セキュリティ強化に向けた選択
「パスワードのない世界」でクラウドを守る――注目されるオープン規格(2/2 ページ)
クラウド認証におけるオープン規格と専用システムの争い
クラウドでは特にそうだが、新しい認証手法が成功を収めるには、大手企業によるサポートと採用が不可欠だ。現在、FIDOは米Microsoftと米Googleから積極的な支持を受けている。米AmazonはまだFIDOを採用していないが、いずれ採用することになると考えて間違いないだろう。同様に、OpenIDはOpenID Foundationから支援されている。OpenID Foundationのメンバーには、Microsoft、Google、米Symantecなど業界の主要企業が名を連ねている。SAMLも、Amazonや米Dropboxなど、クラウド業界の主要企業から支持を得ている。
大手企業の支持によって、クラウド環境ではオープン認証規格の普及が加速する可能性がある。オープン規格にはどのようなメリットがあるのだろうか。オープン規格では、規格の開発において非常に幅広い連係が可能になる。また、Webサイトやアプリの開発者に課される要件は、特定のオープン規格に対応するように開発することだけで、複数の異なる専用システムをサポートする必要はなくなる。
ただし、オープン認証規格には幾つかのデメリットも存在する。認証規格のコードは誰でも入手できる。つまり、ハッカーにも利用されるということだ。ハッカーは脆弱(ぜいじゃく)性を見つけるために非常に詳しく調査できるようになる。そのため、専用システムと比較すると、ハッカーはオープン認証規格のシステムの仕組みについてずっと詳しく知ることが可能だ。またオープンシステムは、メンテナンスとセキュリティの修正をコミュニティーに依存している。米TrueCrypt Foundationの「TrueCrypt」が実証したように、いつサポートが終了しても不思議はなく、企業は採用しているシステムがサポートを受けていないという状況に置かれる恐れがある。もう1つの大きなデメリットは、ユーザーが新しいシステムを学習しなくてはならない点だ。システムを簡素化することが狙いとはいえ、ユーザーをパスワードベースのシステムから移行させるのが容易でないのは今に始まったことではない。
オープン規格:クラウドでの安全な認証に向けた下地作り
総合的に見ると、クラウドサービスプロバイダーは、オープン規格によってクラウドでの安全な認証の道を切り開くまたとない機会を得ることができる。また、これまでに企業や個人を標的にしてきた一部の攻撃を阻止する上で、クラウドプロバイダーは重要な1歩を踏み出すことにもなる。
パスワード認証の全盛期は何年も前に終わっているべきものだった。本稿で紹介したオープン規格によってパスワードが完全に撤廃されるわけではないが、より安全な認証メカニズムの実現に向けて大きく前進することになるだろう。私たちにできるのは、クラウドサービスプロバイダーが連携して、この道を歩み続けてくれることを願うことのみだ。
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