業界の停滞を専門家が懸念
IoT規格争いで「VHS vs. ベータ」の二の舞? 標準化は可能か(1/2 ページ)
多くのIoT業界関係者は、今もなお「モノのインターネット(IoT)」規格の相互運用性を確保しようと働きかけている。だが、IoT市場は断片化したままであるのが実情だ。
さまざまな企業が「モノのインターネット(IoT)」の採用を試みている。だが、規格争いが表面化したことでIoT業界が断片化し、消費者によるIoTテクノロジーの受け入れを妨げる恐れがある。
多岐にわたるIoT規格
IoTは次世代の重要なテクノロジー領域の1つとして広く認められている。IoTテクノロジーを採用したデバイスは、インターネット経由で消費者や製品のデータを伝送することが可能だ。企業は、IoTに接続したデバイスを自動車や冷蔵庫などの製品に搭載することで製品サービスを自動化できる。また、製品の用途などに関する重要なデータを収集し、関連商品の販売機会を獲得したり、製品改革に役立てたりすることも可能である。もちろん消費者もIoTに接続したデバイスを使用して自分自身に関するデータを収集できる。例えば、リストバンドや健康管理時計から心拍数や歩数などのデータを集めることが可能だ。
だが、こうしたIoTデバイスを管理する規格は多岐にわたり、それによって市場の断片化が生じている。現在、ホームモニタリングシステムには1組の規格しか使用されていないものもあるが、小売店に並ぶ健康管理リストバンドやビーコンではさまざまな組み合わせの規格が使用されている。このように多様なIoTデバイスに対応するユニバーサルアプリを開発しているベンダーは存在しない。そのためデータを組み合わせてあらゆる状況に対応する消費者体験を生み出せるという境地にはいまだ遠く及ばない。
「消費者が利用しているIoTサービスは貧弱だ」とメリッサ・シンプラー氏は言う。同氏はIoT推進団体のAllSeen Allianceでマーケティングボード委員を務めており、2015年5月12~13日に米サンフランシスコで開催された「Internet of Things World 2015」カンファレンスではIoTの規格に関するセッションのパネリストを務めた。「オランダPhilipsの『Philips Hue』用に照明アプリが必要で、米Augustの『August Smart Lock』用にはAugustのアプリが必要になる。だが、消費者は複数の目的のためにアプリを複数所持することを望んでいない。また、各IoTデバイスを制御するためのハブが必要になることも歓迎されない」とシンプラー氏は指摘する。
規格がないと深刻な懸念が生じることにもなる。具体的には、上述のようなIoTデバイスが消費者データのプライバシーとセキュリティを危険にさらす恐れがある。
「このIoT市場ではプライバシーとセキュリティへの理解が最重要事項だ。そこを正しく理解していなければ、IoT業界は停滞することになるだろう」とシンプラー氏は語る。なお、AllSeen AllianceはIoTデバイス用のオープン規格として「AllJoyn」コードを開発している。
IoT団体のIPSO Allianceで役員を務めるジェフ・マリガン氏は次のように語る。普及している各種規格の統一を図らなければ、IoT業界はビデオテープ市場で起こった分裂と同じ失敗を繰り返すことになる。最終的に、このような分裂が原因でビデオテープ業界の発展は遅れることになった。「ベータとVHSのような争いは、今後10年間は必要ない」とマリガン氏は付け加える。
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