今こそソーシャルコラボレーションツール導入の好機
上司が理解しない「仕事にもFacebookが必要」な理由
従業員はコラボレーションツールを理解し、私生活で活用している。IT部門が巻き返しを図るべく効果的なソーシャルプラットフォームを企業環境に導入するのは、今が最適な時期だろう。
ソーシャルコラボレーションツールは普遍的な存在になっている。だが、企業は、この分野で後れを取っている。変化するソーシャルの世界に追い付く責任はIT部門にある。ソーシャルコラボレーションツールが従業員の業務において何を提供し、社内のユーザーとどう交流を図れるのかという2つの観点で対応が必要になる。
SNSが働き方を変える
一般消費者向けのテクノロジーは、ビジネスのプロセスに計り知れない影響を及ぼす可能性を秘めている。その原動力となるのは、ソーシャルメディアのようなコラボレーション機能の力だ。「Facebook」のようなサービスが登場し、モバイル端末が普及したことで、より短い応答時間と大規模なコラボレーションの新時代がやってきた。
この20年間、私たちは米Microsoftの製品を中心とした環境で作業を行ってきた。具体的には、メール、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションソフトウェアだ。米トロントのConstellation Researchで主席アナリストを務めるアラン・レポフスキー氏によると、コンピューティングが変化したのと同じように人々の働き方も変化しているという。
「私たちが使っている一般消費者向けツールを前提にして物事は変化している。「Twitter」やFacebookは働き方の変化に影響を及ぼしている。働き方が変化したことで、Microsoftの「Yammer」、米salesforce.comの「Chatter」、米Jive Softwareの「Jive」、米IBM「IBM Connections」のようなツールも現れてきた」(レポフスキー氏)
企業のソーシャルコラボレーションツールは、従業員の共同作業を形成するものだ。上述の製品はその一部である。Microsoftは2012年に米Yammerを12億ドルで買収し、同社が保有する幾つかのプラットフォームにYammerを統合した。このプラットフォームにはMicrosoftの「Office 365」も含まれており、生産性アプリケーションに若干のソーシャル要素を加える狙いがあった。
米J.Gold Associates社長でアナリストのジャック・ゴールド氏は「多くのベンダーがソーシャルネットワーキング製品を提供し、IT部門が従業員とつながる後押しをしている。IBMの『SameTime』は、その一例である。だが、企業向けのソーシャルネットワーキング製品は十分成熟していない」と語る。
従業員が期待しているのは仕事用のソーシャルプラットフォームだが、企業はどうやってそれを提供すればいいのか理解していない。ゴールド氏は、それには明白な理由があると考えている。「従業員は何年もソーシャルプラットフォームを使用してきているが、企業はソーシャルプラットフォームになかなか馴染めずにいる」
企業がソーシャルプラットフォームを導入しない理由となるのは、セキュリティや実装、リソースに関する制約だ。セキュリティに関していえば、企業はデータの行き先を把握しなければならない。米Citrix Systemsの「ShareFile」や米VMware傘下の米AirWatchの「Secure Content Locker」といった多くの企業向けのファイル同期/共有プラットフォームでは、そのような制御に対応している。だが、企業がTwitterやFacebookのような一般消費者向けのサービスを使用しているとなれば、やはりセキュリティに対する不安は高まる。
「多くの企業が社外向けのアプリや顧客向けのアプリにソーシャル機能を導入している。だが、そのようなアプリは社内ユーザーにあまり支持されていないのが実情だ。ソーシャル機能が今よりも簡単に実装できるようになり、多くのソーシャルコラボレーションツールが他の製品に組み込まれるようになれば、状況は徐々に変わるだろう」とゴールド氏は語る。
米BMC Softwareは2014年に独自のITサービス管理製品「MyIT 2.0」をリリースしている。この製品にはFacebookに触発されたアプローチが取り入れられている。技術サポートのリクエストはフォーラムのようなインタフェースで投稿する。質問に対する回答は、IT部門と他のユーザーの両方から得られる。
フォームに書き込んだりIT部門に電話をかけるという古いモデルを捨て去ること。それがIT部門とエンドユーザーの関係を潜在的に変える大きな一歩になる。このようなフォーラム形式で結果を得られることには、2つのメリットがある。1つはユーザーがコミュニティーと関わるより魅力的な方法であること。もう1つは、問題の解決策を記録に残せることだ。そのため、ユーザーと企業全体の両方にプラスに働く。
「ヘルプデスクに電話をかけて恩恵を得られたのは、電話をかけた本人だけだった。電話では質問の答えを把握できるのは通話者に限られる」とレポフスキー氏は語る。
Facebookとエンタープライズソーシャルの鍵
企業向けのソーシャルコラボレーションツールの力学を変えられるのはソーシャルネットワーキングブーム最大の立役者となったFacebookである。
Facebookの新サービス「Facebook at Work」は数カ月以内にリリースされると報じられている。このサービスには個人向けのFacebookアカウントに近いプロファイルが用意されているが、企業環境におけるコラボレーションを目的としている。ニュースフィードとメッセンジャー機能があり、複数の個人で共有したドキュメントで共同作業も行える。
Facebook at Workのエンタープライズプランの全容は、まだ明らかになっていない。また、どのようにIT部門とユーザーの交流に役立つのかも不明だ。業界関係者は、Facebook at Workがソーシャルコラボレーション全体にどのような変化をもたらすのか興味津々だ。その一方で、Facebookが今回リリースするサービスに、大した魅力がない可能性についても警告している。
「Facebookの資金や勢いは段違いだ。だが、Facebook at Workをツールとして使うのは中小企業だけだろう。企業がFacebookを信用してデータを提供するわけがない。大手ベンダーのソーシャルコラボレーション製品に企業をけん引する力がそれほどないなら、大企業がFacebookのプラットフォームを導入するとは到底思えない」とレポフスキー氏は話す。
最高情報責任者(CIO)の中には、Facebook at Workの発想に魅せられている人もいる。米Creative Solutions in HealthcareでCIOを務めるショーン・ウィオーラ氏はその1人で、市場の需要と変化にFacebookが反応した結果だと捉えている。
同氏はテキサス州で50箇所を超える看護施設と高齢者介護施設の従業員をつなぐための支援を行っている。「大規模なソーシャルサイトが職場に浸透し、なじみのあるコラボレーションエクスペリエンスが提供されるようになる。Facebookは看護や介護の領域にさらなるイノベーションをもたらすだろう。ソーシャルという枠組みを通してユーザーを1つにまとめるイノベーションの水準は、ユーザーとIT部門にとって楽しみなものだ。IT部門でこのような楽しさを感じるのは珍しいこと」とウィオーラ氏は語る。
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