DockerのCEOに直撃
Windowsとも仲良く、Dockerのロードマップは2015年も新展開がめじろ押し
Dockerの2015年の技術ロードマップには、Windows対応、オープンソースオーケストレーションツールのリリース、コンテナ製品のアップデートなどが掲げられている。
アプリケーションコンテナ技術「Docker」の2013~2014年における進化のペースは物足りないと言わんばかりに、米Dockerは2015年に入って、まずDockerのオープンソースオーケストレーションツールを「Linux」向けに提供開始し、同ツールの「Microsoft Azure」および「Hyper-V」向けのβ版もリリースした。これはまだ序の口だと、Dockerのベン・ゴラブ最高経営責任者(CEO)は語る。「われわれが2013年に初版をリリースしたDockerは、2014年には7000万ダウンロードを記録し、優れた製品であるだけでなく、巨大なエコシステムをも生み出した。ちょっとしたセンセーションを巻き起こしている」。同氏にDockerの技術ロードマップについて話を聞いた。
――開発者やシステム管理者にとって、Dockerがオープンな分散アプリケーションプラットフォームとして提供する重要な価値は何ですか?
ゴラブ氏 Dockerはアプリケーションだけでなく、アプリケーションの実行に必要な全ての依存関係も記述します。アプリケーションをコンテナ内で実行するとともに、そのコンテナを新しいサーバに移動するのに必要な要件を全て記述すれば、コンテナが適切に構成されているかどうかや、そうした依存関係が満たされているかどうかを心配しないで済みます。全て問題なく処理されるのです。
――Dockerの2015年のロードマップはどのようなものですか?
ゴラブ氏 Dockerはオープンソースなので、実のところ、ロードマップの計画以上に開発が進む可能性もあります。われわれは2014年6月までに、任意のアプリケーションをDockerコンテナとして任意のLinuxサーバで実行できるようにしました。任意のLinuxアプリケーションが任意のLinuxサーバで動作するようになっています。
2014年10月には、米Microsoftとの提携を発表しました。Microsoftと協力し、LinuxとDockerでできることを「Windows」とDockerでもできるようにしようと取り組んでいます。この取り組みは大きな意義を持ちます。
――スケーラビリティもDockerのロードマップに含まれているそうですが。
ゴラブ氏 その通りです。われわれは、1台のサーバ上の1つのコンテナで1つのアプリケーションを開発できるようにすることから出発しました。現在では、さまざまなコンポーネントを持ち、多くのサーバで動作し、多くのコンテナで構成されるアプリケーションの構築と展開を可能にしようとしています。そのためには、これらのコンテナの相互連係、セキュリティ対策、ストレージ利用、ネットワーク通信が適切に行われるようにする必要があります。
――管理およびオーケストレーションソリューションの提供が2015年のDockerのロードマップに入っているのはなぜですか?
ゴラブ氏 われわれは、Dockerコンテナの企業利用の拡大を後押ししたいと考えています。今は、例えば数十人の開発者によって開発された数十のコンテナが、数十台のサーバで使われているだけでも、将来は、数千人の開発者によって構築された数千のコンテナが、数千台のサーバで使われるようになるでしょう。
オープンソースのDockerでは、オーケストレーションの分野で多くのことが大規模に起こっています。大きく進化しつつあるこの分野の技術の1つがクラスタリングです。われわれの「Docker Swarm」がクラスタリングに対応しています。Swarmは、Dockerコンテナのワークロードをスケジューリングして実行するためのネイティブクラスタリングを実現します。また、「Docker Compose」は、例えば開発者がDockerを実行できる構成でマシンをセットアップし、そこにネットワークとストレージの要素を含める場合などに、さまざまな要素からアプリケーションを作成できるように支援します。
――DockerのパブリックAPIは、Dockerの管理ソリューションとしての展開をどのようにして推進するのですか?
ゴラブ氏 われわれは、「高レベルAPIを定義し、コミュニティーの多くの人にこのAPI定義への協力だけでなく、このAPIを使った独自プラグインの開発も呼び掛ける」というアプローチを取っています。この開発では、例えば、彼らがGoogle型のオーケストレーションを好む場合は、同社の「Kubernetes」を使うことができ、Twitter型を好む場合は「Apache Mesos」が使えます。ネットワークやストレージに関しても同様です。
ビジネス利用について言えば、われわれは、非常に広く使われている「Docker Hub」サービス(さまざまなコンテナの検索、公開、利用が可能なホステッドサービス)を、ビジネスに利用しやすくしています。このサービスでは、誰がどのコンテナを公開しているか、それがどこで作成されたかが分かります。コンテナの利用に当たっては、どのコンテナをどこで実行するかというポリシーを設定できます。また、コンテナにバグが多いと思ったら、あるいはセキュリティ上の欠陥やその種の問題があると思ったら、コンテナを廃棄することもできます。
――Dockerコンテナは、Linux、「Apache」「MySQL」「PHP」で構成される「LAMP」スタックとの関係でどのような役割を果たしますか?
ゴラブ氏 例えば、私がLAMPアプリケーションを構築しているとしましょう。それがどのようなものであれ、「L」「A」「M」「P」が必要になります。
Dockerを使う場合には、どのサーバでも稼働している「L」、つまりLinuxを共有できます。しかも、同じサーバでLAMPアプリケーションの他の3つの要素も既に動作していれば、「A」「M」「P」も用意する必要がありません。自分のアプリケーションの差分を用意するだけで済みます。
開発者はDockerを使うことでさまざまな心配事から解放されます。「個々のサーバがどのようなものか」「どのように構成されているか」「搭載OSのバージョンは何か」「物理環境か仮想環境か」「『Amazon Web Services(AWS)』かオンプレミスか」といったことを心配せずに済むのです。すなわち、開発者はアプリケーションに集中できます。それはまさに彼らが望んでいることです。
――Dockerコンテナやサービスを初めて利用しようとしている企業にどのようなアドバイスをしますか?
ゴラブ氏 スモールスタートをお勧めします。Dockerのメリットの1つは、1人の開発者がDockerを使って、1日で価値を得られることです。組織内の多くの同僚から力を借りたり、1カ月にわたるプロジェクトを実施したりしなくてもよいわけです。一般的に、人々は物事をシンプルに始めます。ステートレスアプリケーション(※)から始めて、まず開発環境に導入する、といった具合です。そして開発、ビルド、テストを経て、実運用の検討に入っていきます。
※ ステートレスアプリケーション セッションで生成されるステートデータ(ユーザー設定や発生したイベントに関する情報など)をセッションをまたいで保持する機能を持たないアプリケーション。
Dockerの適切な導入方法は、徐々に段階を踏んでいくことだと思います。そうして着実に成果を積み上げ、価値を得ていけば、多かれ少なかれ、自然と導入が進んでいきます。さまざまな部門が関わる大規模な導入プロジェクトをいきなり行おうとするのは禁物です。Dockerの考え方にそぐわないからです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
5
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
6
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
7
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
9
「SIEMの利用」に関するアンケート
-
10
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー