Facebook、Twitterの次は何?
パン屋さんに学ぶ「初めてのソーシャルメディア活用」
FacebookやTwitterを仕事で活用する場合、どのような点に注意をすべきか。ソーシャルメディアを活用して顧客を店舗に呼び込んでいるベーカリーの事例を基に解説する。
カナダのトロントでベーカリーIrresistibly Deliciousを営むジェン・グロスマンさんは、FacebookやPinterest上でのソーシャルマーケティングをフルに活用し、既存顧客との対話促進や新規顧客の獲得に役立てている。
「当店の常連客はほぼ全員がFacebookを利用している」とグロスマンさんは語る。「Facebookに写真など、何かしらの情報を載せると、コメントや“いいね!”を付けてもらえる。情報を出すことで、新規の顧客を呼び込める。ボタンを1回クリックするだけで、たった1秒で多くの人たちに情報を届けられる」
パン屋さんにはPinterest
常にインターネットにつながり、1日24時間、いつでも買い物ができる今の時代、人々はいつでも誰とでも連絡を取れることを望んでいる。この新しい世界においては、ソーシャルメディアで顧客とつながることが、賢明なCRM(顧客関係管理)戦略となる。では、ソーシャルメディアによる顧客エンゲージメントには、どのサイトやツールが最も役に立つのだろうか? 焼き菓子やパンといったグロスマンさんのベーカリーの商品には、なぜPinterestやFacebookの方が他のソーシャルツールよりも適しているのだろうか?
顧客エンゲージメントに最も適したソーシャルプラットフォームを見つけるための鍵は、「発信するマーケティングメッセージのタイプをよく考え、メッセージの受け取り手について理解すること」だ。専門家によれば、検討すべき項目には次のようなものがあるという。「自社で取り扱っている商品は、人々が自宅でくつろいでいるときに思いを巡らせたくなるようなものか? それとも事業に関するものか?」「取り扱い製品の見た目は見る人をワクワクさせるものか?」「単に顧客からの問い合わせに対応できれば、それで十分か?」といった疑問だ。企業がソーシャルエンゲージメントのための最適なプラットフォームを見つけ出すには、こうした疑問への答えが大いに助けとなるはずだ。
Facebook、Twitter、LinkedInが3強
ソーシャルメディアはプラットフォームごとにユーザー層が異なり、得意とする分野もそれぞれ異なる。米コンサルティング会社Tim Peter & Associatesのティム・ピーター社長によれば、例えば、Facebookは現在、企業の間で最も人気のあるソーシャルメディアサイトだという。
「どの企業もある程度はFacebookを利用すべきだ。Facebookは個人消費者を相手にしている企業にとって最も適したプラットフォームであり、実際、誰もがFacebookを利用している」と、ピーター氏は指摘する。
Facebookでは、友人や家族、共通の関心事などを中心にやりとりを展開することが多い。そのため、取り扱い製品が携帯電話や旅行の行き先、ぜいたく品など、「目で見て、それについて語りたいと心から思うようなもの」であれば、Facebookは強力な媒体になり得る。同じ理由から、企業間取引を主とする大規模企業にとっては、恐らくFacebookは顧客とかかわる理想的な場所にはならないはずだ。「典型的なFacebookユーザーは、あまり具体性のない製品やサービスについて知ることよりも、友人とのやりとりに興味を持っている」と、ピーター氏は指摘する。
一方、Twitterは短い会話があちこちで繰り広げられるカクテルパーティーのようなものだ。「話題性の高い、共有に値するコンテンツを豊富に持つ企業にとっては、Twitterは効果的なプラットフォームとなるだろう」と、ピーター氏は語る。だが、それほど大きな変化がなく、興味深い情報をそう頻繁に発信できない企業にとっては、Twitterの有用性ははるかに劣るはずだという。
Twitterは顧客サービスにも有効なプラットフォームとなり得る。Twitterで顧客の問い合わせや要望に応じられるからだ。ピーター氏によれば、ケーブルTV大手の米Comcastやホテルチェーン大手の米Hyattがこの方法でTwitterを大いに活用しているという。
LinkedInはFacebookとは真逆の存在だ。Facebookが「友人や家族との交流、個人的な趣味を楽しむための憩いの場」であるのに対し、LinkedInは「同僚との連絡、職探し、人脈作りなど、ほぼビジネスに特化したソーシャルメディア」だ。「真のビジネスパーソンには、LinkedInページが必須だ。流通パートナーや有望なビジネスパートナーを見つけ出すための絶好の場でもある」と、ピーター氏は指摘する。新たに人材を雇うつもりの企業にとって、LinkedInは宝の山となるかもしれない。
創造力を発揮しやすいのはYouTubeとPinterest
では、YouTubeやPinterestなどのサイトを活用したい場合はどうなのか? 「YouTubeは興味深いメディアだ。誰にでも役に立つはずだ。ただし、どう役立てられるかはそれぞれのケースで大きく異なる」と、ピーター氏は語る。
