期待が高まる「ウェアラブル端末の業務利用」、その用途は?ウェアラブルは企業も変える?

Google Glassに対する賛否もある中、ウェアラブル端末の開発競争が熱い注目を集めている。コンシューマー用途だけでなく、企業での活用についても検討すべきときがきている。

2014年02月28日 08時00分 公開
[Cliff Saran,Computer Weekly]
Computer Weekly

 今後数年で、ウェアラブル(身体に装着して使うコンピュータ)テクノロジーは、コンシューマー市場にもエンタープライズ市場にも影響を与える存在となることが期待されている。日本のソニーと韓国のSamsungが既に発売、あるいは発売を予定しているスマートウオッチ(多機能腕時計)、米GoogleのGoogle Glass、米Nikeのフィットネス器具の一種Nike+といった一連の製品は、インターネットの使い方を根本から変える可能性を秘めている。

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 米Gartnerの予測によれば、ウェアラブル機器にすぐに飛びつきそうなコンシューマーはフィットネスに熱心な人々だが、それ以外の層からの関心も集められればウェアラブルテクノロジーは広く普及するだろう。

 フィットネスや体調管理のために利用されるウェアラブル電子機器、アプリ、サービスなどの全世界の売上合計は、2014年は16億ドルになる見込みだ。2016年にはそれが50億ドルにも達するという。

 企業がウェアラブル電子機器に注目する最大の理由は、ブランドイメージまで向上しそうな、画期的な方法で自社製品のラインアップを拡大できるからだろうと、Gartnerは推測する。「この分野に参入したい企業はフィットネス以外にも用途が広がる製品に重点を置くだろう。ウェアラブル端末は、自社顧客のスマートフォン、タブレットやその他のデバイスのアクセサリーという位置付けだ」と同社のアナリストは指摘する。

技術革新の先頭に立つのはコンシューマー

 端末に組み込む演算部分のコストが下がったことで、ウェアラブルテクノロジーの普及は一気に加速した。

 米Accentureで通信、メディア、テクノロジー部門の責任者を務めるデイヴィッド・ソヴィ氏によると、センサーテクノロジーと無線(Wi-Fi)通信の利用が格段に広まったことが、ウェアラブルテクノロジーが大きな進化を遂げた要因の1つだ。

 「温度、圧力、(地理的な)位置、心拍数、風圧などを測定するセンサーテクノロジーが手頃な価格になったこと、それに次世代BluetoothまたはWi-Fiなどのオープンスタンダードが利用できるようになったことで、新興企業も既存の企業と互角に戦える分野ができた」(同氏)

 例えば、米Intelの新製品Edison(写真)のようにSDメモリーカードサイズのコンピュータなら、ファッションデザイナーが筐体部分を外してむき出しで使うこともある。

 Accentureが実施した「Racing toward a complete digital lifestyle」(生活様式の完全なデジタル化への競争)と題した調査によると、回答を寄せた6021人のコンシューマーのうち半数近くが、スマートウオッチを買って試してみたいと答えている。眼鏡タイプのウェアラブル端末に興味を示した回答者も40%を超えた。また、体調管理モニターについては半数以上(54%)が、携帯電話やPCで使えるアプリ、または専用端末を購入することに興味があると答えた。フィットネス管理モニターのアプリや専用端末に興味があると答えた回答者も52%に上る。

 Accentureは、ウェアラブルテクノロジーがこれほど人々の注目を集めているのは、さまざまな形式の端末を「まとめて」駆使して、インターネットに常時接続していたいというコンシューマーの欲求が高まっている現れだと考えている。Accentureのリポートにはこう記されている。「既存の機器の使い方を応用してコンシューマーに新しい端末の使い方を覚えてもらう方法、顧客を引き付けて良好な関係を築く方法、新製品を投入して新たなニーズを掘り起こす方法をつかんだ企業が、業界をけん引する存在となるだろう」

 一方、前出のソヴィ氏は、Nikeのフィットネス関連機器から送信されたデータがNike+コミュニティーサイトで運用されている例を挙げて、顧客データは閉鎖的な場所で個別に蓄積される可能性もあると指摘する。同氏は続けて「スマートフォンと連携させている端末が増えているから、そのうちコンシューマー自身が、(自分で収集したデータで)自分が求めるデータ分析を実行できるようになるだろう」とも語る。

 この点は、コンシューマーが複数のウェアラブル端末を同時に使うときがくれば、重要なファクターになる。

ウェアラブル端末の業務利用

 ウェアラブル端末が収集した膨大な情報をデータに変換することにより、医療や医学研究などの分野に活用できると、ソヴィ氏は考えている。

 Google Glassなどの端末は、職場への拡張現実(AR)の応用を実現する。米GEでソフトウェア部門を率いるビル・ルー氏は、Computer Weeklyが2013年に行ったインタビューの中で、「オペレーターのヘッドセットにカメラを組み込むことができれば、現場の技術者が複雑なパーツを修理するのが楽になるし、修理時に万一何か不手際があれば、製品のエンジニアが修理中の状況の録画を確認することもできる」と語っていた。Looxcieは、頭に装着する(ハンズフリーの)ビデオカメラを開発した会社だ。その製品はVidcieという名前で、これを使えばリアルタイムで映像を見せて(その場にいない人物との)共同作業を現場で行うことができる。

 医療や高度なエンジニアリング業務以外でも、業務用のウェアラブル端末には特定の職務に就く人の特殊な問題を解決する可能性があると調査会社の米Forrester Researchのアナリスト、JP・ガウンダー氏は述べている。

続きはComputer Weekly日本語版 2014年2月19日号にて

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