5年後には250億個の「モノ」がつながる
5年後に「IoT」で成功するための条件と懸念点(2/3 ページ)
新たなチャンス
IoTによる大量のリアルタイムデータの流入は、マーケティング、販売、顧客サービスの各分野に新たなチャンスを提供する。
新たな洞察、新たなマーケティング機会
米Oracle Marketing Cloudの製品担当グループ副社長、ジョン・ステティック氏によると、IoTは顧客の「デジタル足跡」から顧客に関する洞察を収集する機会を提供するという。Xivelyのダフィー氏は「企業は、接続された製品から、どの機能がよく使われ、どの機能があまり使われないのかを把握できる。マーケティング部門はフィードバックを受け取るのを待つのではなく、製品の利用データをリアルタイムで入手し、利用されない機能の使い方をユーザーに教えることができる。これにより、ユーザーが製品を最大限に活用できるようになる」と話す。
大規模で費用効果の高いパーソナライズ型顧客サービス
IoTが提供するデータが絶えず流れ込んでくるので、企業はパーソナライズされたサービスを効率よく提供できるようになる。米調査会社Forrester Researchのケイト・レゲット副社長兼主席アナリストは「1対1方式のパーソナライズされたやり方で、顧客に照準を合わせ、顧客と対話し、顧客にサービスを提供することがIoTで可能になる。しかもこれを大規模に行うことができるのだ」と述べている。
事前予測型の顧客サービス
企業はIoTを利用することにより、顧客の問題を即座に解決したり、問題が拡大する前に予防措置を講じたりすることが可能になる。常時モニタリングにより、顧客が問題に気付く前にその発生を予測し、問題を修正できるようになる。「企業は基幹業務用の機器をリモートで監視し、事前に対策を講じることが可能になる。これは問題の予防あるいは縮小、そしてコストの削減につながる」とレゲット氏は語る。例えば、米New England Biomedicalでは、ゲノム研究に使用する遺伝子組み換え型酵素と天然酵素を培養する実験室の利用状況を把握するのにIoTを活用している。不足しそうな備品を即座に補充できるようにするためだ。
IoTで変わるマーケティングとCRM
従来型のCRMとは異なり、IoTから大量データの収集/分析の流れは徹底的に自動化すべきであり、必要がある場合にのみ人間の手によって修正すればよい。個々のデータレコードのサイズは小さいかもしれないが、リアルタイムで更新される多数のデータレコードが各デバイスから送信される。これ対して、一般的なCRM/マーケティング自動化システムは、少数の比較的大きなサイズのレコードを扱う。各レコードには多数の項目が含まれ、データの更新は多くても1日に数回程度だ。
マーケティング用ツールおよび顧客サービス用ツールは、IoTの普及に備えて進化する必要がある。そしてこれらのツールをサポートするマーケティングやCRM、サービスシステムも変化する必要がある。来るべき変化に備えるための戦略を以下にまとめた。
ビジネス目標を明確化する
どんなITプロジェクトについてもいえることだが、明確な目標と成功の基準を最初に設定し、何を達成したいのかを把握することが大切だ。途中で軌道修正する余地も残しておかねばならない。「マーケティング部門は、IoT関連の新技術に対して実験的かつ研究開発的なアプローチで臨むべきだ」とOracleのステティック氏は語る。「変化が激しい今日の社会では、さまざまな新しいアプローチを試す姿勢が企業に求められる。うまくいった手法を採用し、うまくいかなかった手法は放棄すればいいのだ」
通信プラットフォームに投資する
大量に流入するデータを管理するための、標準に準拠した通信プラットフォームが必要である。このプラットフォームは、デバイスやデータストレージおよびアナリティカル型/オペレーショナル型のCRMシステム、マーケティングシステムの間を仲介する役割も果たす。
データウェアハウスの適正レベルを決定する
大量のデータが送られてくるため、流入データの格納および管理のためのデータウェアハウスやデータマート、データレイクといった中間的保管庫が必要になる。
統合システムを構築して洞察を共有する
データを分析して市場および個々の消費者に関する洞察を得ることが大切だ。こうした洞察およびサマリー(要約)データをCRM/マーケティングシステムとの間で共有する。これにより、例えば、製品離れに至る可能性を示す低い利用率データに該当するユーザーに対してマーケティングキャンペーンを展開するといったことも可能になる。データの利用目的に応じて、自動分析やアドホック分析も活用すべきだ。
予防的手段として自動トリガー機能を導入する
例えば、新たなデータが入ってきたら、想定したシナリオに応じて、イベントトリガーからCRM/マーケティングシステムに潜在的な不具合を通知するシステムなどが考えられる。また、トリガーや受信データに基づくイベントベースのワークフローをCRM/マーケティングシステムにセットアップすれば、データをマーケティングキャンペーンの一部として活用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー