Japan IT Week春 2015リポート
実現しつつある「メール不要時代」 最新グループウェアの新機能とは
国内のグループウェア製品の動向はどうなのか。2015年5月11日~13日に開催された第7回クラウド コンピューティングEXPOで出展していた、主要なベンダーのブースを紹介する。
「第7回クラウド コンピューティングEXPO」が2015年5月11日~13日、東京ビッグサイトで開催された。同イベントは、総合ITイベント「Japan IT Week春 2015」内の専門展の1つだ。SaaSをはじめとするパブリッククラウドやプライベートクラウドといったクラウド構築サービスなどの製品/サービスを中心に、多数の企業が展示ブースを設置。各社は最新のテクノロジーをふんだんに活用したソリューションを紹介してイベントを盛り上げていた。今回のクラウドコンピューティングEXPOの中から、会場の注目が集まったグループウェアおよび関連製品を紹介する。
古いしがらみからの脱却、社内でメールはもう古い
サイボウズでは、「サイボウズ Office 10」の活用方法として同社のワークスタイルを紹介していた。同社のワークスタイルで、注目すべきは「従業員同士ではメールは使わない」点だ(写真1)。
サイボウズでは従業員同士、メールを一切使わずサイボウズ Office10のメッセージや掲示板機能を使ってコミュニケーションをしている。例えば、チームのメンバーや部署同士がやりとりにメッセージや掲示板機能を使うことで、過去のやりとりを全て残すことができる。それにより、メンバーに変更があった場合でも情報を容易に共有することが可能だ。メッセージ機能には送信先の人の閲覧状況を確認する機能があるため、重要な情報を送った場合、共有したメンバー全員がその情報を見ているかどうかを確認することができる。
今まで社内メールでメールフォルダが埋もれてしまい、顧客からのメールを見逃したり、探すのに時間がかかり悩んでいた人も多いだろう。だがそれも、サイボウズ Office10のメッセージや掲示板機能を活用することで、社内メールでメールフォルダがたまることがなくなり、顧客からのメールを見逃す心配が無くなるとサイボウズは説明する。
サイボウズでは今後も、社内メールを使わない「No-Emailワークスタイル」を推進していくという。
サイボウズの大規模向けクラウドグループウェア「Garoon on cybozu.com」(以下「Garoon」)ブースでは、Garoonのサービス紹介と合わせて「Notesマイグレーション」を説明していた。Notesマイグレーションとは、グループウェアの先駆けである「IBM Notes/Domino」を運用/維持コストの高さやサポート切れなどの問題から、他社のグループウェアに移行するというものだ。
Notesは、使用するときに企業の業務内容に合わせてデータベースやプログラムを作る必要があり、データベースが社内に乱立する傾向があるとサイボウズは説明する。データベースが乱立することで、運用/維持コストが高く掛かる。また、エンドユーザーから見ると必要な情報がどこにあるのか分からないといった状態になる。「そのような背景から、Notesマイグレーションを考える企業は少なくない」(サイボウズ)
サイボウズによると、今まではNotesからGaroonへ移行する理由として、Notesを十分に使いこなせていないことを挙げる企業が多かった。こうした企業は、Notesのシステムをデータとともに維持したまま、新規にGaroonを使い始めることが多かったという。だが最近では、Notesを使いこなしているものの、機能追加がしやすいといった柔軟性やスケーラビリティ、スピード感を求めるために移行を検討する企業が増えているという。そのような企業が増加していることもあり、サイボウズはNotesとGaroonの違いを表で展示したり、Notes 8.5からGaroonのデータ移行のイメージ並べるなど、両者を比較しやすいように展示に工夫を凝らしていた(写真2)。
サイボウズのブースでは、実際のマイグレーション成功事例として、東洋ハイテック、中野製薬、シダックスの3社の事例を展示。3社とも運用コストの削減につながったという。
3つのツールのコラボレーションで作業効率化を実現
プロジェクト管理におけるコラボレーションについて紹介していたのはアトラシアンのブースだ。プロジェクト管理ツール「JIRA」とプロジェクト情報管理ツール「Confluence」、チャットツール「HipChat」の3つを組み合わせて実現するコラボレーションについて展示していた(写真3)。
JIRAを使うと、プロジェクトの管理者はワークフローを可視化し、プロジェクトチームのメンバーが行うべき仕事(課題)を管理できる。洗い出した課題をプロジェクトチームのメンバーに割り振り、作業進捗を確認することが可能だ。作業の進捗具合や、割り振った課題の量を可視化することで、メンバーの作業負荷が分かり、その後の仕事の割り振りに役立てることができる。
