進む役割の移行
「SDNとDevOpsで仕事を失いました」と嘆くネットワーク担当者の微妙な立場
SDNとDevOpsにより、ネットワークの制御は仮想化やサーバ、アプリケーションなどの担当者も含めて編成されたチームに移管されつつある。ネットワーク担当者の行く末やいかに。
ネットワークエンジニアはこれまで、データセンターネットワークの制御をほしいままにしてきた。だが、SDNとDevOpsの成果により、ネットワークの制御はサーバチームや仮想化チームの手に渡り始めている。その結果、IT部門はネットワークチームの規模を縮小することになるだろうと米IDC Researchは見ている。
IDCの「SDN調査:データセンターの運用と担当者に関する大きな変化(SDN Survey:Big Changes for Data Center Operations and Personnel)」が明らかにしたところによると、もはやIT部門におけるネットワーク機器調達の判断は、必ずしもネットワーク担当者だけに委ねられているわけではない。サーバ、仮想化、アーキテクチャの専門家も交えた共同チームが形成されているのが現状だ。
また、ネットワークエンジニアが、データセンターのネットワーク仮想化に関して特に責任を負っているとも限らない。詳細は企業によって異なるが、データセンターのネットワーク仮想化に関する責任は、開発者、仮想化の専門家、アーキテクチャ全般の専門家の間で分散されている。
SDN時代の役割分担
IDCでネットワークインフラストラクチャ部門のバイスプレジデントを務めるロヒート・メーラ氏は「影響力は弱まっているものの、ネットワーク担当者はデータセンターのネットワーク調達プロセスにおいて70%の影響力を持っている。だが、少し前までのようにドメインの全権を握っているわけではない」と語る。メーラ氏は、同社データセンターリサーチディレクターのブラッド・ケースモア氏と共同でリポートを作成して公開している。
ネットワークチームがネットワーク調達に最大の影響力を持っていると回答したのは、クラウドサービスプロバイダーで5%、ユーザー企業で10%だ。一方、ネットワーク調達に関する判断は、ネットワークチームとサーバ/仮想化チーム間の協力によって行われていると回答した人はクライドプロバイダーの27%、ユーザー企業の23%に上る。また、ネットワーク調達の判断が、ネットワークチームとITアーキテクチャチームの話し合いによって行われていると回答したのは、それぞれ32%および30%となっている。
クラウドサービスプロバイダーでは、データセンターのネットワーク調達に関する判断からネットワークチームを除外している傾向が見られる。実際IDCのリポートでは20%という実に驚くべき結果が出ている。一方、データセンターのネットワーク調達プロセスからネットワークチームを除外していると答えたユーザー企業は、たった6%だった。
崩壊する縦割り組織とネットワーク担当者の立ち位置
SDNへの転換により、IT部門はネットワークチームを縮小することになるだろう。IDCのリポートによると、27%のユーザー企業と34%のクラウドサービスプロバイダーが、新しいテクノロジーと共同作業によってネットワークチームの規模を縮小できると答えている。
メーラ氏とケースモア氏はリポートで「ネットワークエンジニアはデータセンターチームに再配置される」と結論付けている。ただし、新しいスキルの習得が条件となる。実際、クラウドサービスプロバイダーの54%とユーザー企業の52%は、ネットワーク担当者を別のタスクに配置換えできると答えている。対象となるのは「ネットワークの仮想化」「自動化/オーケストレーション」「分析」「アーキテクチャの計画」などだ。
「変化を受け入れて、新しい分野の知識とスキルを習得したネットワーク担当者は、個人的にも職業的にもSDNから恩恵を受けることができる」と両氏はリポートにまとめている。
ネットワーク仮想化はネットワーク担当者の仕事にあらず
ネットワークエンジニアとサーバチームは10年も小競り合いを続けてきたが、ネットワークが仮想環境に完全に移行してしまえば、もはやいがみ合う必要はなくなるだろう。ただし、クラウドサービスプロバイダーとユーザー企業では対処法が大きく異なる。
クラウドサービスプロバイダーの36%、ユーザー企業の33%にとって、ネットワークチームは仮想ネットワークの「第一の守衛」と認識されている。しかし、クラウドサービスプロバイダーの多くが、仮想ネットワークについての責任はアプリケーションチームが負うものとしている。一方、ユーザー企業では、その責任を負うのはサーバチームと考えているようだ。実際、仮想ネットワークの第一責任者がアプリケーションチームだと答えたクラウドサービスプロバイダーは33%、ユーザー企業は18%だった。また、サーバチームが第一責任者だと答えたのは、それぞれ18%および30%だった。
クラウドサービスプロバイダーでアプリケーションチームが重要な役割を担っているのは、DevOpsが採用されていることに起因していると両氏は考えている。IDCのリポートによると、クラウドサービスプロバイダーの45%は、SDNとクラウドを考慮し、DevOps指向になるためにIT部門の再編成を行ったと回答している。一方、同様の対応を行ったユーザー企業は23%だ。だが、約半数のユーザー企業が将来的にはIT部門を編成すると回答している。そのため、この差は時間とともに変化するだろう。
「クラウドサービスプロバイダーは、アプリケーションを中心にITインフラを見ている。これは、ストレージとネットワークの管理を分けて考えるような慎重な見方の対極にある」とメーラ氏はいう。
ネットワークベンダーは誰に売り込むべきか
ネットワーク仮想化に関する購買と管理の権限が移行しているなら、ネットワークベンダーは新しい顧客に対して売り込みをかける必要がある。
サーバチームやアプリケーションチームは、「自分たちになじみのあるベンダーが提供するインフラテクノロジー」を求めるだろうと両氏はリポートに記載している。
しかし、たとえなじみのベンダー以外に目を向けたとしても、ソフトウェアに関してはより分かりやすい説明を求めるはずだ。
「アプリケーションやサーバ仮想化の担当者は、ソフトウェアという観点で考えることに慣れている。彼らの物事に対する姿勢からすると、ネットワークインフラについてもソフトウェアを保持すべきであり、その方がより正確にコントロールが可能と考えるかもしれない。米Cisco Systems、米Hewlett-Packard(HP)、米Juniper Networks、米Brocade Communications Systemsなどはデータセンター統合について情報を発信している。このようなベンダーは、新しい購買層も問題なく開拓できるだろう。だが、ソフトウェアに関して、より印象に残るような説明をする必要がある」とメーラ氏は強調する。
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