インフラ管理者のためのDocker解説【第2回】
Dockerをサポートする主要サービス9選
Dockerを使ったサービスにはさまざまな種類が存在する。コンテナイメージの管理、ホスティング、CI(Continuous Integration)、クラウドと、各種サービスをカテゴリ別に紹介する。
2014年から一気に伸びているDockerだが、その周囲には早くも経済圏(エコシステム)が出来上がってきている(関連記事:第1回「企業での安定稼働に向かう「Docker」、2014年をまるっと振り返り」)。自社でDockerを使ってインフラを構築する以外にも、Dockerを使って第三者にサービスを提供できるというのはオープンソースならではの利点といえるだろう。
そこで今回は、Dockerを使って提供されている各種サービスをカテゴリ別に紹介する。こうしたサービスを使うことでDockerの管理コストが下がったり活用の幅が広がるはずだ。
1.コンテナイメージの管理
まずは基本となる、Dockerのコンテナイメージを管理するサービスだ。Docker本体が提供するクラウドサービス「Docker Hub」と、Docker用ディストリビューションであるCoreOSを開発する米CoreOSが提供する「Quay.io」を紹介する。
Docker Hub
Docker HubはDocker本体が提供するサービスである。そのためdockerコマンドからの使い方も簡単で、すぐに使えるようになる。一般公開されるコンテナイメージは幾つでも無料で登録できる。ただし、社内で使うようなプライベートなコンテナイメージの管理は有料だ。最もミニマムなMicroプランでは、5つのプライベートリポジトリを月額7ドルで利用できる。
Quay.io
Quay.ioもDocker Hubと同様のプライベートコンテナを管理するサービスである。特徴的なのはチームでの管理にも対応していることと、コンテナイメージの更新に対してビジュアル的な管理ができるようになっていることだ。Docker HubはシンプルなUI(ユーザーインタフェース)でほとんど機能がない。Quay.ioの方がより企業向きで、使いやすいだろう。
Quay.ioは5つのプライベートリポジトリが月額12ドルからとなっており、Docker Hubよりも若干高い。
2.ホスティング
Dockerを使ったホスティングサービスが増えている。クラウドに比べると仮想環境のリソースが少なくて済むこともあり、安価で提供されている。従来の共有サーバに比べると各リソースやアクセス権が独立しているのでセキュアである。
Stackdock
「Stackdock」はDockerコンテナ向けのホスティングサービスである。Dockerコンテナの設定ファイルである「Dockerfile」を使ってコンテナを立ち上げることができる。SSDを使ったコンテナを月額5ドルから利用可能だ。
Deis
「Deis」はオープンソースのPaaSである。「Heroku」のようにDockerコンテナを立ち上げてサービスとして利用できる。執筆時点では、Ruby、Python、Node.js、Java、Clojure、Scala、Play、PHP、Perl、Dart、Goといったプログラミング言語で書かれたアプリケーションをデプロイできる。
3.CI
「CI」はContinuous Integrationの略で、開発したコードを自動的にテストやビルドをして品質を保ってくれる仕組みである。Dockerを使うことでテスト時に一時的に使う環境を構築し、サーバやユーザー環境を本番環境と同じ状態にしてテストをすることができる。テスト環境を構築したり、リセットすることは手間だが、Dockerを使うことで使い捨ての環境が素早く手に入る。
CircleCI
2014年8月のブログ記事「Announcing Continuous Delivery with Docker containers」によると、「CircleCI」ではDockerに対応したCIをサポートしている。自分が作成したDockerfileを使ってテスト環境を構築し、実行できるということだ。
Dockerを使って本番環境を構築している場合、テスト環境と本番環境が同一の状態で検証できるというメリットがある。
Shippable
「Shippable」はもともとDockerベースのCI環境としてリリースされていたようだ。Docker Hubとの親和性が高く、テストした内容をDocker Hubに公開することができる。テストして通ったものをDocker Hubに送り、それを本番環境でデプロイするという流れが作れるのが魅力だ。
4.クラウド
最後にクラウド(IaaS)に関連したサービスを紹介する。クラウドはそれ自体が仮想環境だが、Dockerはコンテナ型であるため、クラウドの仮想サーバに対してもDockerコンテナを立ち上げることができる。それによりポータビリティ性が増し、どのクラウドでも同じように動作させることが可能になる。
Tutum
Tutumは各種クラウドサーバに対してDockerをデプロイしてくれるサービスである。クリック1つで各種クラウドサービスに対してデプロイし、そのステータスを監視できる。コンテナを増減させるのも簡単だ。今は「Microsoft Azure」「Digital Ocean」「Amazon Web Services」(AWS)といったクラウドサービスの他、任意のLinuxサーバにも対応している。執筆時点ではまだβ版であり、無料で利用が可能だ。
Amazon EC2 Container Service
「Amazon EC2 Container Service」は、米Amazon Web Servicesが提供するコンテナ管理サービスである。コンテナ対応アプリケーションの起動/停止がAPIリクエストによって可能だ。従来のインスタンス管理ではなく、さらに細かいコンテナ単位でアプリケーションの起動/停止が指示できる。なお、Amazon EC2 Container Service自体は無料である。
Google Container Registry
「Google Container Registry」はプライベートなDockerリポジトリを高いセキュリティ環境下でホスティングするサービスである。細かなアクセス制御、サーバサイドでの暗号化、「Google Container Engine」などへの高速なデプロイが可能になる。バックアップやモニタリングなどの機能もあるので企業でのDocker利用にも有用だろう。
ユーザー企業にとってDockerは、自社のITインフラに構築して利用することが基本的な使い方になるだろう。一方で、Dockerを使ったサービスを利用するのもまた面白いのではないだろうか。
2015年は、仮想化やDockerにますます注目が集まるだろう。トレンドを知り、自社の中でどう生かせるかを検討するためにも、ぜひDockerに触れてみてほしい。
中津川 篤司(なかつがわ あつし)
MOONGIFT 代表/プロデューサー
オープンソース・ソフトウェアを毎日紹介するブログ「MOONGIFT」、スマートフォン/タブレットのアプリ開発者およびデザイナーを対象にしたメディア「Mobile Touch」を運営。B2B向けECシステム開発、ネット専業広告代理店のシステム担当を経た後、独立。多数のWebサービスの企画・開発およびコンサルティングを行う。2013年にMOONGIFTを法人化し、現在に至る。
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インフラ管理者のためのDocker解説
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