渦巻くDockerクラウド市場
「Docker」中心に意地の張り合い、AWSとGoogleの“負けられない戦い”(1/2 ページ)
アプリケーションコンテナ技術「Docker」のクラウドサービスを進めるAWSとGoogle。2社が提供するサービスの違いについて紹介する。
米Dockerのクラウドオーケストレーションシステムが、法人顧客の獲得を目指す米Amazonと競合各社の次の主戦場になっている。米Googleが自社のコンテナ管理手法を取り巻くベンダーの新しい業界団体を設立したのに対し、米Amazon Web Services(AWS)はサービスを通じて顧客獲得を狙う。
Dockerクラウド市場はアプリケーションコンテナ技術「Docker」のコンテナに始まる多数の層があり、別のLinuxコンテナフォーマットである米CoreOSの「rkt」とも融合している。コンテナフォーマットとしてDockerが選ばれるのは、Linux OS間で移植するためのアプリケーションのパッケージ化が単純化できることによる。
ただしそれ以上の点では合意には程遠い。
Dockerのオーケストレーションシステムには、下記のような複数のモデルがある。
- 米Mesosの「Apache Mesos」
- CoreOSの「Linux CoreOS」
- Googleの「Google Kubernetes」
- AWSが「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)Container Service(ECS)」のオーケストレーションシステムに使っている独占的なシステム
Amazonのシステムには宣伝的な名称は付いていないものの、Amazonのワーナー・フォーゲルズ最高技術責任者(CTO)は、GoogleがKubernetesバージョン1.0をリリースした2015年7月21日(米国時間)に合わせて、ブログで詳しい説明を行った。
Dockerクラウド市場の層の最上部に位置するDockerクラウドサービスは、こうしたオーケストレーションシステムを使って、サービスとしての手軽なコンテナ管理機能を提供している。これまでのところITプロフェッショナルの間で最も優勢な2大サービスのうち、ECSは2015年4月に正式版となった。「Google Container Engine」はまだプレビュー段階だが、既に本番環境で利用している顧客もある。近く正式リリースが見込まれるものの、日程はまだ発表されていない。
AmazonはPaaS(Platform as a Service)の「AWS Elastic Beanstalk」経由でも、2014年6月からDockerインテグレーションを可能にしており、Dockerクラウドサービス分野への参入の早さで優位に立つ。
モバイル電子商取引アプリケーションのメーカー、オーストリアSweazerの共同創業者クリスティアン・ベイコフ氏にとって、DockerクラウドサービスとしてのElastic Beanstalkは魅力的だった。同社はElastic Beanstalkの最初のバージョンを使って創業し、AWSのヨーロッパ(EU)圏フランクフルトリージョンではまだECSが利用できないことから、当面はこのバージョンを使い続ける予定だ。
「Elastic BeanstalkではDockerイメージが簡単に構築できる。当初われわれには自前のDockerレジストリを構築できるインフラがなかったので、これは非常に便利だった」とベイコフ氏は言う。
Dockerのスケジュール管理機能を手掛けるスペインの新興企業Force12.ioの共同創業者アン・キュリー氏のようなDockerクラウドサービス愛好家によれば、コンテナをホスティングするためにApache Mesosのようなシステムをオンプレミスに導入するのは困難を伴う。同氏は英ソフトウェア企業WorkingProgramの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者でもあり、ソフトウェア開発の分野で20年の経験を持つ。
Force12は実験の一環としてまずECSに環境を設定し、そこから仮想化環境に移行してMesosをインストールした。
「それで分かったのは、現時点でまだ取り組んでいるところだが、これはインストールがものすごく難しいということだった。ECSでの運用が簡単なことに比べて、Mesosを稼働させ、ノードを全て相互に通信させてうまく連動させるのは本当に難しい」とキュリー氏。
ただしAmazon ECSモデルは場合によっては柔軟性に限界があるとキュリー氏は指摘する。例えばパフォーマンス調整のハブの数はMesosの方が多く、Force12の性能実験ではECSよりわずかに高速だったという。
同氏はECSについて「非常に過保護な状態にある」と評する。「極めて簡単に始めることができ、そしてもちろん、ここから始めたユーザーはそのままとどまる傾向にある。Amazonはそれを頼みにしている」
この点に関してAmazonは、Dockerクラウド管理サービス分野でGoogleと競争する上で手堅いビジネスモデルを確立している。他の幅広いサービスを通じて多数の大手企業との関係を確立し、そうした企業は当然ながらAWSの代替サービスにまず目を向ける。
例えば住宅ローンを扱う米Ditech Mortgageでは、まだECSを使っていないものの、最高クラウドアーキテクトのジェイソン・マクマン氏によれば、検討を予定しているという。
「クラウド事業者としてAmazonを承認するためには極めて大掛かりで負担の大きい詳しい調査が必要だった。たとえAmazonがGoogleより優れていたとしても、単純に諸経費がかさんだというだけの理由では移行しない」(同氏)
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