マネージドサービス普及や景気後退が原動力に
10億ドル市場に急成長、「UTM」はなぜ売れるのか
統合脅威管理(UTM)市場が活況を呈している。市場規模は既に10億ドルの大台を突破し、今後も成長が続く見通しだ。背景には、マネージドサービスの普及やコスト意識の高まりがある。
米調査会社Gartnerがこのほどまとめた報告によると、2011年の統合脅威管理(UTM)製品の市場規模は10億ドルを突破した(UTMについては「【Q&A】統合脅威管理ツールとは?」も参照)。この主な要因は、値段に敏感になったユーザー企業の意向やUTM機器への機能の追加、ネットワーク統合およびコンプライアンス規定への全般的な対応が挙げられる。
UTM市場の規模は、2010年の約9億7200万ドルから2011年は12億ドルへと拡大した。Gartnerの予想では、この成長は今後も続く見通しだ。同社の調査ディレクター、ローレンス・ピングリー氏によると、2011年はUTM製品メーカー大手の米Cisco Systemsや米Juniper Networksに代わって米SonicWALL(米Dellが買収)と米Fortinetが台頭した。これは幅広い製品ポートフォリオも一因となっている。
2011年を通じてUTM技術の普及が進んだのは、マネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)によるところが大きい。
一般的にセキュリティ担当者がいない中堅・中小企業(SMB)は、大部分がMSSPを通じてセキュリティ対策をしている。ピングリー氏は次のように語る。「MSSPは、UTMアプライアンスの販売によって収益が上げられるというメリットがある。ユーザー企業から見ると、MSSPと契約してマルウェア対策やスパムウェア対策機能をファイアウォールに追加したいと思えば、契約を結んだ後にMSSPがそれを有効にするだけで済む。MSSPは、ユーザー企業のために機敏な対応ができ、それは双方の利益になる」
コンプライアンスが普及促進の要因に
北米でUTMの導入が進んだのは、ファイアウォールと侵入防止技術の両方を必要とするPCI DSSなどのセキュリティ/コンプライアンス規制強化に後押しされた側面も大きい。それでも、こうしたセキュリティ要件はまだ不十分だとピングリー氏は言い、「企業が成功を望むのなら、検出ではなく強制という道を行く必要がある」と指摘する。
Webを介した攻撃は高度化の一途をたどり、ハッキング活動が横行する現状にあって、企業はセキュリティコントロールの見直しと強化を進めている。数年前に導入した技術は通用しなくなり、刷新が必要になっている可能性が高いとピングリー氏は指摘。「過去のファイアウォールでは、もはや現在の脅威に十分対抗できない。UTMに課題があるのは確かだが、メリットの方がずっと大きい」と話す。
UTMの機能強化とコスト削減
従来、ファイアウォールのようなセキュリティコントロールはサイロ状態になっており、他のセキュリティ機器と連係することなく単一の役割を果たしているだけだった。だが現在、セキュリティ製品のインテリジェンスが高まり、相互に連係して円滑に一体運用できるようになった。
その結果、UTM市場は急成長を遂げている。2008年から2009年にかけての金融危機で、ほぼ全ての市場に景気後退の影響が及び、セキュリティ業界全体でコスト削減指向へのシフトが起きた。大企業も中小企業も短期的、長期的なコスト削減の方法を模索し始めた。その答えがUTMにあったとピングリー氏は言う。
機能性では専用のスタンドアロンアプライアンスに及ばないかもしれないが、複数のセキュリティ機能をファイアウォールをベースに統合し、1台のアプライアンスに納めたUTMは、大企業にも中小企業にも魅力的だ。「パフォーマンスに与える影響とコスト削減のバランスを考慮しなければならないし、ある程度の妥協も必要になる。だがマルチコアの処理能力のおかげで、UTMアプライアンスのパフォーマンスはより高くなった(参考:ソニックウォールがマルチコアの中規模向けUTM、「ワンランク上を狙う」)。これは、UTMの普及を促進させる最大級の要因になるだろう」(ピングリー氏)
UTM分野の未来は全般的に明るいとピングリー氏は予想し、次のように話す。「市場全体がコスト削減の傾向にあり、その傾向が近い将来に変わるとは思えない。最大の課題は、セキュリティコントロールに十分な監視が行き届かないことだ。SMBはイベントの数に圧倒され、全てを追跡できないこともある。しかし大企業、SMBとも、セキュリティコントロールの強化に力を入れる必要がある」
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