どれが流行る? オープンソースのクラウド構築ソフト【後編】
OSSクラウド基盤市場の行方を決めるOpenStackの成否
HP、Cisco Systems、Intelなど大手企業がサポートを表明しているOpenStackは、ユーザー企業にとって今後有力な選択肢となり得る。対するEucalyptusやRed Hatの成功は、OpenStackの成否に懸かっている。
前編「競争が激化するOSSクラウド構築基盤ベンダー5社の動向」では、米Abiquo、米Canonical、米Eucalyptus Systems、OpenStack、米Red Hatの5社の動向と、各社が提供するオープンソースクラウドソフトの特徴を紹介した。後編では、今後の市場シェアについて考える(関連記事:注目のOpenStackプロジェクトの全体像)。
オープンソースクラウドの行方
ここで取り上げたオープンソースクラウドサービス業者の中では、Red Hatが群を抜いて規模の大きい企業だが、ほとんどの大手(米Hewlett-Packard、Cisco Systems、Intelなど)はOpenStackをサポートしている。OpenStackは、ハイブリッドクラウドを実現し、ロックインの危険性を最小限に抑えることができるなど、標準に最も近い位置にある。高度な技術オペレーションチームを擁するベンダー、研究機関、企業がOpenStackの中心的なユーザーだ。
OpenStackのネガティブな面の1つは、Rackspaceが開発を独占してきたことだ。ただ、議論の余地があるかもしれないが、現在は他のベンダーも数多く関与するようになってきており、OpenStackを自社のクラウド製品の基盤として宣言するベンダーも増えている。
OpenStackがサービス品質のクラウド基盤となっておよそ18カ月だが、Eucalyptus Systemsの製品とのプラグインはプロダクションモードで既に利用されている。もしHPがOpenStackベースのクラウドで成功しなければ、OpenStackは大きくつまずく可能性がある。
Red Hatのクラウド製品は、同社のインストールベースで注目されているが、そのインストールベースを超えて拡大する見込みは高くない。同社は急成長しており、2013年度は1000人の従業員を新規採用するとみられている。その多くはクラウド部門に振り向けられるだろう。
しかし、全てがオープンソースとなるRed Hatのクラウド戦略と製品群は、かなり混乱している。プライベートクラウドの構築に助けを必要とする多くのオープンソースプロジェクトユーザーが困惑しているにもかかわらず、同社からはクラウド戦略に関する一貫した説明がない。
一時は有望なダークホースとして注目されたEucalyptusだが、今ではOpenStackの影に隠れ、一部から後追いとみられるようになった。しかし、もしVMware vSphere/ESXiやKVM、Xenなどを用いて仮想化した環境を構築しているなら、それらの商用プラグインを持つEucalyptus Systemsはプライベートクラウド実装化のグッドチョイスだ(関連記事:プライベートクラウドの導入・実装における3つの考慮点)。また、EucalyptusベースのプライベートクラウドとAmazon EC2の間でワークロードを移動させたいと考えているなら、より優れた選択肢となる。今すぐプライベートクラウドの構築を目指しているなら、EucalyptusベースのプライベートクラウドかAmazon EC2が直ちに応えてくれるだろう。
Canonicalはクラウドインフラストラクチャ向けのUbuntuの基盤技術をEucalyptusからOpenStackにスイッチした。Ubuntuは競合するエンタープライズ市場の非クラウドユーザーに支持されていても、クラウドビジネスは難しいだろう。OpenStackを取り巻くハイプがしっかりとしたサービス品質のクラウドに具現化し、真の標準として確立すれば、Ubuntu/OpenStackのCanonicalが大当たりを引くかもしれない。
Canonicalの成功を考えたくはないかもしれないが、Eucalyptus Systems、Red Hatのクラウドの未来は全てOpenStackの成否に懸かっている。もしOpenStackがハイプ通りの実力を見せることができなければ、Eucalyptus SystemsとRed Hatは大きな勝利を収めるだろう。なぜなら、ハイパーバイザーやスタックに関して不可知論のAbiquoが成功するかどうかは、OpenStackの成否とは関係ないからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
どれが流行る? オープンソースのクラウド構築ソフト
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
5
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
6
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
8
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
9
「SIEMの利用」に関するアンケート
-
10
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー