新規参入相次ぐ
次の注目市場「IoT PaaS」とは? ウオッチすべき4社の名前
「モノのインターネット」(IoT)がその潜在能力を発揮するには、クラウドプラットフォームの構成要素が整っていることが条件となる。IoT PaaS市場に最近参入したベンダー4社から、IoTの活性化に役立つ選択肢を探る。
「モノのインターネット」(IoT)の世界では、あらゆるものが相互につながることが期待されている。だが、それを実現するには、モノとモノとの接続を強化する堅牢なクラウドプラットフォームが必要だ。
現在、市場では新興企業が続々と誕生し、IoT向けPaaS(IoT PaaS)を提供している。一方、IoT市場には「なくてはならないもの」が多いことも事実だ。これについて、米GigaOmのアナリストであるアダム・レッサー氏が報告書「IoT platforms:An emerging market」(新興市場であるIoTプラットフォーム)で警鐘を鳴らしている。IoT PaaS事業者は、大量で複雑な要件を満たさなければならない。具体的には、ハードウェアのフォームファクタ、セキュリティ、拡張性、分析、費用、エンドツーエンドの製品提供などがある。だが、IoT市場で出回っている多くのPaaS製品では、こうした機能のごく一部を提供しているにすぎない。
製品の理解を深めるために、比較的に早くからIoT PaaS市場に参入している新興のベンダー4社を見てみよう。各社はそれぞれのやり方で、IoTの課題に対応している。
Ayla Networks:幅広い条件に対応できるPaaSを提供
米Ayla Networksでシニアプロダクトマーケティングマネジャーを務めるロッド・マクレーン氏によると、IoT市場で新製品を発売するのは難しいことではないという。Ayla Networksの秘策は、カスタムコードがないことだ。「メーカーが可能な限り簡単にデバイスを開発できるようにしたいと考えている」とマクレーン氏は言う。そのため、Ayla Networksは同社のライセンスフリーのソフトウェアをさまざまな半導体企業に提供した。その結果生まれたのが、簡単に接続できるクラウドソフトウェアのスタックが組み込まれた既製のチップだ。
Ayla Networksの幅広い条件に対応できるPaaSは、米Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)で動作させるために開発されている。Ayla Networksの最高技術責任者(CTO)は好評を博している米Amazon.comの電子書籍端末「Kindle」の開発メンバーだった。そのため、両社が親密な関係にあることは驚くことではない。「AWSは安定した優れたプラットフォームだ。必要な拡張性は全て備わっている」とマクレーン氏は話す。
Ayla Networksは他社よりやや遅れてIoT市場に参入した。だが、マクレーン氏によれば、そのタイミングで参入したことで先端技術を利用することができ、同社にとって有利に働いたという。そして、同社の顧客は製品をより早く市場に送り出せるようになった。例えば、ある電気器具メーカーはAyla Networksの組み込みチップとPaaSを利用して、実用に耐え得るプロトタイプを6日間で開発することができた。また、Ayla Networksは最新のセキュリティ技術も利用することができた。各デバイスには独自のセキュリティキーがあり、VPNの役割ベースのユニークなセキュリティアクセス制御を活用している。例えば、スマートホーム家電の取り付け作業員は必要なときにはデバイスにアクセスできるが、後で戻って侵入することはできない。
Carriots:デバイス間の接続機能を無料で提供
スペインに本社を置くCarriotsは、自動販売機間の接続に取り組み始めて以来、使いやすいPaaSを開発してきた。CarriotsのPaaSを利用すると開発者は任意のデバイスを相互に接続して、クラウドに接続できる。その上、このサービスは無料で利用できると同社の最高経営責任者(CEO)のミゲル・カスティージョ・オルガド氏は言う。1社につき最大10人のユーザーがCarriotsのPaaSを無料で利用することが可能で、10人以上のユーザーが使用する場合は、サービスを利用した分のみ課金される。
CarriotsのPaaSを利用するには、シンプルな5つのステップを踏むだけだとオルガド氏は説明する。まず、ユーザーはCarriotsのクラウドプラットフォームにデバイスを接続する。次にCarriotsのRESTful APIを利用して、XMLまたはJSONのデータをやりとりする。それから双方向の通信プロトコルを使用して、クラウドに接続したデバイス用のルールを生成する。ここまでのステップが完了したら、このプロセス全体を何百万台ものデバイスに拡大適用することができる。
CarriotsのPaaSは、米Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上で稼働している。だが、オルガド氏によると、CarriotsのPaaSはプライベートクラウド内でのライセンス供与にも利用できるという。「当社は柔軟性を重視してきた。プラットフォームの接続方法と機械学習をサポートする方法に関して、顧客に自由度と柔軟性を提供したいと考えている」とオルガド氏は話す。同氏によると、Carriotsの製品は市場に出回っている他のIoT PaaSの多くと異なるという。その理由は、独自のフロントエンドをCarriotプラットフォーム上に容易に構築できることだ。それにより、ユーザーはCarriotプラットフォームの機能に、自分たちが望んだ通りの操作性を加えることができる。
IoTにはさまざまな特色がある。そのため、現時点では、望んだ通りの操作性を得られることが特に重要だとオルガド氏は付け加える。Carriotsは、ビール会社からコーヒーメーカーの製造会社に至るまで、「テクノロジーに対する意識が薄い」と同氏が考える分野への技術導入において多くの成功を収めている。
LogMeIn:出足が好調な「Xively」
米LogMeInの「Xively」で最も重視しているのは接続性だ。顧客や製品、メーカーをまとめ、かつ相互に素早く接続するサービスを提供する同社にとって、IoTのPaaS市場にはすき間があった、とXivelyのシニアプロダクトマーケティングマネジャーあるショーン・ローレンツ氏は指摘する。
「難しいのは、データへのアクセスが必要なポイントとシステム全てを特定することだ」とローレンツ氏は指摘し、ユーザーもデータへのアクセスが当然必要だと付け加える。スマートガレージドアを例に挙げると、取り付け作業員にはアクセス権が必要である。だが、セキュリティ上の理由から、アクセス権が与えられる時間は限られる。それから、アクセス権を必要とするさまざまなメーカーのシステムがある。例えば、CRM、ERP、Salesforceなどだ。それに加え、IDアクセス管理の課題もある。つまり、IoT用のプラットフォームは複雑なのだ。そのため、Xivelyでは、企業が「Xively Development Workbench」で全ての接続を簡単に作成し、管理コンソールを利用して動きのある全ての部分を容易に追跡できるようにしている。
次のステップで関わってくるのは分析だ。「企業では分析結果を報告し、異常を検出できる必要がある。それが次の価値あるサービスとなる」とローレンツ氏は言う。
Axiros:IoTデバイスの管理・監視機能を提供
ドイツに本拠地を置くAxirosは、IoT市場では新入りだが新興企業というわけではない。そう語るのは同社でカスタマーソリューションの統括責任者を務めるアルフェオ・パレシ氏だ。また、同社はネットワーク通信業界に12年間属しているため、接続と通信に関しては実績がある。
Axirosが「Axperience」プラットフォームを作成した目的は、顧客が任意のプロトコルを利用して、いつでも自由にデバイスをサービスに接続できるようにすることだ、とパレシ氏は説明する。Axperienceは、遠隔サポート、データ収集、分析に加え、自動サービス認証にも対応するよう設計されている。移植可能な組み込みソフトウェアや動的なWeb APIを使用するAxperienceプラットフォームは、IoTデバイスを管理および監視したいと考えている政府機関、企業、公益事業会社、通信会社を対象にしている。「当社のソリューションを利用すれば、大企業でも自社のIoTの成果を把握することができる」とパレシ氏は話す。
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