中堅・中小企業を先手必勝へと導く「一歩進んだIT活用」を学ぶ【第2回】
「マイナンバー制度」と「ストレスチェック義務化」を賢く乗り切る秘訣とは(2/2 ページ)
日々の業務や企業文化に与えるインパクトを知っておこう
上記の説明の中でまず留意してほしいのが、「施行スケジュール」だ。マイナンバー制度は2016年1月に運用開始、ストレスチェック義務化は2015年12月に施行開始の予定である。いずれについても、企業は2015年中に対応準備を終わらせておく必要がある。では、実際に企業における取り組みはどれ程度進んでいるのだろうか? 以下のグラフは年商100億円未満の中堅・中小企業に対し、2015年1月時点における両制度の認知状況を尋ねた結果である。
マイナンバー制度とストレスチェック義務化のいずれについても「内容を理解しており、自社で対応すべき事項も全て把握している」という選択肢の回答割合は1割強にとどまっている。つまり、認知そのものが大幅に遅れているというのが実態だ。また、それぞれの法制度において企業が取り組むべき事柄を正確に理解/把握していないケースも少なからず見受けられる。
例えば、マイナンバー制度においては、「人事給与システムをバージョンアップし、マイナンバー項目を追加するだけで良い」といった誤解も少数だが散見される。また、ストレスチェック義務化についても、「ストレスチェックを各社員がネットワーク越しに行えるサービスを利用すれば良い」といった認識が意外と多い。
いずれも間違いではなく、人事給与システムのバージョンアップやストレスチェック用のサービスを利用することは有効な対策の1つだ。だが、マイナンバー制度やストレスチェック義務化への対応はシステムを導入/更新すれば終わりというものではない。
ここでもう1度、前述の「企業が取り組むべき主な事柄」をご覧いただきたい。マイナンバー制度では、マイナンバーの収集/管理を企業側が適切に行う義務がある。当然ながら個人情報保護に配慮しながら本人確認を行う必要があるため、マイナンバー収集/管理のための業務フローを新たに整備することが不可欠だ。その際には社員の扶養家族や社外の個人も対象になる。従って、社員の管理のみを前提とした人事給与システムをバージョンアップするだけではカバーが難しい面が多々あるわけだ。
また、ストレスチェック義務化では、チェック実施後の対応を忘れてはならない。医師による面接の手配は企業側が行う必要がある。その際、面接を受けた社員が昇進などの人事考課において不利益を受けないように配慮することが求められる。プライバシーの保護はもちろんのこと、医師の面接を受けることがマイナスに作用しないように企業文化を醸成していく必要があるといえるだろう。
セキュリティや個人情報に関する意識向上の機会と捉えるべき
このように、マイナンバー制度やストレスチェック義務化への対応においては、単なるシステム導入/更新だけでなく、セキュリティや個人情報に配慮した業務フロー整備や企業文化の醸成が求められてくる。中堅・中小企業にとっては年末に向けて大きな負担が圧し掛かってくる状況といっても過言ではないだろう。
では、こうした新たな法制度に対し、中堅・中小企業はどのように取り組むべきだろうか? 消費税率改正と同様にこれらの法制度への対応は“不可避のIT投資”である。だが、避けることのできない負担であるならば、その中から少しでも多くのメリットを見いだそうとする姿勢が大切だ。
既に述べたように、マイナンバー制度とストレスチェック義務化では社員の重要な個人情報が対象となる。個々の社員としても「ウチの会社は私の個人情報をきちんと管理してくれているのだろうか?」と感じる場面が必ず出てくるだろう。つまり、これらの法制度は社員がセキュリティや個人情報への意識を高めるという目的にとっては絶好の機会ということになる。セキュリティや個人情報保護に関連する事故は中堅・中小企業にとっても企業の存続を脅かしかねない事象だ。そうしたことが起きないように、社員一人一人が日頃から高い意識を持っておく必要がある。
マイナンバー制度やストレスチェック義務化の対策と同時に、セキュリティや個人情報保護に関する勉強会を開催するなど、多額のコストを掛けずに取り組める事柄はいろいろとあるはずだ。このように「負担をメリットに変える」という発想を持つことが、法制度対応を賢く乗り切る秘訣の1つといえるだろう。
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