標準ツールでは足りない!? サーバ仮想化の運用管理【第3回】
物理/仮想の混在環境で、シンプルに視覚的な運用管理を実現するNEC WebSAM
NEC WebSAMの仮想化対応機能、クラウド環境に求められるシステム運用の機能に対応した製品を紹介する。ユーザビリティとアクセシビリティを向上させる使いやすいユーザーインタフェースが特徴だ。
メインフレームやUNIXのミッションクリティカルな領域で培ってきたノウハウをWindows/Linuxが稼働するIAサーバでも利用可能にしたNECの統合運用管理ソフトウェア製品群「WebSAM」。製品ラインアップは、システムの構成要素をインフラレベルで管理するシステムマネジメントの領域から、システムを自動化して運用を効率化するオペレーションマネジメント、システムの運用サイクルを管理して改善を支援するコーポレートマネジメントまで幅広く用意されている。
仮想環境には、サーバ仮想化が普及し始めた時期にいち早く対応した。現在はクラウドサービスを提供するデータセンター事業者向けのパック製品まで用意されている。機能面では、競合するサーバベンダーが提供している製品に劣る部分はない。仮想化対応でNECの特徴として挙げられるのは、ハイパーバイザーやサーバなどのマルチベンダー対応に早くから取り組んだ点だろう。
そうしたWebSAM製品の中で仮想化対応機能を備えているのが、ネットワークからハードウェア、アプリケーションまでの各レイヤーに対応し、システムの運用情報を統合的に管理する「WebSAM MCOperations」(以下、MCOperations)だ。また、物理/仮想が混在するサーバ、ストレージ、ネットワーク環境を管理し、システムインフラ/リソースを最適化する「WebSAM SigmaSystemCenter」も、仮想化には欠かせないツールだ。
本稿では、上記2製品を中心にNEC WebSAMの仮想化対応機能を解説するとともに、クラウド環境に求められるシステム運用の機能をまとめた「WebSAM vDC Automation」についても紹介する。
連載:標準ツールでは足りない!? サーバ仮想化の運用管理
物理・業務の両視点から仮想環境をサポート
MCOperationsは、サーバやストレージの稼働状況を把握したり、構成情報を管理したりする機能をはじめ、ICMP(Internet Control Message Protocol)やSNMPトラップを利用したネットワークの死活、プロセッサ、メモリ、ディスク容量などのリソース使用量、サービスやプロセス、さらにデータベースやミドルウェア、アプリケーション固有の性能などを監視する機能を備えたツールだ。システムを構成する要素とサービスレベルの両軸で監視することで、障害の発見と局所化、原因の究明を迅速に行える。これにより、日々の運用管理業務を効率化し、障害発生時の早期対応、およびノウハウを蓄積して運用コストを最適化できるという導入効果が期待できる。
MCOperationsには、幾つかの特徴がある。まず、シンプルな運用を実現する統合コンソール管理画面の使いやすさだ。ネットワーク、サーバ、アプリケーションなどの設定から監視まで、1つのユーザーインタフェースで操作できる。
NECの製品開発プロセスでは、ユーザビリティとアクセシビリティを向上させる使いやすいユーザーインタフェースの研究開発と実装に注力しており、MCOperationsのコンソールもそれにのっとって作られているという。例えば、障害が発生した場合、どのサーバの障害なのかを視覚的に特定し、そのアラートのメッセージから詳細な障害内容を即座に確認できる画面構成になっている。
また、複数の仮想マシン、複数の物理サーバで構成されたシステムを効率よく監視・管理するために、論理的な業務視点による障害分析も可能になっている。物理視点では障害発生箇所の特定、論理視点では障害が業務に与える影響範囲を素早く把握できる。仮想マシン上で稼働するシステム構成は、物理サーバ、ハイパーバイザー、仮想マシンが階層として可視化され、障害発生時の最適配置作業を自動化する機能も備えている。
障害の対処方法を全てナレッジとして記録・蓄積し、情報共有する機能を備えているのもMCOperationsの特徴だ。誰がどんな対処を実施したのか、進捗状況がどうなっているかといった情報をすぐに確認できるだけでなく、同様の障害が発生した際に過去の対処方法をナビゲートする機能も備えている。なお、NECのIAサーバ「Express5800」やWindows OS自身の障害対策方法については、あらかじめテンプレートとして提供される。
最新バージョンではオプション機能として提供される「WebSAM Invariant Analyzer」との連携機能が強化された。Invariant Analyzerは、性能監視だけでは発見が難しい「サイレント障害」を自動検知するツール。MCOperationsは、このツールと連携することにより、「いつもと違う」挙動の要素を抽出して視覚化する。これにより、従来はシステムの運用管理担当者が経験と勘を頼りに行っていた原因究明時間を大幅に短縮することが可能になった。物理/仮想の両面で障害対応に当たらなければならないサーバ仮想化環境においては、とりわけ重宝する新機能といえるだろう。
混在環境にも対応するシステム管理ツール
もう1つNECが仮想環境に適した運用管理ソフトウェアとして用意しているのが、WebSAM SigmaSystemCenter(以下、SSC)。現在は、WebSAMのブランドに統合されているが、もともとはNEC Express5800用のサーバ管理ツールとして誕生したソフトウェアだ。
SSCは、サーバ、ストレージ、ネットワークという物理環境、その上に構築された仮想サーバ、さらには仮想デスクトップとシンクライアントを統合的に運用管理できるツール。仮想環境における利用を強く意識した製品だ。
サーバ監視・制御では、エージェントレスによる監視とリモート制御に対応しており、コンソールのないVMware ESXiが稼働するハードウェア監視も可能。また、OSやアプリケーションのインストール、パッチ適用などソフトウェア配布機能を搭載し、仮想マシンが稼働するプラットフォームのプロビジョニングを実現する。
さらに、高度な自律機能の搭載によってさまざまな自動運用が可能になる。例えば、仮想マシンの稼働する物理サーバに障害の予兆があれば、別の物理サーバに事前退避して障害を回避する。また、負荷状況に応じて仮想マシンの自動最適配置を行ってリソースを効率的に活用したり、低負荷時に仮想マシンを集約することで余剰の物理サーバを停止して省電力化を図ったりすることも可能だ。
最新のSSCでは、特にリソースプールの管理機能が強化されている。これは、システム全体を構成するサーバ、ストレージ、ネットワークなどの物理リソースをリソースプールとして管理し、そこからシステムごとにサブリソースプールを切り出して、さらにサブリソースプールから仮想マシンを切り出すという3段階で管理できる機能だ。この機能を有効活用することにより、社内の各事業部門、開発部門のニーズに合わせて仮想マシンを提供できるなど、簡易プライベートクラウド基盤を容易に構築できる。
SSCの大きな特徴といえるのが、異なるハイパーバイザーが混在する環境を一元管理できる点だ。SSCでは、Citrix XenServer、Hyper-V、VMware ESXなどの商用ハイパーバイザーに加え、KVM(Kernel-based Virtual Machine)をサポート。それらで稼働する全ての仮想マシンを同一のコンソールで確認し、操作することができる。
MCOperationsのような上位の統合運用管理製品を利用する場合、複数の異なるハイパーバイザーを管理するには対象となる仮想環境ごとにAPIやCLIを用いて個別のツールを作り込む必要がある。しかし、仮想環境の管理用にSSCを利用すれば、SSCを制御する簡単なコマンドだけで連携でき、その先のハイパーバイザーの差異はSSCが吸収する。なお、SSCを外部から操作するためのCLIは公開されているので、WebSAMに限らず他社製の統合運用管理製品の配下で使用することも可能だ。
クラウド向けに運用管理機能をスイート化
NECでは、これらWebSAMの仮想化対応機能を集約し、クラウド環境の基盤を構築・運営するデータセンター事業者、および大規模なプライベートクラウド環境を構築するエンタープライズ向けに新しい製品を発売した。それが、「WebSAM vDC Automation」だ。この製品は、WebSAMで実現されているクラウドサービス運用に関する諸機能を1つに集約。クラウドで求められる運用コストの最適化を目指している。
製品の特徴として挙げられるのは、次の3つの機能だ。1つが統合監視機能。これは、ITサービスを構成するネットワーク、OS、ミドルウェアの可用性やパフォーマンスを監視し、一元管理を実現するもの。パフォーマンスの劣化を検出すると、ITリソースから収集した情報の中から普段とは異なる挙動の要素を自動的に分析。障害の根本原因を迅速に特定する。
2つ目が物理・論理構成の可視化。ネットワークに接続された機器や仮想マシンを自動的に発見し、接続構成を図として描画する。構成が動的に変化しても常に最新構成を追跡する仕組みになっているので、物理的な障害がどの仮想マシンに影響を及ぼすか、その範囲を把握することが可能になる。
もう1つがメンテナンスの効率化だ。システムの構成情報を基に、パッチやアップデートの適用対象を検索。パッチを適用するハードウェアやOSで稼働する業務を移動して、パッチを適用し復旧させるまでの作業を自動化する。適用手順やノウハウをワークフローとして電子化しておけば、人手に頼らずにメンテナンスを実行できる。
WebSAMには、これらのツール以外の運用管理製品についても、仮想環境を意識した機能が用意されている。今後も随時、機能強化を図っていく予定だという。
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