生徒に少し早い会社体験
もうメールでは無理――品川女子学院がコミュニケーション手段を見直した理由(2/2 ページ)
小規模ユーザーから徐々に拡大
コミュニケーションツールを導入した際に課題となるのが、ユーザーに対する利用の促進だ。ツールを導入しても、ユーザーがいなければコミュニケーションツールとして成り立たない。やはり品川女子学院でも、サイボウズLiveの導入当初はIDを発行してもログインしない生徒がいた。またインターネットを使って情報共有や議論ができるグループウェアの仕組みを理解してもらうことにも少し時間がかかったという。
品川女子学院では、まず一部のユーザーを集めて小規模で利用を開始した。主に新しいテクノロジーが好きな教職員からスタートし、生徒会でも利用してもらった。こうして一部のユーザーが慣れ親しみ、徐々に利用を拡大することで、自然に広まっていったという。
生徒の利用を広めるにために、「生徒が欲しがる情報をサイボウズLiveに可能な限り網羅するようにした」と酒井氏は述べる。例えば、期末テストの範囲や小テストの内容など学校生活の幅広い情報をサイボウズLiveに集約することで、生徒は「サイボウズLiveを見れば、必要な情報が手に入る」と考えるようになる。使い方が分からない生徒を教職員がサポートしつつ、皆が求める情報を掲載することで、徐々に生徒の間でも利用頻度が高まっていったという。
外部からの教育情報も積極的に共有
サイボウズLiveを導入して3年目となる品川女子学院。生徒とのコミュニケーションの効率化にサイボウズLiveを役立てているという。例えば、5分という限られたホームルームの時間をサイボウズLiveによってより有効に使えるようになった。具体的には、クラスで決めるべきことがある際は、情報をまずサイボウズLiveに掲載。生徒はその情報を確認し、ホームルームでは多数決を取るのみといった工夫をしている。「生徒は、勉強や習い事、塾などで忙しい。サイボウズLiveの活用と運用の工夫で、生徒も時間を有効に使えるようになった」と酒井氏は説明する。
教職員同士の効率化とコミュニケーション活性化にも、サイボウズLiveを生かしている。酒井氏は「教職員同士で余計な会議をする必要がなくなった」と効果を説明する。「軽い議論は全てサイボウズLiveでできる。書類確認などの情報共有も簡単で、会議のように時間を合わせて集まらなくても、空いている時間にオンラインで議論できるようになった」と同氏は語る。
酒井氏は、サイボウズLiveにさまざまな教育情報を共有するグループを作り、外部で聞いた講演やIT関連情報を書き込むようにしているという。「このグループ機能が思った以上に便利で、誰がどのようなテーマに興味を持っているのか把握できるようになった。議論も盛んで、グループでの話題から新たなアイデアが生まれることもある」と酒井氏は語る。タブレットの導入に当たっても、最初は「遊びに使ってしまうのではないか」との声があったというが、既に教育機関での導入事例もあり、そうした情報をサイボウズLiveで共有したことから、前向きに検討が進んだという。
「学校内にいるとあまり外の情報が入ってこないが、誰かが情報を共有することで全員の情報ベースがそろうようになる。こうした意味でもサイボウズLiveを導入した意義は大きい」と酒井氏は述べる。その結果、ITの利用促進に対して全員の意識が高まったことを大きな効果として挙げる。
保護者や卒業生とのつながりも模索
ただし、サイボウズLiveも完璧ではない。「感覚的に使える機能はよく使うが、ユーザーインタフェース(UI)で作業にワンクッションがあるとストレスになって使わなくなる」と酒井氏は話す。そのため、サイボウズLiveのカレンダー機能やアンケート機能は使っておらず、カレンダー機能は「Googleカレンダー」、アンケートは「Googleフォーム」を利用しているという。
グループに参加する際にメールアドレスが必要なことに関しても、酒井氏は「ednityのようにグループに付与された『コード』さえ分かれば参加できるようにしてほしい」といった要望を挙げる。品川女子学院生が現在使っている連絡手段は「LINE」が中心であり、メールを利用する生徒が減っている。コードの入力だけで参加可能にすれば、生徒がグループへ参加しやすくすることができる。またグループを作り、保護者に配布するプリントにコードを記載することで、保護者用のグループを容易に作成することも可能だ。
現時点では、クラウドに情報を置くことに抵抗ある人もいるため、教職員全員がサイボウズLiveを使っているわけではない。品川女子学院では、もともと全教職員向けにイントラネットを導入しており、全教職員に情報を流す場合はイントラネットを使用している。このように情報を流すツールを2つ使っているため、その使い分けが今後の課題だ。
28プロジェクトを掲げる同校にとっては、卒業生も重要な存在である。その卒業生とつながる仕組みも模索したいと酒井氏は言う。「28歳になった時に社会で活躍していてほしいという教育方針を掲げる当校にとって、卒業生のその後はとても重要だ。卒業生向けの特別講座を用意したくても、連絡先が整っていないと情報が届かない。この課題を今後解決していきたい」と酒井氏は述べ、コミュニケーションツールで在校生・卒業生問わず生徒とのつながりを深めたい考えだ。
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