ピーター氏はネットで話題になった、あらゆる液体をはじく強力防水スプレー「Neverwet」の宣伝動画を例に挙げ、次のように語る。「Neverwetの宣伝動画は実によくできており、一気に話題が広まった。それほどクオリティの高い映像ではないが、面白くて、見ていて引き込まれる」
語るべきストーリーを持つ企業にとって、YouTubeは素晴らしい選択肢になり得る。ただし、そのストーリーは動画という媒体に適した方法で伝えられるものでなければならない。
一方、Pinterestはニッチなグループに受けが良い。Pinterestは圧倒的に女性ユーザーが多く、非常に視覚的な媒体だ。そのため、例えば「ピカピカの新製品を紹介したい」という企業には、Pinterestが大いに役立つ可能性がある。Pinterestで人気のトピックは、食べ物、旅行、ファッション、インテリア、美術工芸、パーティーの企画などだ。視覚的なアピール度が低く、あまり女性受けしない製品やサービスを取り扱っている企業には、Pinterestを活用したソーシャルマーケティングは難しそうだ。
前出のベーカリー経営者のグロスマンさんはPinterestを利用し、レインボーケーキやハッラー(ユダヤ教の祝祭日に食べるパン)、ケーキポップ(棒付きのケーキ)、ユダヤ教の過ぎ越し祭のための小麦粉を使わないブラウニーなど、さまざまな商品の写真を頻繁に投稿している。目的は、Facebookユーザーに「注文したい」と思わせることだ。「Pinterestは当店にうってつけのプラットフォームだ。この商売では視覚的な要素が非常に重要となるからだ」とグロスマンさんは語り、自身のベーカリーのターゲット層についても次のように率直に話す。
「典型的な顧客像は子どもを持つ30~50代の女性。写真を載せれば、当店の商品の見た目や色を伝えられる。Pinterestのおかげで、最高の写真を使って人々の注意を引き付けられる」
ソーシャルメディア管理ツールで時間を節約
専門家によれば、ソーシャルマーケティングの担当者はソーシャルメディア監視自動化ツールにも通じている必要があるという。そうしたツールを使えば、顧客にリーチするための手順をはるかに管理しやすくなるからだ。ただし、この取り組みには注意が必要だ。
人々はこうしたツールの機能に期待し過ぎる傾向があり、「バランスの取れた包括的な戦略とワークフローを作ること」の重要性を忘れがちだ。ベストプラクティスは、まず戦略を立て、その上で戦略遂行に役立つツールを見つけることだ。
ソーシャルメディア管理ツールを使えば、TwitterのつぶやきやFacebookのステータスアップデートの投稿をあらかじめスケジュール設定し、自動化できる。サイトを監視し、自社の取り扱い製品やサービスが話題に上がった際にアラートが送信されるようにすることも可能だ。最近では、自動化と監視の両機能を兼ね備えた製品も増えつつあり、センチメント分析機能を備えたツールはもはや、何Tバイトものビッグデータを処理できる高価なツールを入手する余裕のある企業だけのものではなくなっている。「HootSuite」や「Sendible」はいずれも広範な自動化機能の他、アドオン機能としてセンチメント分析機能を備えている。
ソーシャルメディアの監視とセンチメント分析のプログラムには、大きな問題が2つある。「皮肉」と「口語的表現」だ。ITアナリストによれば、皮肉を見極めるセンチメント分析プログラムを作るのは非常に難しく、満足のいくレベルに達しているプログラムはまだほとんどないという。もっと高度で手頃な価格のセンチメント分析プログラムが開発されないことには、「Nice(良い)」という言葉はたとえ皮肉な意味で使われていても、良い意味にしか解釈されない。口語的表現も、見極めが難しい。例えば、ある靴のことを「badass(素晴らしい)」と褒めている人がいたとしても、恐らくセンチメント分析ツールはこの発言を否定的な内容と判断する。こうした問題に対処する最善の方法は、センチメント分析の結果を現実の人間が確認し、ユーザーの発言の真意を理解することだ。
ソーシャルCRMとソーシャルマーケティングに真剣に取り組もうという企業にとって、自動化機能は不可欠だ。「企業はHootSuiteやSocialOomphなど、ごく基本的な管理ツールを検討するといい。あるいはもっとシンプルなTweetDeckでもいい。最初は、高価で複雑なツールなど必要ない」と、ピーター氏は指摘する。
「小さく始めるのがベストだ。まずは、ワークフローとプロセスをよく理解することだ。その上で、より堅牢な製品に移行し、レイヤーやサービスを加えていくといい」と、ピーター氏は続ける。
要するに、重要なのは、「自社の取り扱い製品や顧客、そして顧客エンゲージメント戦略をよく理解すること」だ。これらの点をしっかり押さえられれば、企業は適切なソーシャルメディアを見極めることができ、顧客エンゲージメントの構築に苦労することもないはずだ。
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