サポートのしやすさを重視
学生にはiPadよりもWindowsタブレット、教育機関が決断した理由は
タブレット/スマートフォン向け電子教科書が普及する中、米国の教育機関ではWindowsベースのタブレットPCの採用が広がっている。iPadにはないメリットがあることがその理由だという。
企業はデバイス管理について教育機関からの教訓を生かすことができそうだ。
米国では多くの教育学区や大学が、WindowsベースのタブレットPCをエンドユーザーに提供することで環境を標準化し、エンドユーザーの端末を管理しやすくしている。
各業界に固有のテクノロジーもあるが、どんな市場にもIT管理者やCIO(最高情報責任者)がいて、業界の枠を超える問題に対応している。ITの標準化、私物端末の業務利用(BYOD)、ポリシー、モビリティ、セキュリティは、教育機関でも企業でもエンドユーザーをサポートするためにIT管理者やCIOが取り組まなければならない問題のごく一部である。
これらの問題は、タブレットおよびスマートフォン市場の台頭に伴い、脚光を浴びるようになった。米IDCなどのIT調査会社によると、2013年第1四半期の全世界のPC出荷台数は14%近くも下落している。実際、企業は有望なモバイルプラットフォームとしてタブレットに注目しているし、既に一部の教育機関はこれらの端末を学生や教職員向けに大規模導入を始めている。
企業では米MicrosoftのSurfaceタブレットがようやく検討され始めたところだが、米国内の教育機関では、米AppleのiPadではなく、MicrosoftのOEMが提供するWindowsベースのタブレットを既に導入している事例が多くある。例えば、カンザス州のギアリー郡学区やニュージャージー州のシートン・ホール大学は、Samsung Series 7 Slate端末を学生と教職員に提供している。
ギアリー郡学区のケースでは、高校生がWindowsタブレットを科学の屋外授業に使っている。また、タブレットPCをプローブウェア(Probeware:センサーなどを搭載した測定器)とデジタル顕微鏡に接続して、科学の調査研究に利用している。さらに、学校側の教職員は授業観察を記録するなど、さまざまな用途でタブレットを活用している。
シートン・ホール大学では、新入生にノートPC代わりにタブレットを支給し、3年次に入ると、それらの端末を更新している。
タブレットの導入を検討している幾つかの学区の1つであるダラス独立教育学区では、2013年初めに、1万台のWindows 8タブレットの導入を求める提案依頼書を提出した。
標準化によりデバイス管理がシンプルに
教育機関では、WindowsベースのタブレットPCを採用することで、標準化された環境を実現しているが、この環境は多くの企業にとってもメリットがある。
前出のシートン・ホール大学のCIOを務めるステファン・ランドリー氏は、標準化は教員のカリキュラム作成と学校のコスト削減に役立っていると話す。また、デバイス管理にも有効だと言う。例えば、Windows環境に標準化することで、管理された方法でアンチウイルスソフトウェアのアップデートを配布することで端末のプロビジョニングを行っている。これは、企業が端末を管理する方法と似ている。
複数のユーザーが複数の用途でコンピューティングデバイスを利用する必要があるのも、教育機関と企業の共通の要件だが、WindowsベースのタブレットPCであれば、それが可能だ。
前出のギアリー郡学区のCIO、ジャン・パビツキー氏は、複数のログオンとパスワードがサポートされているため、学生はどのタブレットでも使用できると話す。実際、同学区では可動式カートにタブレットを保管しており、学生はどのタブレットを手に取っても、自分のアカウントでログオンできる。
シートン・ホール大学では2010年に、医学部のカリキュラムで特定の目的に使うためにiPadを導入したが、このiPad導入プログラムは難航したという。ランドリー氏は「iPadのセットアップには、iTunesアカウントを使わなければならない。また、iPadは簡単には共有できない」と話す。
しかし、タブレットのイメージ作成は一筋縄ではいかない可能性がある。この問題は企業でも、全端末で会社標準のイメージを使いたい場合に乗り越えなければならないハードルだ。
「検討した全てのタブレットにも共通することだが、問題の1つは、出荷時点でタブレットにはメーカー独自のソフトウェアセットがインストールされていることだ」とギアリー群学区のパブツキー氏は説明する。同氏のチームでは、ドライバーとメーカーが独自にインストールしたソフトウェアを分けて、タブレット自体の機能は全て残しつつ、学生にDropboxなどのアプリケーションや学校の環境に必要ないその他のソフトウェアを使用させないようにする必要があった。
Samsungの広報担当者によると「Samsungのモバイルコンピューティング端末は、標準的な構成とアプリケーションで出荷される。企業ユーザーの場合は、リセラーがユーザーと密に連携して、イメージの作成とカスタマイズをサポートしている。Samsungでは、ドライバーやトラブルシューティングなどの技術サポートを提供している」。
企業と同様に、シートン・ホール大学でも、エンドユーザー向けのITサポートがモバイル端末管理を成功させるのに不可欠だ。「コンピュータの問題が発生してから30分以内に解決できなければ、代替品を貸し出す」とランドリー氏は話す。
とは言っても、タブレットは密閉された構造のため、サポートはさらに難しくなる場合がある。「Android、iPad、Windowsはそれぞれに適した役割がある。しかし、これらのタブレットを一元管理し、それぞれを交換可能なパーツと見なし、サポートするとしたら、Windows環境が一番簡単だ。(タブレットの導入に際しては)サポートのしやすさとユースケースを重視する必要がある」(ランドリー氏)
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