マルウェア対策もIPSも1台で
“セキュリティ製品多すぎ問題”を一掃する「UTMアプライアンス」の実力
統合脅威管理(UTM)アプライアンスを利用すれば、さまざまなセキュリティ製品の機能を1台で利用でき、管理も容易になる。UTMアプライアンスの機能と、具体的なメリットを紹介する。
統合脅威管理(UTM)システムは、幾つかのセキュリティテクノロジーを組み合わせたネットワークハードウェアアプライアンスや仮想アプライアンス、クラウドサービスの1種である。一般的に搭載されているテクノロジーは、ファイアウォールや侵入防止システム(IPS)、マルウェア対策、VPN、Web/コンテンツフィルタリングだ。
UTMに関しては、仮想アプライアンスとクラウドサービスの人気が高まっている。どちらもオンプレミスにアプライアンスを用意する必要がないにもかかわらず、一元管理可能で使いやすいからだ。とはいえ、そのベースとなるのはUTMアプライアンスであり、UTMアプライアンスに関する理解を深めることは、製品選定に当たって大いに役立つ。そのため本稿では、UTMアプライアンスに重点を置いて説明する。
「UTMアプライアンス」とは何か
ネットワーク管理者はUTMアプライアンスを利用すると、統合インタフェースで各セキュリティコンポーネントを構成・維持できるので、管理が簡略化できる。各コンポーネントの詳細をダッシュボードに明示的に表示でき、管理の複雑さが緩和され、エラーも少なくなる。パフォーマンスの問題が発生しても、すぐ対処が可能だ。何らかの変更が他のコンポーネントに与える影響を監視することもできる。
さらに、各コンポーネントを個別に入手するよりもコストの総額を抑制できるメリットもある。規制に基づいて必要となったときには、包括的なコンプライアンスリポートを生成することも可能だ。例えば、米HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)や米SOX(サーベンス・オクスリー)法などである。
ただし、UTMアプライアンスには、事前の対処や迅速な修正ができない事象が発生したときに、単一障害点になるという欠点もある。
UTMのユーザー層
UTMベンダーが当初ターゲットにしていたのは中小企業だった。管理作業のオーバーヘッドを低減して、セキュリティに掛かるコストの抑制を支えるためだ。だが信頼性とスケーラビリティの向上によって、UTM製品はエンタープライズ環境で導入されるにふさわしい製品だと見なされるようになった。
UTMアプライアンスは今日、SOHO、小売店、銀行などの金融機関、ブランチオフィス、中小企業、大企業で使用されている。ほとんどのUTMベンダーは、顧客の種類に合わせた製品ラインを提供している。
UTMアプライアンスの特性
ほぼ全てのUTMアプライアンスには、同じ主要機能が搭載されている。各ベンダーは、各種モデルでさまざまな顧客を対象にした追加のコンポーネントを提供している場合がある。主要機能は次の通りだ。
- ウイルス/マルウェア対策:マルウェアなど悪意のあるプログラムをスキャンして、検疫または削除する。中にはスパム対策機能を含むものもある。アプライアンスベースのマルウェアスキャンの場合(ソフトウェアがアプライアンスにインストールされている場合)、スキャンがアプライアンスのパフォーマンスに影響することがある。クラウドベースのマルウェアスキャンを使用するベンダーもある。クラウドベースにすると、スキャン中に使用するUTMアプライアンスのリソースを最小限に抑えることができる
- ファイアウォール:ファイアウォールは、UTMアプライアンスの中核を担うコンポーネントである。一般的なスループットは600Mbps~200Gbpsで、幾つかのポートを使用する。使用するポートの規格は、10/100メガビットイーサネットや、1/10/ 40/100ギガビットイーサネットだ
- IPS:着信するネットワークパケットについて攻撃の特徴を分析し、その結果を定義済みのポリシーに照らし合わせる。安全でないパケットはドロップするか、接続を強制終了して社内LANを保護する
- VPN:社内LANへセキュアにリモートアクセスするためのVPN接続を管理する
- Webフィルタリング:不適切なWebコンテンツへのアクセスを防ぐ。管理者が許可しないURLやドメインを定義する(ブラックリストを作成する)か、フィルターが継続的に更新される評価サービスと通信できる。フィルターは、TCP接続の全HTTPリクエストを傍受できる。コアパッケージにWebフィルタリングの機能を同梱しているベンダーもある一方、Webフィルタリングのライセンスを追加で購入しなければならないベンダーもある
UTMアプライアンスのモデルによっては、アプリケーション制御、帯域幅管理、Data Loss Prevention(DLP)、IDベースのアクセス制御、負荷分散などの機能が搭載されていることもある。こうした高度な機能は、中堅企業や大企業を対象としたハイエンド寄りのシステムに用意されていることが多い。
価格とサポート
UTMアプライアンスのパッケージと販売方法は、ベンダーによって異なる。UTMアプライアンスはベンダーや再販業者から購入またはリースできる。ソフトウェアの更新やアップグレードには、年間契約のサブスクリプションの契約が必要になるのが一般的だ。サブスクリプションの契約は、購入費用の総額を大幅に押し上げることになる。
SOHO向けのUTMアプライアンスの価格は約400ドルから。小さなブランチオフィス向けの場合(サブスクリプションを含む)は約1700ドルからで、標準的な価格は約2500ドルである。中堅企業向けの価格は最低でも2万ドル掛かる。大企業向けに至っては20万ドルを下らないこともある。
追加費用が掛かるのはサポートだ。ほとんどのベンダーが、さまざまなレベルのサポートを用意している。低価格のサポート契約には、制限付きの電話とメールのサポート、オンラインのナレッジベース/フォーラムが含まれる。このレベルのサポートの場合、電話サポートの提供は、営業時間に限られる場合もある。高い価格のサポート契約には、24時間年中無休の電話サポート、4時間または翌日のオンサイトエンジニアサポート、翌日パーツ配送、専任担当者などが含まれる。年間サポート契約の価格帯は500~2万5000ドルだ。
UTMトレーニング
多くのベンダーと再販業者は、管理者とサポートエンジニア向けにUTMトレーニングを実施している。トレーニングを受講するには追加の費用が掛かる。価格はベンダーによって大きく異なるが、1000~3500ドルが一般的な価格帯だ。また、Webベースのセッションなのか、教室で行うセッションなのかによっても価格は異なる。
多くの場合、トレーニングは必要ない。だがトレーニングを受講すると、管理者は自分で学習するよりも、新しいテクノロジーを素早く習得できる。また、他ベンダーの製品へ移行する場合、管理者がトレーニングを受講することは重要になる。特定ベンダーの認定を取得するために、技術スタッフがトレーニングを受講することもあるだろう。
UTMアプライアンスは必要なのか
多くの企業は、さまざまなベンダーのセキュリティ製品を導入して管理している。具体的には、ファイアウォール、マルウェア対策ソフトウェア、IPS、Webフィルタリングソフトウェアなどである。だがUTM製品を使用すると、プロセスが大幅に簡略化され、コスト効率を高めることができる。
最良の方法は、既存のセキュリティアプライアンスに関するドキュメントを作成することだ。このドキュメントには、購入日、サポート終了日、各アプライアンスのメーカー/ベンダー、リプレースに掛かる推定費用を含めるとよいだろう。それから、UTMアプライアンスについて調査し、ハードウェアとソフトウェアに掛かるコストを比較してほしい。
鍵を握るのは、多数のセキュリティコンポーネントを1台のシステムとベンダーで標準化し、1つの管理コンソールから一元管理することで、解放できる担当者の時間だ。前進する上でUTMが賢い選択肢だと考える企業もあるだろう。
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