OpenStack環境のストレージ選定ポイント【第2回】
OpenStackストレージ、主要5社の差別化ポイントをまとめた(3/3 ページ)
4.NetApp
・OpenStackストレージ対応製品
Cinder対応ストレージとしては、「NetApp Clustered Data ONTAP」「NetApp E/EF」「NetApp FlashRay」が該当製品。その中でも、エンタープライズ向けプライマリストレージは、clustered Data ONTAPのFASシリーズだ。Swift対応ストレージとしては、E/EFシリーズが該当製品である。
・特徴と強み
スケールアウト型ストレージを実現するClustered Data ONTAPによって、無停止運用可能なアーキテクチャ、ストレージ効率化機能などを多数実装し、クリティカルなパブリッククラウドのニーズに対応している。
具体的には、データ重複排除、圧縮、クローニング、シンプロビジョニングなどの各種容量効率化機能に加えて、ストレージサービスカタログを作成するのに必要なQoS(Quality of Service)機能、マルチテナント機能も先駆けて実装している。国内ではヤフーがclustered Data ONTAPを搭載したFASシリーズを導入し、OpenStackでプライベートクラウドを構築している。
また、NetAppはOpenStackプロジェクトのManilaをリードしており、OpenStack機能強化へも貢献している。なお、ManilaプロジェクトはJunoリリースで小規模プロジェクトとしてスタートしており、正式採用はKilo以降の予定である。2015年3月末時点でのKilo Release Notes(OpenStack 2015.1.0)には記載がないため、正式採用はされていない。
5.EMC
・OpenStackストレージ対応製品
Cinder対応ストレージとしては、「EMC VMAX」「EMC VNX」「EMC XtremIO」「EMC Isilon」「EMC ScaleIO」が該当製品だ。その中でも、エンタープライズ向けプライマリストレージはVMAX、VNXとなる。SDS製品群の1つとしてはScaleIOを提供している。
Swift対応ストレージでは、Isilonと「EMC ECS」が該当製品。ストレージ仮想化アプライアンスとしては「EMC ViPR Controller」を提供しており、多種多様なサーバや他社ストレージが混在するSAN環境下において、ディスクシステムの仮想化を行うことを可能にする。
・特徴と強み
ViPR Controllerによる単一インタフェース、一元的なストレージ管理による運用の標準化、効率化で差別化を図っている。ViPR ContollerはCinderドライバをサポートしており、EMCのストレージ製品群はもちろん、OpenStackをサポートしていない他社製品や汎用製品もOpenStackの管理下で一元管理できる。これによって既存資産の有効活用が可能だ。
また、Junoリリースにおいて、CinderコンポーネントのConsistency Groups機能実装に貢献するなど機能強化にも取り組んでいる。
まとめ
第2回では主要ベンダーの取り組み状況、ストレージ対応製品、特徴と強みについて紹介した。
OpenStackメジャーリリースサイクルは年に2回と非常に短いため、ベンダー各社でコンポーネントへの機能追加および自社製品への機能連係の実装が異なる。従って、導入予定のバージョンで、各ベンダー製品の対応状況の確認および検証などを実施する必要がある。これを踏まえて、製品選定時は以下の3点を考慮に入れてほしい。
- OpenStack新リリースへの対応状況
- 機能面では、独自機能(QoS、シンプロビジョニング、重複排除)の連係可否
- サポート面では、ストレージ単体ではなく、サーバ、ディストリビューションを含めたOpenStack全体でのサポート状況
本稿では上記2については、各ベンダーのコンポーネント(Cinder、Swift)と対応製品の紹介に留めた。次回は、各機能をより踏み込んで比較表としてまとめている。また、ストレージ選定ポイントについても解説する予定である。ぜひ最後までお付き合いいただきたい。
コラム:Manilaプロジェクトとは?
Manilaプロジェクトは、OpenStack環境において、複数のインスタンスの間で共有ファイルシステム(NFS、CIFS)を提供できるように設計・開発を進めているストレージコンポーネントのプロジェクトである。特徴を簡単にまとめると以下のようになる。
1.共有ファイルシステムを提供
2.複数のバックエンドサポート
3.マルチテナントモデル
4.共有タイプの指定
5.テナント指定ネットワークでのアクセス
基本的なユーザー操作としては、OpenStackのWeb管理インタフェースであるHorizonの画面から複数のインスタンスおよびファイル共有を選択するなどして、共有ファイルシステムの設定を簡単に行うことができる。
なお、2015年3月末時点のKiloリリースでは正式採用されていないため、現状では個別インスタンスに直接ログインなどして、共有ファイルシステムの設定を行う必要があるため、ストレージ管理者の運用管理が煩雑になっている。最新の情報および詳細については、こちらのWebサイトで確認できる。
崔 文輝(さい ふみてる)
伊藤忠テクノソリューションズ
ITサービス事業グループ 製品・保守事業推進本部 ITインフラ技術推進第1部 ストレージ技術推進課
2008年、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)入社。ストレージの製品主管として、EMC、NetApp等の技術検証、設計支援、プリセールス支援を担当。趣味はサイクリング。
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OpenStack環境のストレージ選定ポイント
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