Confluenceは、資料や製品要件、プロジェクトプランニングなどのドキュメントをWebブラウザで作成しチームで共有する機能を持つ。共有したドキュメントをチームで編集できるので「ドキュメントを編集後、メールで確認依頼」といったやりとりを何回もしなくて済む。また、ドキュメントにいつ、誰が、どのような変更をしたのかを、自動的にバージョン管理する機能も搭載。メンバーは変更履歴とともにドキュメントを確認できるので、効率的なドキュメント作成が可能だ。
HipChatではリアルタイムでテキストチャットやビデオ通話ができる。JIRAやConfluenceといった他のAtlassian製品とは標準でAPI連係しているので、JIRAでの課題作成やConfluenceでの文章作成などをHipChatのテキストチャットで通知することが可能だ。
コミュニケーションをもっとお手軽に
ネオジャパンは、グループウェア「desknet's NEO」を出展。スケジュールや設備予約、ToDoなどの基本的なグループウェアの機能だけではなく、「ネオツイ」と呼ぶ社内コミュニケーションツールを備えることが特徴だ。ネオツイを起動すると、「お知らせ」「つぶやき」「ダイレクトメッセージ」の3個のウィンドウが表示され、下記のような形で使用できる(画面1)。
| お知らせ | メール通知やToDo、申請書など自分宛ての情報を確認できる |
|---|---|
| つぶやき | 社内に向けて、日々のトピックスやちょっとした情報を短いメッセージで発信できる |
| ダイレクトメッセージ | 1対1のメッセージのやりとりができる。チャット形式のインタフェースやスタンプや絵文字が使え、気軽にコミュニケーションが取れる |
韓国生まれのグループウェア、その実力とは
LG CNSジャパンは、グループウェア「LG CNS Clover」とモバイルアプリケーション版の「Cloverモバイル」を中心に出展した。Cloverは、韓国LG CNSが韓国を中心に展開しているグループウェアで、国内では日本人のワークスタイルに合わせて、機能を追加し販売されている。
Cloverは、基本的なグループウェア機能に加え、日本で要望が多かった承認プロセスの自動化ができるワークフロー機能、災害時に安否確認メールを一斉送信できる安否確認機能など、全23種類の機能を兼ね備える。中でも、My業務機能は、日別のToDoやスケジュール、ワークフローの承認/申請状態などの自分の業務を1つの画面に表示できる機能だ。対応済みの作業と未対応の作業を一覧表示し、従業員は自分の作業の残り量をひと目で把握できる(写真4)。
モバイルアプリケーションのCloverモバイルは、Cloverの全23種類の機能のうちスケジュールやワークフローなど特定の12種類の機能が使用できる。各機能はアイコン画像で表示されており、ひと目で分かるユーザーインタフェースとなっている(写真5)。また、外出先でモバイル端末を落としたとしても、Cloverのプロファイル欄より遠隔操作でアプリの利用をブロックしたり、初期化したりすることが可能だ。
今回紹介した製品の利用料金
本記事で紹介した製品をSaaSで使った場合の最小利用料金(税別)は下記となっている。オンプレミス版とパッケージ版は、各製品の公式サイトを確認してほしい。
| ベンダー名 | サービス名 | 年間料金 | 最小構成人数 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| ネオジャパン | desknet's NEO | 4800円(1ユーザー当たり) | 5ユーザー | |
| サイボウズ | サイボウズ Office10 | 5800円(1ユーザー当たり) | 5ユーザー | |
| Garoon | 9935円(1ユーザー当たり) | 10ユーザー | ただし、10~300ユーザー構成の料金 | |
| LG CNS | Clover | 8400円(1ユーザー当たり) | 10ユーザー | 料金はSBI-LGシステムズの場合 初年度は4800円 Cloverモバイルは無償 |
| Atlassian | JIRA | 8万5000円 | 11ユーザー | 料金はリックソフトの場合 JIRAとConfluenceは11~15ユーザー構成の料金 HipChatは50ユーザー構成の料金 |
| Confluence | 8万5000円 | 11ユーザー | ||
| HipChat | 20万4000円 | 50ユーザー |
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