激化するUC市場のシェア争い
Windows、Officeだけではない Microsoftが勝ち続ける分野とは?
米Infonetics Researchの最近のリポートによると、2014年第1四半期のユニファイドコミュニケーション(UC)市場では米Microsoftが最大の売上高を記録。米Ciscoが小差で続いた。
調査会社のInfonetics Researchは、「Enterprise Unified Communications and Voice Equipment」(エンタープライズユニファイドコミュニケーションおよび音声機器)」というリポートを公開。UC市場でCiscoとMicrosoftのシェア争いが激化する中、2014年第1四半期はMicrosoftがリードしたと報告している。同リポートでは、テレフォニー市場とUC市場のセグメント別に、ベンダーの売上高ランキングが示されている。
Microsoftは本当に勝ったのか?
リポートをまとめたInfoneticsの主席アナリスト、ダイアン・マイヤーズ氏によれば、CiscoとMicrosoftのUC売上高はほぼ同じだが、MicrosoftがもともとUCに強いおかげで売上高を伸ばしているのに対し、競合ベンダーは頭打ちとなっているという。報告されている売り上げの数字が全体としてどのような意味を持つか、そしてこの統計がベンダー各社の戦略について何を示唆するかについて、同氏に話を聞いた。
―― リポートでは、UC市場をどのように分類していますか?
マイヤーズ氏 われわれがこのリポートで扱っている市場はUCとテレフォニー(PBXなど)に大別されます。UCとテレフォニーを分けているのは、テレフォニーには長い歴史とその中で受け継がれてきた資産が存在するからです。
―― MicrosoftがUC市場で首位と報告されていますが、Ciscoはどのくらい差をつけられているのですか?
マイヤーズ氏 Ciscoはそれほど離されてはいません。出荷数量は非常に近く、売上高の差も小さい。問題は、もともとの得意分野の違いにあります。Ciscoが得意としているのはPBX関連で、MicrosoftはUC関連を得意としているというわけです。現在、ほとんどのベンダーはバンドルパッケージでライセンスを提供しています。このため、顧客がPBXを買う場合、PBXにはかなりの金額を支払うことになりますが、それによってわずかな費用でUCの機能も豊富に手に入ります。ベンダーにとって、このセット販売によるUC製品の売上高は小さいものです。
こうしたことが背景にあるため、CiscoのUCの売上高は、PBXよりも比較的小さく見えるのです。逆にMicrosoftの場合、もともとUCが強く、これとテレフォニーをセットで売るようになりました。「UCソリューションを買っていただいたので、テレフォニーライセンスも手に入れられます」というわけです。だから、彼らの売上高の大半はUCによるものとなり、PBXの売上高はUCと比べて非常に小さく見えます。このように、UC業界を2つの販売スタンスの観点から見ると、少し複雑な構図が浮かび上がってきます。
売上高はひとまず置いて、ライセンスについて考えると、CiscoとMicrosoftのライセンス出荷数ベースのUC市場シェアは、かなり近い。まったく互角の四半期もあります。2013年第4四半期はほんの数千ライセンスの差でCiscoの出荷数が上回りました。それでも、Microsoftの方がUCの売り上げが多いのは、CiscoにとってUCは安価なアドオンであるのに対し、Microsoftにとってはテレフォニーがアドオンだからです。こうしたわけで、売り上げではMicrosoftが首位となっています。
―― テレフォニー市場とUC市場での売上高の合計では、どのベンダーがトップですか?
マイヤーズ氏 UC製品とテレフォニー製品の売上高を合計すると、Ciscoが首位に立ちます。この数字で比べると、Microsoftは業界トップ3にも入らない。2014年第1四半期におけるテレフォニーとUCの合計売上高ベースの市場シェアを見ると、上位ベンダーの順位は次のようになっています。
- Cisco
- Avaya(米)
- NEC(日本)
- Mitel(カナダ)
- Unify(米)
- Microsoft
UCでの勢いは止まらない
―― 前四半期比で最も成長しているベンダーはどこですか?
マイヤーズ氏 答えの鍵はUCにあります。この分野は勢いがあり、成長市場となっている。テレフォニーとUCの合計売上高を四半期ごとに大きく伸ばしているベンダーは、基本的にMicrosoftしかありません。その売り上げ規模が他の上位ベンダーより小さいのは、UCがまだ比較的小さな市場だからです。それでも、Microsoftは成長している。他社は皆、合計売上高が横ばいか、あるいは減少しています。四半期ごとに減少の一途をたどっているベンダーこそありませんが、横ばいで推移するか、傾向として減っているベンダーがほとんどです。一方でMicrosoftだけは一貫して成長しており、失速していない。
―― Microsoftが成長を続けているのは、同社がUCで蓄積してきた強みがあるからですか?
マイヤーズ氏 その通りです。また、マイクロソフトには大きな勢いがあります。何年か前(といってもそう遠い昔のことではありませんが)ITを担当する組織は2つに分かれていました。1つはアプリケーションやデータ機器を担当していたグループ、もう1つは音声回線やPBXを担当していたグループです。通信のIP化が進んだことで、別々だったこの2つのグループが統合されました。今では、別々のグループが異なるものを管理しているという状況は見られません。大企業であっても、IT部門は1つのグループに属する1つの組織として存在するのが一般的です。こうした中で、UCに関する意思決定の在り方はどう変わるのか。それは誰が意思決定を行うかという問題でもあります。例えば、PBXやテレフォニーを扱っていた経験が長い人が意思決定者であれば、以前からなじみのあるベンダー、つまりCiscoを選ぶ傾向があるでしょうが、一方でアプリケーションや電子メールを管理していたグループ出身の人は、Microsoftを選ぶ傾向があるでしょう。
MicrosoftはUCに関してはリードし、優位を保っています。「Lync」以前には「Office Communications Server」という製品もあり、とてもうまくいっていました。UCと統合型電子メールに関するMicrosoftの取り組みは長年の蓄積があります。Microsoftはテレフォニー分野では立ち遅れた部分も多く、LyncのPBX機能ではPBXと呼ぶに値しないと考える企業も少なくありませんが、一方でそれほど気にしない企業もあるのです。こうした企業は、これらの機能にはあまり関心がなく、それよりもMicrosoftが得意としているUC分野の機能を踏まえて、Lyncを選択するわけです。
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