業界の停滞を専門家が懸念
IoT規格争いで「VHS vs. ベータ」の二の舞? 標準化は可能か(2/2 ページ)
規格統一の必要性
これまでに統一化の試みは何度かなされてきた。標準規格化団体のZigBee AllianceとThread Groupは協力して「Thread」ネットワーク上で「ZigBee Cluster Library」を利用できるようにしている。ZigBee AllianceとThread Groupは、協力することで相互運用可能なソリューションを共同提供している。それによって製品開発の合理化を支援し、最終的にコネクテッドホームの利用者がより快適に過ごせるようにしている。また、Thread Groupは、AllSeen AllianceとIPSO Allianceとも連係している。
ただし、このような団体は目的が重複していると見られたり、同じ目的に向かって動いていないと見られたりすることが少なくない。IoT標準化団体であるOpen Interconnect Consortium(OIC)を立ち上げたのは、米Broadcom、米Dell、米Intel、韓国Samsung Electronics、米Wind Riverなどのベンダーだ。その目的は、IoTデバイスとそのデータをワイヤレスネットワークで接続して管理する共通のフレームワークを提供することである。一方、AllSeen Allianceには、米Microsoftを始めとする家電メーカーや自動車メーカーなどIoT業界の関連企業が名を連ねている。このAllSeen Allianceも、オープンソースのAllJoynコードを通じてデバイス間の相互運用性を構築しようとしている。
複数の団体が複数の規格を広めようとしている状況では、全ての団体が本当に協力し合っているのかは疑問だ。「実際のところ全ての企業が連携しているとは思っていない。大きな規模で協力する態勢は整いつつあるが、そのような状況が実現されているとは思えない」(シンプラー氏)
IoTの規格が各種業界のさまざまなニーズを取り扱っていることも問題だ。ホームネットワーク、ドラム缶、医療デバイスでは要件が大きく異なる。また、このような規格でアプリケーション層、ネットワーク層、ハードウェア層などにも対処しなければならないことも問題だろう。現実的には各分野でさまざまな規格を受け入れて普及させる必要があると述べたパネリストもいた。
OICの会長のラムジ・アル・ハラエリ氏は「Bluetooth、Zigbee、Wi-Fiのような規格が現在使用されているのには理由がある。それは、今のIoT市場で最適に機能しているからだ。そのため、これらの規格は今後も使用され続けることになるだろう。異機種混在環境に適合するテクノロジーが廃れることはない」と語り、現在の多様性を奨励する立場を取っている。
IoT団体のIndustrial Internet Consortiumで専務取締役を務めるリチャード・ソーレイ氏は規格の多様性を受け入れている。多様性があることで独占や凡庸さを回避できるとし、「競争は素晴らしいことだ。競争することで品質が向上する」と語る。
IoTに接続したデバイスの台数が前年比で30%増えていることから、IoT市場では実際に断片化が進んでいるのかもしれない。少なくともしばらくはこのままの状態が続いたままIoT市場は成熟し、高いセキュリティレベルに到達できるだろう。
「全てを自分たちだけでやり通せるわけではないことを実感している。規格を取りまとめるには、この広範にわたるエコシステムのどこかに名を連ねなければならない」と国際標準化団体oneM2Mでマーケティング/コミュニケーション部門の会長を務めるリチャード・ブレナン氏は語る。
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