「第3回クラウドコンピューティングEXPO」リポート
タイムカードもクラウド化――クラウドEXPOで見た最新業務アプリ事情
クラウドコンピューティングEXPOでは、さまざまな業務アプリケーションのクラウド化の事例を多く見ることができた。どのようなサービスがあり、ユーザーメリットは何なのか。特徴的なサービスを紹介する。
東京ビッグサイトで2012年5月9日~11日の3日間開催されたIT関連の総合展示会「Japan IT Week 2012春」。専門展示会の1つ「第3回クラウドコンピューティングEXPO 春」では、クラウドを活用した業務アプリケーションの展示を多く見ることができた。注目を集めた展示を紹介する。
電通国際情報サービス(ISID)は、定番の連結会計ソリューション「STRAVIS」をクラウド経由で利用できる「STRAVIS on CLOUDiS」を展示した。STRAVIS on CLOUDiSは5月9日に発表したばかり。STRAVIS on CLOUDiSではユーザー企業がサーバなどのハードウェアやシステム運用管理のコストを負担する必要なく、連結会計ソリューションを利用できる。
STRAVIS on CLOUDiSを稼働させるクラウドインフラとしては、「Amazon Web Services」(AWS)を利用。STRAVISのバージョンアップやサーバなどのシステム運用管理はISIDが行う。ユーザー企業は通常通りSTRAVISのライセンスを購入する必要があるが、ISIDでは「将来はライセンス購入が不要で月額課金などで利用できる廉価版の提供も検討している」と話した。
定番ソリューションのクラウド化は他でも見られた。プロシップは、固定資産管理ソリューション「ProPlus」のクラウド版「ProPlus for C-x」を展示した。ProPlusは3300社以上が利用している固定資産管理のソフトウェアで、リース資産の管理などにも利用される。日本企業の固定資産管理は税法などの関係で複雑なため、「SAP ERP」などの統合ERPを使っている企業でも、固定資産管理だけはProPlusなどの国産製品を使っているケースが多い。
クラウド版のProPlus for C-xは、初期構築費用と月額利用料のみで利用可能。ユーザー企業ごとに独立したサーバ領域を確保するため、セキュアな状態でサービスを提供できるという。ProPlus for C-xで出力した電子帳票をクラウド上で保存した入り、データを遠隔地にバックアップするサービスなどもオプションで提供する。固定資産管理はIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)対応でもポイントの1つといわれる。スーパーストリームが「SuperStream-NX」に固定資産管理モジュールの追加を発表するなど、各ベンダーが注目する市場だ(参考記事:SuperStream-NXに固定資産管理モジュール登場、IFRS適用企業を支援)。プロシップは「毎年のように行われる制度改正に迅速に対応できるのがProPlusの特徴」と話した。
大手から中堅企業で多く利用されるERP「OBIC7」を開発するオービックもクラウドソリューション「OBIC7Hignel」(オービックセブン・ヒグネル)を展示した。OBIC7Hignelはポータル機能とグループウェア機能を持つ製品で、OBIC7が持つデータと連係し、ユーザーに応じた情報をポータル画面に表示することができる。ポータル上で財務分析やセグメント分析なども可能。ワークフロー申請(承認)や、勤怠打刻、日報入力など、日常的に使用する業務プログラムをOBIC7Hignelから直接起動する機能もある。OBIC7へのシングルサインオンも可能だ。マイクロソフトの「Windows Azure」をクラウドのインフラとして採用している。オービックは「OBIC7自体のWeb化、クラウド化も進めている」と話した。
AWS、Salesforceと連係するアプリケーション
AWSやセールスフォース・ドットコムのサービスと連係する業務アプリケーションや連係サービスが目立ったのも今回のクラウドコンピューティングEXPOの特徴だ。TISは、AWS上で稼働するサーバやシステムを対象としたシステム運用管理サービス「TISクラウドインテグレーションサービス for AWS エンタープライズ監視パック」を展示した。AWS上で稼働するインスタンス数にかかわらず月額費用が同じというサービス。TISの自社データセンターの統合監視センターが常時監視し、障害発生時には電話連絡や一時対応も行う。価格は標準サービスの場合で、初期費用が10万円、月額費用が30万円。
日本オプロはSalesforce CRMやForce.com上のデータと連係する帳票出力サービス「OPROARTS Prime for Force.com」を出展した。Salesforce CRMやForce.comのデータを使って帳票開発や出力が可能なサービスで、作成したPDF帳票をダウンロードしたり、電子メールに添付して配信、FAX送信、封入・投函などを行うことができる。帳票サーバとして「OPRO X Server」を利用する。ユーザー企業はハードウェアやソフトウェアのコストを負担する必要はなく、月額費用だけで帳票サービスを利用できる。
タイムカードもクラウド化した。クロスデザインの「CrossStudio TIMECARD」はクラウド上のタイムカードサービスにWebブラウザでアクセスし、従業員が出退勤の時刻を登録すると、就業時間や時間外労働時間に応じて給与を自動計算するサービス。給与支払い時には所得税なども自動計算される他、年末調整などを計算する機能もある。制度改正などにも対応し、税率などを自動でアップデートするという。
従来、タイムカードを使っている会社では、タイムカードは単体で管理され、その情報を勤怠管理システムや給与支払いシステムに伝えるにはスプレッドシートを使った手作業が必要になるケースが多かった。CrossStudio TIMECARDはこの手作業を自動化したのが特徴だ。2012年5月中の提供価格は1ユーザー当たり500円。6月には正式版をリリースする予定だという。
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