渦巻くDockerクラウド市場
「Docker」中心に意地の張り合い、AWSとGoogleの“負けられない戦い”(2/2 ページ)
コンテナで先手を打ったプロバイダーは
GoogleのKubernetesはオープンソースソフトウェアで、Amazon EC2でも実行できる。だがKubernetesのアプローチに対しては、サービスとして理想的な設計ではないという批判や、設定管理エージェントを各ノードで実行する必要があることから拡張性の問題に突き当たりかねないとの批判もある。
これに対するGoogleの答えは明快だ。同社のContainer Engine&Kubernetes担当プロダクトマネジャー、クレイグ・マクラッキー氏によると、KubernetesはGoogleが10年以上も前からインターネットスケールで実行していたシステムをベースとしており、週に20億という膨大な規模でコンテナを運用しているという。
従って、全般的なIaaS(Infrastructure as a Service)としてはAWSに後れを取ってはいるが、GoogleはKubernetesとGoogle Container Engineで十分追い上げられる立場にいる。
例えば、一般家庭とリフォーム業者のマッチングサービスサイトを運営する米Porchは、まだ正式版ではないGoogle Container Engineを本番環境で利用している。その結果を受けて全インフラをAWSからGoogleに乗り換える計画だ。
PorchではGoogle Container Engineの下でKubernetesを使ったことにより、仮想ハードウェアを大幅に統合することができ、現在は当初導入したAWSの約40%をContainer Engineで運用している。
「ECSでこれを試すこともできたかもしれないが、特定の料金体系でGoogleの方が理にかなっていた」とPorchのDevOpsエンジニア、タイラー・デービス氏はそう話す。
Google Container Engineでは継続利用に対して割引料金が適用される。これはAmazonのリザーブドインスタンスでオンデマンドインスタンスよりもリザーブドインスタンスの方が料金が安く設定されていることに対抗した。ただ、Amazonのリザーブドインスタンスが1年または3年の契約を結ぶ必要があるのに対し、Googleの継続利用割引期間は分単位で計算でき、節約できるコストはこちらの方が大きいとデービス氏は説明する。
「Googleの場合、不要なインスタンスを停止して同サイズのインスタンスを起動した場合、時間がたてば追加的な割引が受けられる。これに対してAmazonでは、『インスタンスを1年から3年の間予約する』と具体的に指定しなければならない。だが特定のマシンを実行するというその約束を当社が守れるとは限らず、これは当社の管理や導入の手法に合わない」(デービス氏)
GoogleがKubernetesをオープンソース化して、米Red HatのPaaS「OpenShift」のような他のクラウドサービス事業者による導入やオンプレミスへの導入にも対応させたのは賢明だったとForce12のキュリー氏は指摘する。
実際に、Googleは2015年7月、Kubernetes 1.0に合わせて「Cloud Native Computing Foundation」の創設を主導した。同団体には米IBMやRed Hatなどのエンタープライズクラウドサービス企業が名を連ね、エンドユーザー会員として米Box、米eBay、米Twitterなどが加盟している。
「理論的には単にオープンソースソフトウェアのKubernetesを採用するだけで、どこででも好きな場所で実行できるので、少なくとも理論的には囲い込みは減る。現実的には、別の場所でインフラを構築してくれる業者は存在しないことから、囲い込みが行われるとは思わない。それで多少は安心感が増す」とキュリー氏はそう話している。
Amazonは本稿についてコメントを避けた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー