従来型仮想マシンの脅威となる存在
進撃の「Docker」はPaaSプロバイダーをなぎ倒すのか
米DockerとPaaSプロバイダーが提供する機能は似ている。そのため、コンテナプラットフォームはPaaSの代替となり得る。だとすると、DockerはPaaSに完全に取って代わるのだろうか。
競争が激化しているクラウドコンピューティング市場では、強者のみが生き残る。市場が成長を続けるにつれ、より新しくコスト効率の良いサービスが誕生し、類似のベンダー製品に取って代わっているのが実情だ。
米Dockerの「Docker」は、Linuxアプリケーションとその依存関係をコンテナにパッケージ化する仮想化フレームワークだ。こうすることで、さまざまなプラットフォームでLinuxアプリケーションを利用することが可能になっている。一方、PaaS(Platform as a Service)は開発者向けに事前に構成された仮想環境を提供するDockerの類似サービスだ。多くの場合、DockerはPaaSの代替となるかもしれない。だが、オープンソースのコンテナ化テクノロジーであるDockerがPaaSに取って代わることはない。
PaaSの機能には、Dockerが簡単にまねできないものがある。例えば、PaaSはリレーショナルデータベースまたはNoSQLデータベースを基盤として使用することで、持続的なデータストアを提供できる。PaaSプロバイダーはデータベース管理のタスクを預かるが、開発者はデータベースに格納されているデータのライフサイクルを管理する役割を担っている。ユーザーはDockerのイメージを構成して、MySQLや米MongoDBの「MongoDB」などのデータベースを実行することはできるが、開発者がデータベースを管理しなければならない。PaaS環境では、メッセージキューなど他のサービスを完全に管理できる。だが、Dockerを利用していれば、個人で構築したモデルでそのようなサービスを利用することは可能だ。
開発者が好みの開発スタックを含むプラットフォームを活用するためにPaaSを使用している場合、Dockerはその代替となるだろう。開発者は、Dockerの「Docker Hub」のパブリックリポジトリからDockerイメージを選択し、所有する開発サーバやIaaS仮想マシンでイメージを実行できる。何千ものDockerのイメージが用意されているため、必要なツールを備えたイメージが見つかる可能性は十分にある。
DockerがPaaSに取って代わるわけではないが、従来型のIaaS仮想マシンにとってコンテナテクノロジーの脅威が大きくなる可能性はある。IaaSの主要プロバイダーは、ユーザーが特定のマシンインスタンスをプロビジョニングしなくてもクラウドでDockerイメージを実行できるコンテナサービスを提供している。多くの業務で仮想マシンのフルリソースを必要としない企業にとって、この点は特に魅力的だろう。また、管理者は、最大限に活用できるように仮想マシンのサイズを最適化する必要もない。
Dockerを使用すると、管理者や開発者は多くの時間がかかる問題から解放される。そのため、Dockerは仮想化の選択肢として人気を集めている。長い目で見れば、DockerはPaaSやIaaSに取って代わるものではなく、PaaSやIaaSを補完するものだと考える必要があるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[横河レンタ・リース株式会社] AIの全社活用が加速 トヨタ・コニック・プロに学ぶ「AI PC調達」の秘訣 -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] 人材不足時代の「PC調達」ガイド:知っておきたいリースとレンタルの違い -
製品資料
[横河レンタ・リース株式会社] PC調達に「レンタル」を選ぶことのメリットは? リース・購入との違いも解説 -
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド -
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] なぜ「SASE選定は難しい」と言われるのか? 多くの人が陥る失敗パターンを解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
4
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
5
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
8
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
9
【基本情報技術者試験】メモリ不足でもアプリが動くのはなぜ? OSを支える「仮想記憶」
-
10
「契約業務のAI活用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー