マイクロサーバ向けではIntelが優位との意見も
スマホ、タブレットの次はIoTが主戦場、IntelとARMの終わりなき戦い
IoT(モノのインターネット)市場の急成長が見込まれる中、IntelとARMは、ネットワークエッジ用のインフラ機器に搭載されるIoT向けSoC製品で競合する準備を進めている。
米Intelは2015年3月、同社初となる「インテル Xeon プロセッサー」ベースのSoC(System-on-a-chip)製品を発表した。SoCは、IoT(モノのインターネット)を支えるネットワークインフラ機器の心臓部を担っている。これにより、Intelは競合する半導体設計企業の英ARMに対抗する態勢を整える狙いだ。
省電力型の64ビットチップであるこの「インテル Xeon プロセッサー D 製品ファミリー」(以下、Xeon D)は、マイクロサーバ向けの4コアモデルと8コアモデルが発表と同時に出荷開始された。マイクロサーバは、データセンターでネットワークアプライアンスとして使われることが多い小型コンピュータ。Intelは2015年後半に、IoT用のネットワーク機器やストレージアプライアンス向けのXeon Dを出荷する計画だ。Xeon Dは、サーバ用の通常のXeonプロセッサと、モバイルデバイスやマイクロサーバに搭載されるIntelの「インテル Atom プロセッサー」の間に位置する製品だ。
Xeon Dが発表される2週間ほど前には、ARMとそのライセンシーが、通信サービス事業者やクラウドサービスプロバイダーのネットワークのエッジで動作するSDN(Software Defined Networking)機器向けのIoT対応SoC製品を発表している。
IoTに接続されるデバイスの増加に伴い、こうした機器は極めて重要になる見通しだ。ネットワークエッジは通常、トラフィックがコアネットワークに出入りするポイントだからだ。
データ処理のシフトでIoT市場が急成長
IoTの市場規模(ハードウェア、ソフトウェア、サービス、セキュリティを含む)は、2013年の1兆3000億ドルから2020年には3兆ドルに拡大するだろうと、米調査会社IDCは予想している。2018年までに、IoTで生成されるデータの4割がネットワークエッジまたはその近くで保存、処理、分析されるようになる見通しだ。
「近い将来にIoTに膨大なデバイスが接続されるようになり、ネットワークや、クラウドベースのサーバ、ストレージ、アナリティクスに大きな影響を与えるだろう」と、米調査会社J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏は語る。
米Cisco Systemsや米Hewlett-Packard(HP)のようなネットワーキングベンダーは、増大するIoTトラフィックを処理するために、データを全てデータセンターに送信するのではなく、データ処理インテリジェンスをネットワークエッジに多く配置することを提唱している。このアプローチでは、データセンターは最も重要なデータ処理タスクにのみ使用されることになる。
こうしたアプローチで新しいネットワーク機器が開発されており、IntelとARMは、それらの機器向けのSoC市場を獲得したいと考えている。両社間で激しい競争が繰り広げられる見通しであり、そうなれば、こうしたIoT技術を購入する企業が恩恵を受けそうだ。
競争激化が製品を向上させる
競争は価格の抑制につながるだけでなく、イノベーションの促進を通じて、より良い製品の登場を後押しするだろうと、米調査会社Moor Insights & Strategyのアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は語る。
「革新的な市場を特徴付ける要素の1つは、健全な競争だ。ネットワーキング市場では、5つあったアーキテクチャが2つに集約されている。すなわちARMと、Intelのx86だ」(同氏)
将来のネットワーク機器に適したものになるようにSoCを開発しているARMライセンシーは、米Altera、米AMD、米Applied Micro Circuits、米Freescale Semiconductor、米Marvell Technology Group、米Caviumなど。ARMプロセッサはスマートフォン向けおよびタブレット向け市場を支配しているが、IntelプロセッサはPC向けやコモディティサーバ向けで主流となっている。Intelはソフトウェア定義のデータセンター(SDDC:Software-Defined Data Center)向け技術も開発済みだ。
ARMはサーバ向け市場には参入し始めたばかりであり、Intelの方がデータセンター向けでは「先行している」と、ムーアヘッド氏は指摘する。
Intelによると、現在、50以上のXeon D搭載システムが設計されており、その4分の3がネットワーキング、ストレージ、IoTに関連するものだという。Xeon Dベースのマイクロサーバを設計しているメーカーには、Cisco、HP、NEC、台湾Quanta Cloud Technology、中国Sugon Information Industry、米Super Micro Computerなどがある。
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