「ITEM2012」イベントリポート(後編)
2012国際医用画像総合展に見る、モバイル端末利用や地域医療連携の広がり
2012年4月13日から15日までの3日間、パシフィコ横浜で「2012国際医用画像総合展」が開催された。本稿では、モバイル端末や地域医療連携ソリューションなどの出展内容を紹介する。
医療現場のモバイル端末利用を促進
医療現場におけるモバイル端末の活用が進んでいる。例えば、MRが営業用ツールとしてiPadなどのモバイル端末を常備したり、回診や手術の現場で携帯電話やiPhone、iPadなどを用いてCTやMRIの画像を参照したりするなどだ。ITEMではモバイル端末を利用したシステムが展示されていた(前編記事:2012国際医用画像総合展に見る、医療クラウドへの期待)。
遠隔画像診断治療補助システム「i-Stroke」 富士フイルム、富士フイルムメディカル
富士フイルムと富士フイルムメディカルは、モバイル端末を利用した遠隔画像診断システム「i-Stroke」を展示。i-Strokeは、脳卒中などの救急医療をサポートするシステム。救急患者を受け入れた病院から専門医が持つモバイル端末に患者の検査画像や診療情報を送信し、治療に必要な処置情報を共有する。富士フイルムと東京慈恵会医科大学が共同開発したもので、2011年6月にiPhone対応版を販売開始し、2012年1月にAndroid端末に対応する「i-Stroke Ver.2.0」を発表した。
i-Strokeでは、救急患者の来院をスタッフに一括伝達したり、リアルタイムに検査画像や動画、3D画像などを表示できる。また、タイムライン表示やTweet(コメント)機能などで治療状況を把握したり、スタッフ間のコミュニケーションを支援する機能を備えている。緊急性の高い処置で求められる情報のやりとりを迅速に行うことで、病院内での診断やチーム医療などをサポートする。
i-Strokeでは、PACSと連携するi-Strokeサーバを院内に設置し、院内では無線LAN経由で、院外からはVPN接続でアクセスして情報を参照する。システム構築などを含む初期導入費用は800万円から。
モバイル端末関連では、パナソニックメディカルソリューションズとパナソニックヘルスケアが、Windows 7対応のヘルスケア向けモバイルPC「CF-H2」や、落下や振動、防水などの耐性を重点に設計されたタブレット端末「FZ-A1」などを展示。また、ケアストリームヘルスはiPad用のHTML5対応画像ビュワーを展示していた。
地域の医療機関の画像・検査データの共有基盤
全国各地で実施されている地域医療連携は、患者の紹介状などで主に電子カルテの情報を共有することが多い。しかし、各種モダリティの検査画像や外注検査会社の検査結果データも共有できると、重複検査の是正による医療費の抑制といったメリットが期待できる。ITEMではそうした画像や検査結果などの情報共有を支援するシステムが展示されていた。
地域連携ソリューション 西日本エムシー
西日本エムシーは医用画像サーバ「Spider Server」と遠隔データ保存サービス「Data Service Provider」(DSP)を活用した地域連携ソリューションを紹介。地域の中核病院にSpider Serverをゲートウェイと設置してDSPセンターと連携する。さらにDSPセンターと地域のクリニックがインターネット経由で連携したネットワークを構築する。このネットワークを介して、地域の中核病院とクリニック間での画像データやその診断リポートの参照、遠隔検査予約などを可能にする。2011年に開発され、九州地方を中心に導入されている。
地域医療連携システム「PAXiS-COLLABO」 キッセイコムテック
中規模病院向けPACS「PAXiS-Pro」や診療所向けPACSを提供するキッセイコムテックは、2012年1月に長野県の相澤病院での試用運用を開始した地域医療連携システム「PAXiS-COLLABO」を出展。
PAXiS-COLLABOは、地域の中核病院やクリニックの画像データを地域連携ゲートウェイ経由で同社のデータセンターや地域連携サーバに転送して集約する。連携医療機関は、患者単位でデータを参照する。Webブラウザで画像データを参照できるため、PACSが未導入だったり、異なるメーカーのPACSを保有している医療機関でも連携が可能。
中核病院の電子カルテ情報を共有 アストロステージ
アストロステージは病診連携システム「STELLAR Net」を出展。STELLAR Netでは、地域の病院の診療情報を連携用サーバを介してデータセンターに転送。データセンターでは複数の病院の電子カルテ情報を管理し、インターネット経由で病院やクリニックなどの連携医療機関が情報を参照できる。
その他、グループウェア機能や検査予約、病診連携クリティカルパス、遠隔読影システムなどの機能を備えている。宮城県の脳卒中地域連携ネットワーク「宮城県スマイルネット」や岩手県の県立磐井病院を中心とする地域医療連携ネットワーク「両磐ネットワークi-RIAS」などに利用されている。
診療所や検診センター向けのデータ保存システムも
その他、診療所や検診センターを対象にした医用画像や検査データなどを管理するシステムも展示されていた。
診療所向けDICOM原画像保管システム 島津メディカルシステムズ
島津メディカルシステムズは、診療所向けDICOM原画像保管システム「SimCLINIC View」を展示。 SimCLINIC Viewは、DICOM対応モダリティの画像データだけでなく、紹介状や心電図チャート、デジタルカメラの画像データなどもDICOM形式に変換し原画像として保存する。原画像観察用の高精細縦型液晶モニターを標準で搭載する。また、画像管理サーバを追加すると、保存容量の拡大やWeb配信機能などの機能拡張が可能となる。参考価格は100万円から(最小構成1台の場合)。
なお、同社の「SimCLINIC T3」など、既存の電子カルテシステムも連携する(オプション)。
車載検査画像転送用ストレージ ユーズテック
ユーズテックは、車載検査画像転送用のDICOMストレージ装置「U's-Carry」などを展示していた。
U's-Carryは、巡回検診車で撮影した検査画像をオンラインでPACSに転送できる。内蔵HDD容量は160Gバイトでタブレット端末やノートPC、専用ストレージの3種類がある。販売価格は、専用ストレージで150万円から。
同社はその他にも検診バス受け付けシステムや検診リポートシステム、遠隔読影システムなどの健康診断センター向けソリューションを提供している。
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