプリが実行できる。だが、モバイルホットスポット専用デバイスは汎用コンピューティングデバイスではなく、Wi-Fiクライアントをインターネットに接続する機能に最適化されている。
スマートフォンベースのモバイルホットスポットでは、加入しているデータプランによる接続を他のWi-Fiクライアントでも活用できる。モバイルホットスポット専用デバイスを忘れずに携帯(あるいは充電)する必要もない。1台のデバイスを有効活用するという観点から見ても、スマートフォンははるかに多くの用途に使える。多種多様なアプリを実行できるからだ。しかし、ほとんどの場合、スマートフォンをモバイルホットスポットとして使うには、追加料金を支払わなければならない。また、スマートフォンをモバイルホットスポットとして使うと、使用帯域幅が、3G/4Gプランで設定されている上限に達しやすくなる。さらに、超過料金が発生しないように月々の使用帯域幅をリアルタイムに近い形で追跡するのが困難になる。
後編では、Windows 7搭載Netbookをモバイルホットスポットとして使う方法や、企業に適したモバイルホットスポットソリューションについて取り挙げる。
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