進化するソフトウェア定義のストレージ
「VMware vSphere 6」で注目のストレージ機能、VVOL/ VSANでデータ保護はどう変わるか?
「VMware vSphere 6」で新たに加わったストレージに関する機能「VMware Virtual Volumes」(VVOL)と「VMware Virtual SAN」(VSAN)。「Software-Defined Storage」(SDS)を実現するこれら2つの機能により、データ保護はどう変わるのだろうか?
VMwareが2015年3月に「VMware vSphere 6」をリリースしたことは記憶に新しい。
このvSphere 6で新たに加わった「VMware Virtual Volumes」(VVOL)と機能改善された「VMware Virtual SAN」(VSAN)は、「Software-Defined Storage」(SDS)を実現する重要な要素となる。
伊藤忠テクノソリューションズでストレージを中心とした案件対応、技術検証を行っている木島 亮氏に、それぞれの機能概要とデータ保護観点での現状について聞いた。
VMware Virtual Volumes
VVOLは外部ストレージと連係するAPIであり、仮想マシン単位でストレージを管理できる技術である。従来のストレージ管理と何が変わるのだろうか。
木島氏は、「従来は、ストレージ側で設定したボリューム(またはLU)をVMware ESXサーバに認識させ、1つのボリュームに複数の仮想マシンを配置していた。ストレージ機能のレプリケーションやスナップショットはボリューム単位で行われるため、ストレージの操作では複数の仮想マシンが対象となってしまう。単一の仮想マシンに対して、ストレージのスナップショット、レプリケーションを行うためには、1つのボリュームに1つの仮想マシンを配置するという手間を掛ける必要があった。そうすることで、仮想マシンの数だけボリュームが増えてしまい、設定や構築が複雑になり、容量効率が悪いといった問題が起こっていた」と指摘する。その上で、「VVOLの実装はストレージベンダーごとに異なるので一概には言えないが、仮想マシン作成時にストレージのプールからVVOLが払い出される。その結果、仮想マシン単位で(VVOLの単位で)ストレージ機能を利用することができ、先述の課題を一掃できる」とメリットを強調する。
これまでは仮想マシンを作成する前に、ストレージのボリュームを作成する必要があったが、VVOLを使うことによって、VMware vCenter ServerのGUIから自動でVVOLのボリュームが作成される。その結果、ストレージ側の設定を意識する必要がなくなり、ストレージ設計の手間が大幅に削減される。VVOLを使うと、後述するVSANと同じ「ストレージポリシー」がSANストレージやNASでも使用可能になる。
ただし、VVOLの利用には課題は残るという。それは、VVOLの実装がストレージベンダーごとに異なるという点だ。現在、富士通、米NetApp、日立製作所、米Hewlett-Packardなどが先行してVVOLに対応している。多くのストレージベンダーが対応を急いでいるが、「複数ベンダーストレージのVVOLを統合して管理する仕組みはまだ整っていない。また、主要なバックアップ製品もVVOL対応を始めたばかりだ。ただ当面は、VVOLのVADPバックアップはネットワーク経由のみがサポートされるようだ。しばらくは、SANストレージでもFC経由のバックアップはサポートされない」と注意を促す。vSphere 6の本格的な普及と合わせて、各ストレージベンダー、バックアップベンダーの進歩も徐々に見えてくると思われる。
VMware Virtual SAN 6
Virtual SAN(VSAN)は、複数台のESXサーバの内蔵ディスク(SAS、SATA、フラッシュ)を仮想的なプールとして束ねる機能だ。その仮想的なプールは、それぞれのESXサーバからアクセスでき、「共有ストレージ」として動作する。
VSANの登場前は、「vSphere HA」や「vSphere vMotion」など可用性を高める機能を使用する際には、外部に共有ストレージが必要だった。だが、VSANを用いることで外部の共有ストレージが不要となる。また、「ストレージポリシー」機能で、仮想マシン作成時に仮想マシンの管理者にストレージの設定を選択させることができる。VSAN 6ではストレージ機能も充実してきており、より大規模な環境もサポートされている。
インフラコストの削減や運用面の簡素化が注目されているが、データ保護の観点からは少し注意が必要だという。「VSANは外部ストレージを使用しないため、ストレージ機能のクローンが使用できない。それにより、仮想マシンのシステムバックアップは、バックアップ製品によるVADPバックアップが別途必須となる」とのことだ。また、「VSANの『レプリカ数の設定』はストレージのRAIDに相当し、『スナップショット機能』は論理障害にのみ対応でき物理障害には対応できない。これらは仮想マシンのバックアップとはならない」と注意を促す。
さらに、「外部のSANストレージを使用している場合、VADPバックアップはFC経由でのデータ転送が可能だが、VSANの場合のVADPバックアップはネットワーク経由になる。そのため、データ容量と使用するバックアップ製品によっては長時間を要する可能性がある」と続ける。つまり、大規模な環境では仮想マシンのシステムバックアップは、ストレージ機能のクローンの方が適しているケースもあるということだ。なお、その場合の整合性の考慮はもちろん必要だ。
今後、VVOL、VSANの採用を検討する場合は、データ保護の観点についても考慮が必要だろう。
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