新人IT担当者のためのネットワーク機器入門・機器選定編【第1回】
より速く、より密に、よりシンプルに 「スイッチ」の進化に3つの潮流(2/2 ページ)
より高速に
これは最も分かりやすい進化の形でしょう。例えば、米Cisco Systemsの「Cisco Catalyst」シリーズの場合、10年以上前にリリースされた「Cisco Catalyst 2970」シリーズより、後からリリースされた「同2960-X」シリーズのほうが全てにおいて高速です。昨今の爆発的なトラフィック増に伴い、スイッチも高速化の一途をたどっています。10年ほど前に(私が個人的に)トラブルに巻き込まれた10ギガビットイーサネット規格の「10GBASE-X」も今や一般化し、安定的に動作しています。スイッチング能力もハードウェアの高速化や処理の分散化によって、もはや青天井状態です。当然ながら、高速になればなるほど、ユーザビリティは向上します。スイッチは処理能力が足りなくなれば、交換するより他ありません。コストが許す限り、高速な機器の選択を考えた方が賢明といえるでしょう。
より高密に
高速化とともにポートの集積率も高まってきました。一昔前はギガビットイーサネットのスイッチといえば1.5Uサイズが当たり前で、ラックの中を所狭しと占有していました。それが今や10ギガビットイーサネットスイッチですら1Uが当たり前。たかが0.5U、されど0.5Uの差です。その0.5Uがちりも積もれば山となって、膨大なスペースになります。アライドテレシスの「CentreCOM」シリーズを例に挙げてみましょう。10年以上前にリリースされた「CentreCOM 8624XL」は1.5Uでしたが、後継モデルの「同8724SL V2」は1Uで、集積率が0.5U分アップしています。
仮想化技術が隆盛を極める昨今、必要とするポート数は必ずしも多くなっているとは限りません。とはいうものの、ポートは多いに越したことはなく、スペースも広いに越したことはないものです。
よりシンプルに
近年のスイッチにおける最大の技術革新といえば、「Cisco Catalyst 3750」シリーズのスタック技術や「同4500-X/6500/6800」シリーズの「VSS(Virtual Switching System)」、米Juniper Networksの「Juniper EX」シリーズの「VC(Virtual Chassis)」など、複数台のスイッチを1台のスイッチのように見せる仮想化技術でしょう。複数台のスイッチを専用のリンクで接続し、1台の機器として動作させるのです。この技術が普及してきたことにより、冗長化必須のネットワーク環境において、シンプルな構成を採用することができるようになっただけでなく、ついつい増えがちな管理IPアドレスを減らすことができるようにもなりました。
もちろん、仮想化技術を使用できる機器は少々値が張ります。しかし、価格以上のメリットがあるのは間違いありません。選定検討の余地はあるでしょう。
以上、今回は最近のスイッチに関して説明してきました。スイッチはそもそもイーサネット自体がしっかりしており、かつ20年以上も不変ということもあって、単純にスイッチング処理という側面から見ると、ほとんど変わっていません。進化の大部分はハードウェア関連要素の向上によるのが現状です。次回はソフトウェア的な要素を取り入れることによって変化を遂げているルータを説明します。
執筆者紹介
みやたひろし
大学と大学院で地球環境科学の分野を研究した後、某システムインテグレーターにシステムエンジニアとして入社。その後、ネットワーク機器ベンダーのコンサルタントに転身。設計から構築、検証に至るまで、ネットワークに関連する業務全般を行い、今日もどこかで自己研さんを積んでいる。CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)。F5 Certified Technology Specialists。著書に『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門』『サーバ負荷分散入門』(いずれもSBクリエイティブ)
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