ソーシャルデータをマーケティングに生かすには
企業内連係なくしてソーシャルメディア活用の成功なし
ビジネスでソーシャルメディアプラットフォームを使うことは避けられない。ソーシャルメディアプラットフォームのデータはどのように使えば、ビジネスの手法を変えられるのだろうか。
ソーシャルメディアによって企業活動の在り方は変化し、消費者を巻き込む形で拡大した。ソーシャルメディアのビジネス利用には、ソーシャルメディアのデータを使用して消費者に事業活動を伝えることも含まれる。以前は企業の独占領域だった製品の重要な情報を消費者が友人に伝達するようになっている。
製品開発に関しても同じことがいえる。製品やサービスのベースになる新しい発想を生み出す指揮系統の一端を消費者が担うようになっている。この基盤となっているのはソーシャルメディアのプラットフォームだ。だが、位置情報サービスやジオロケーションサービスをベースにしたデータなどの追加情報も非常に重要な役割を持っている。
米ジョージア州アトランタで2014年9月16日~17日に開催された「Social Shake-Up」では、上述のようなトピックが取り上げられた。
本稿はソーシャルメディアがビジネスにもたらした変化についてデイビット・シュワイデル氏の見解を紹介する。シュワイデル氏はEmory Marketing Analytics Centerでマーケティング学の准教授と理事を務めている。
――ソーシャルメディアのコミュニケーションは、今日のビジネスの在り方をどのように変えたと思われますか。
シュワイデル氏 ユーザーが生成するコンテンツ全般がビジネスの在り方に大きな変化をもたらしている。この中には、いろいろな意味で新しくないものもある。例えば「口コミ」だ。これまでにも口コミという考え方は存在していた。主な違いは、口コミがオンラインで行われることだろう。また、その情報が、常に記録され、永続的に残る点もこれまでと異なる。
従来のような口コミに気付くのは困難で、口コミはやや一時的なものだった。以前は、職場の給湯室が情報交換の場となっていた。また、比較的明示的に定義されていた社会集団でも会話が交わされていた。現在はソーシャルメディアによって、社会集団はオンライン上に存在するようになっている。潜在的な聴衆の数はオフラインのときよりもはるかに多い。マーケティング担当者がオンラインでメッセージを発信すると、発信後のメッセージを制御することは困難だ。
――未来の双方向社会では、マーケティング戦略に対する消費者の声の影響力はどれくらいあると思われますか。
シュワイデル氏 ソーシャルメディアを通じて消費者が発信する情報を企業が利用し始めると、マーケティングプロセス全体に対する消費者の関わりは強くなるだろう。米Dellや米Starbucksなどを始めとする企業は消費者に直接クラウドソーシングを行っている。このような企業には次のような言い分がある。「消費者は自分たちが欲しいものを知っている。消費者の意見に耳を傾けて、商品開発に関わってもらうことにした。これは企業の強みになるが弱みにもなる」
――他のテクノロジーがソーシャルメディアと連係して、消費者の実態をより適切に理解し、消費者の現在地に合わせてメッセージを送れるようになると思われますか。例えば、ジオロケーションのように消費者の現在地を特定して、その場所と消費者に適した広告を配信するというようなことです。
シュワイデル氏 そのような段階に達しているかどうかは定かではない。だが、その段階に達していないとしても、将来的にはそうなるだろう。ソーシャルメディアと位置情報サービスを組み合わせたものは、状況の影響を受ける。消費者にとっては、それが全てだ。
適切なタイミングで適切なメッセージを配信すれば、消費者はメッセージに対して聞く耳を持つだろう。ソーシャルメディアから消費者の現在地と発信情報を取得してモバイル広告を配信する場合には、消費者に配信すべき適切なメッセージを配信時に考える必要がある。街中にいるときと自宅で過ごしているときを考えてみてほしい。これらの状況は大きく異なる。そのため、消費者の状況に基づいて別々のマーケティング活動を行う必要があるだろう。
――その他に関心を向けるべき重要なソーシャルメディアのトレンドはありますか。
シュワイデル氏 マーケティング機能は縦割りになっている。このような状態でソーシャルメディアをマーケット分析に活用することはできるのだろうか。マーケティング活動には幾つのチームが関与しているのだろうか。筆者が話を聞いたある企業は、ソーシャルメディアチーム(広報活動)、ブランド管理を担当する製品チーム、洞察(インサイト)を導き出す分析チームがあると話していた。これに対して筆者は次のように質問をした。「この3つのグループは、どれほど密接に連係しているのか。ソーシャルメディアのデータへのアクセス権を持っているのはどのグループか」その答えは企業によって異なるだろう。
マーケティング活動の個々の機能は縦割りになっている。このような体制では効率が低下する。CEM(Customer Engagement Management)を作成するなら、全てのマーケティング活動は互いに連係していなければならない。このような状況を実現するには、組織的な対応が必要になる。この状況をどれほど迅速に実現できるかは、事業単位の構成が鍵を握っている。
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