“2020年に300億台”のIoTデバイス
Apple Watch登場でIoTアプリの“ゴールドラッシュ”を予測する人々
IoTやウェアラブル端末やコネクテッドデバイスの導入が予想を上回る勢いで進む中、IT部門は適切な対応を迫られている。IoT、ウェアラブル端末の将来性と、IT部門が解決すべき課題について解説する。
コネクテッドデバイス(インターネット接続デバイス)が専門家の予想をはるかに上回る勢いで広まりつつある。IT部門にとっては、IoT(モノのインターネット)に関する技術と課題をよく理解し、コネクテッドデバイスの管理体制を整えることが急務となっている 。
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企業各社が多くの新しいコネクテッドデバイスの最善の導入方法を模索する中、米調査会社IDCが2015年3月上旬に開催したイベント「IDC Directions 2015」では、IoTが最大のトピックとなった。
IoTはロボット工学やナチュラルユーザーインタフェース(NUI)、コグニティブコンピューティング(知識の蓄積や経験を通じて自ら学習するコンピュータシステム)と並び、ビッグデータ、クラウド、モバイル、ソーシャル技術で構成される「第3のプラットフォーム」分野の技術革新を促進する要因の1つとみられている。
「この革新の局面は、誰も予想しなかったペースで進んでいる」と、IDCの上級副社長兼チーフアナリストを務めるフランク・ゲンス氏は語る。
IoTは今後、あらゆる方面で急拡大を続けることになりそうだ。IDCの予測では、コネクテッドデバイスの数は現在の約150億台から、2020年には約300億台に倍増する見通しという。今回のイベントでは、「新しいIoT技術を採用する必要性」が一貫したテーマとして取り上げられた。
IoT技術に投資すれば、企業はコストを削減できる可能性がある。「例えば、IoTプラットフォームから収集したデータを使えば、手に負えない状況に陥る前に機械の問題を解決できる」と、基調講演に登壇した米ベンチャーキャピタル会社Kleiner Perkins Caufield & Byersのゼネラルパートナー、マイク・アボット氏は指摘する。
「数年ごとに部品をチェックするだけだったのが、部品のオーバーヒートを検知し、交換が必要な部品を特定できるようになる。つまり、必要に応じて部品の交換を行えるようになるということだ」と、同氏は続ける。
ウェアラブル端末市場は急拡大
IoTの中でもウェアラブル技術の市場は急拡大が予想されている。IDCの予測によると、ウェアラブル端末向けのアプリケーションは2014年の2500件から、2019年には35万5000件に急増する見通しという。
さらにIDCによると、ウェアラブル端末は2014年の全世界における出荷台数が2100万台に達し、35億ドル規模の市場になった。
「開発者にはこの先、ゴールドラッシュ並みのチャンスが到来する。今後開発すべきプログラムの方向性は極めて明確だ」と、ウェアラブル端末と携帯電話を担当するIDCの調査マネジャー、レーモン・ラマス氏は語る。
ラマス氏の予想では、ウェアラブル端末向けの新しいアプリはヘルスケアやフィットネスなどの分野では一般ユーザー向けのものが主流となるが、メッセージングやソーシャル、通知などの分野では企業向けアプリの開発も進む見通しという。
そうした基盤が確立するにつれ、米Microsoftのインターネット接続型ヘッドマウントディスプレー「HoloLens」や米Appleのスマートウオッチ「Apple Watch」といったウェアラブル端末が業務プロセスの簡略化に貢献することになりそうだ。
「ウェアラブル端末を導入すれば、従業員は両手を自由に使え、生産性を高められる。タブレットやスマートフォンやPCの画面をのぞき込む必要がなくなれば、どれだけの時間を節約できるだろうか。情報が目の前にあれば、瞬時に確認できる」と、ラマス氏は語る。
IDCが2014年10月に2197人のモバイル開発者を対象に実施した調査では、88%が「企業向けのウェアラブル端末アプリの開発に関心がある」と答えている。ウェアラブル端末から収集するデータの処理で企業を支援するためのプラットフォームには、米APX Labsや米XOEye Technologies、米Salesforce.comなどのベンダーが取り組んでいる。
「ウェアラブル端末が中継点としての役割を担うことで、IoTシステムはより具体的で具体的な存在になる」と、ラマス氏は語る。
解決すべき課題
IDCは2014年、世界各地のITプロフェッショナルを対象に調査を実施し、「向こう2年間に自社のIoT導入を妨げるであろう要因」を尋ねた。949人の回答者が最も多く挙げたのは「初期費用」であり、「セキュリティとプライバシー」「継続コスト」「IoT導入に対する経営陣の賛同を得ること」がそれに続いた。
「セキュリティ対策の不備は革新の妨げになる。第3のプラットフォームのセキュリティ対策を整備しなければ、導入への流れを止めることになりかねない」と、IDCのゲンス氏は語る。
またKleiner Perkins Caufield & Byersのアボット氏は、「IoTのセキュリティをめぐる懸念は、コネクテッドデバイス向けのセキュリティ対策という新たな市場を生むことになるだろう」と指摘する。
企業はそもそも、より大局的な見地でIoTを捉えなければ、IoTの好機を逃すことになりかねない。IDC Directions 2015のセッションでは、タブレット導入に関心を示したある米国主要都市の公園緑地管理部門の事例が紹介された。
IDCのスマート都市戦略担当調査ディレクター、ラスビー・イエスナー・クラーク氏によれば、この市では公園緑地の修繕に遅れが生じており、タブレットを使って保全スケジュールを追跡し、遅れを回避する必要があったという。
「本当のところは、スケジューリングの問題というよりも、データを把握できていないことが問題なのではないかと考えた。そういうことであれば、IoTで解決できるはずだ。新たにセンサーでデータを収集し、活用すればいい」と、同氏は続ける。
IDCでIoTとモバイルサービスを担当する副社長のキャリー・マクギリブレイ氏によれば、経営陣からIoTシステムに対する賛同を得るのは必ずしも簡単ではなく、ときにはIoTに関する話し合いの場にIT部門が参加できないこともある。
「IoTは取締役会レベルの問題だ。CEO(最高経営責任者)は、IoTが自社のビジネスにどのような影響を及ぼすのかを懸念している。取締役会がIoTに戦略的投資を行うのなら、CIO(最高情報責任者)は最初から話し合いの席に参加している必要がある」と、同氏は語る。
IDCが予想するように、5年後にはオンライン化されるコネクテッドデバイスが300億台に増えているのであれば、そうしたデバイスに適切に対処できるよう、ITとビジネスの両方の観点から戦略を見直す必要がある。
「企業は社内のさまざまなデバイスがインターネットに接続している状態に備え、事後対応型から事前対策型へと移行する必要がある」と、マクギリブレイ氏は語る。
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