オープンソースの「クラウド基盤ソフトウェア」を比較する【第2回】
【徹底比較】Eucalyptus、CloudStack、OpenStackの仮想マシン性能
クラウド基盤ソフトウェアの中でも知名度の高いEucalyptus、CloudStack、OpenStackの3つを、それぞれ最小構成で構築し、仮想マシンの性能を比較した。測定項目によって値に違いが見られる興味深い結果となった。
第1回「機能を徹底比較! ~Eucalyptus、CloudStack、OpenStack」では、IaaS(Infrastructure as a Service)を構築するための「クラウド基盤ソフトウェア」の中で、知名度の高い3つのオープンソースソフトウェア(OSS)の機能や開発経緯についてまとめた。今回は、これら3つを最小構成で構築し、仮想マシンの性能を比較した。
クラウド基盤ソフトウェア比較表のダウンロード
第1回「機能を徹底比較! ~Eucalyptus、CloudStack、OpenStack」で紹介した3プロジェクトの比較表をPDFで提供しています。「クラウド基盤ソフトウェア比較表 ~Eucalyptus、CloudStack、OpenStack」でダンロードしてください。
準備したもの
仮想マシンの制御を行うノード(図1のServer1)と、仮想マシンを起動するノード(図1のServer2)の2台構成とした。各ノードのハードウェアスペックは以下の通り(図1)。
基本構成
Eucalyptus、OpenStackには仮想マシンを起動するノードのホストOS(図2 ホストOS)に「Ubuntu Server 12.04 LTS」を使用した。CloudStackは「Ubuntu Server 12.04 LTS」ではPythonのバージョンダウンが必要となるため「CentOS 6.2」をインストールした。仮想マシンは、OS(図2ゲストOS)を「Ubuntu Server 12.04 LTS」とし、CPU、メモリ、ディスクサイズなどのスペックも統一した。
ネットワーク
仮想サーバにインターネットからアクセスする方法として、クラウド基盤ソフトウェアは大きく分けて次の2つの方式を提供している。
- 仮想サーバに直接グローバルIPアドレスを割り当てる方式
- 仮想サーバにプライベートIPアドレスを付与し、別途払い出したグローバルIPアドレスと関連付けさせる方式
今回はインターネット経由でのアクセスは行わず、仮想サーバにはプライベートIPアドレスのみを付与している。
ツール
ベンチマークツールは、システムの性能を計測する「UnixBench」、ストレージ性能を測定するための「hdparm」「bonnie++」を使用した(図2)。
以下にそれぞれの構成図と、実際に操作してみた際の画面イメージを掲載する。
1.Eucalyptus
Eucalyptusの構成図は以下の通りだ(図3)。
GUI画面は以下のようになっている。仮想マシンのタイプやアカウントの一覧表示など、管理用の機能は備えているが、仮想マシンの起動や停止などを操作する機能はないため、ユーザーのオペレーションは外部のツールで行う。
仮想マシンの状態は、「Euca2ools」などのツールで確認できる。
Eucalyptusに関する記事
2.CloudStack
CloudStackの構成図は以下の通りだ(図4)。
CloudStackは以下のようなGUIインタフェースを有しており、ZoneやPod、Clusterなどの構成要素を視覚的に操作することが可能だ。
3.OpenStack
OpenStackの構成図は以下の通りだ(図5)。
OpenStackは図5のようにネットワークセグメントをパブリックネットワークとプライベートネットワークで物理的に分けることもできる。
下記は、管理者権限(Adminユーザー)でログインしたHorizonの画面である。仮想マシンの一覧やタイプ、イメージ一覧の参照といった操作が可能だ。
実測結果
各ツールとも複数回計測し、一番ばらつきの少ない値を掲載した。なお、個人の環境で最小構成にて構築した測定結果であるため、参考情報としてご覧いただきたい。
1.UnixBench
UnixBenchのバージョン5.1.3を使用した。「Run」コマンドで測定を実施。それぞれの数値およびスコアが高い方が良い結果となっている。
2.hdparm
hdparmのバージョン9.37を使用。コマンド「hdparm -T /dev/hda」でデバイス読み込み速度を、「hdparm -t /dev/hda」でキャッシュ読み込み速度を計測している。
Eucalyptus、OpenStackはノード上のローカルディスクをストレージ領域として使用した。CloudStackはディスクの接続方式としてNFS(Network File System)を推奨しているため、今回はPrimary/Secondary共にManagement Server上に用意した領域をNFSマウントして使用している。
3.bonnie++
bonnie++のバージョン1.96を使用。コマンド「bonnie++ -u 0 -d /tmp(/mnt/temp) -s 1024 -r 512 -n 256:4096:512:16」でファイルサイズやメモリなどのパラメータを指定して実行。転送量(K/sec、/sec)は大きいほど良く、CPU使用率(%CP)は小さい値ほど良い。
クラウド基盤ソフトウェアを選ぶ際には
各クラウド基盤ソフトウェアとも、仮想マシンのCPUコア数、周波数、メモリ容量を同一にして計測したが、測定項目によって値に違いが見られる興味深い結果となった。
クラウド基盤ソフトウェアを導入される際は、第1回「機能を徹底比較! ~Eucalyptus、CloudStack、OpenStack」で紹介したように、それぞれが提供する機能やプロジェクトの方向性などに加えてこうしたベンチマーク値などを参考にするとよい。使用するアプリケーションのパフォーマンスを最大限引き出せるソフトウェアを選択し、導入する前には実際の環境に合わせたチューニングと冗長性を含めた評価検証を入念にされることをお勧めしたい。
大削 緑(Midori Oge)
NTTコミュニケーションズ株式会社勤務
NTTコミュニケーションズが提供するクラウドサービスCloudnの企画、開発、ユーザーサポートなどに幅広く従事している、通称「うどんの中の人」。
CloudStackを始め、OpenStack、AWS、RightScale、OSSコンソーシアムなど多数のユーザー会に参加し、インフラ系の女子会のコアメンバーとしても活躍中。
Twitter:@star76popin
個人ブログ:http://star76.jp
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