イベントリポート:コンカー クラウド フォーラム 2012
「もう紙は要らない」――導入企業が語る経費管理クラウド「Concur」の利用実態
経費管理のクラウド化を実現した企業はどのようなメリットを感じているのか。イベントで語られた「Concur」の利用実態から、クラウドを使った業務アプリケーションの未来を考える。
経費、交通費管理の業務アプリケーション「Concur」をクラウドコンピューティングで提供しているコンカーが2月13日に都内でイベントを開催した。イベントには定員を大幅に超える応募があり、Concurへの注目度の高さを証明した。イベントで語られたConcur導入企業4社のパネルディスカッションを中心に、業務アプリケーションの未来を考えてみよう(参考記事:マーク・ベニオフ氏が出資、経費精算を極めた「Concur」の機能を見る)。
Concurの特徴は分かりやすいユーザーインタフェースで使い勝手を追求した点だ。領収書の画像イメージで経費精算が可能だったり、経費規定が組み込まれているために社内ルールに沿った申請と承認が確実にできるなどの特色もある。スマートフォンでの利用も可能。経費申請や承認を行うユーザー部門だけでなく、その申請に基づいて支払い業務を行う経理部門にとっても作業の手戻りが少ないように工夫されている。
化粧品製造、販売のエイボン・プロダクツはConcurを使い始めて数年がたつ。Concur導入前の経費精算は紙での申請だった。同社は営業部員が多くいて、同社の経理部 コントローラージェネラルアカウンティング シニアマネジャー 安東斉紀氏らはConcur導入に対する抵抗を心配したが、「抵抗はあまりなく、2~3週間で慣れたようだ」という。「操作が非常に簡単でPCに慣れていない人でも使えたのが良かった」
業務アプリケーションの中でも経費管理はユーザー数が多い。ほぼ全ての社員が定期的に使用するといってもよい。連結決算やSCMなど特定のユーザーしか使わないアプリケーションであれば、少数ユーザーに対してトレーニングを集中して行うことができ、導入や定着に問題はない。しかし全社で利用する経費管理アプリケーションに対して、全社員を対象にトレーニングを行うのは現実的ではないだろう。マニュアルを用いた導入にならざるを得ない。経費管理をはじめとするユーザー数が多いアプリケーションでは、トレーニングを受けずにすぐに使うことができるという簡単さが重要になる。
デルの日本法人もConcurを導入している。導入前は別のパッケージ製品を使っていたが、使い勝手が悪く、経費精算を怠る従業員が目立った。そのため「3カ月くらい経費精算をやっていないメンバーを会議室に集めて、強制的に経費精算をやらせていた」(デル ソリューションズ・サービス営業部本部長 堀川嘉朗氏)。Concurは約2年前に導入。「経費精算が定期的に行われるようになった」
インフォマティカ・ジャパンの代表取締役社長 吉田浩生氏もConcurの使いやすさを強調した。「簡単で使いやすい。リアルタイムに承認のプロセスが分かり、移動時間などに承認できる点がありがたい。コストの効率的な管理に役立っている」
また、金融機関、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド東京支店のCFO 松本武氏も「Concur導入前はMicrosoft Excelベースのテンプレートに入力し、プリントをして領収書と共に提出するという紙ベースの経費精算で、従業員からは不評だった。Concur導入後は、領収書はスキャンするようにしている。承認プロセスで紙が不要になり、承認者がどこにいても処理できるようになった」と説明した。
経費管理の可視化
使い勝手に加えて、Concurのもう1つの特徴は、分析ツールを組み込んでいることだ。これによって例えば従業員別の経費の利用状況や、どのような目的の経費が多いかなどをすぐに知ることができ、経費を効率的に管理できる。エイボンの取締役 CFO 男澤一郎氏は「経費管理の業務プロセスが可視化されたという安心感がある」と指摘し、Concurによって「業務がスタンダード化されて、効率化された」と話した。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの松本氏によると、同社は米国とアジアパシフィックの現地法人でConcurを導入済み。アジアでは日本の他、シンガポール、香港、シドニーの拠点で利用している。シンガポールの現地法人がアジアパシフィック全体の経理部門を統括していて、Concurで入力される経費もシンガポールが一元管理しているという。Concur導入前は、経費管理担当者をそれぞれの現地法人に置いていてコストが掛かっていた。Concurによって一元管理が可能になり、効率化が進んだという。松本氏は「経費利用状況の分析も可能なり、経費利用に問題がある場合の解決策の提示も早くなった」とConcurを評価する。
また、デルの堀川氏は「デルは世界的にクラウドを推進していて、Concurの他にSalesforce.comも使っている。人事関連も今後、クラウドのアプリケーションを使っていく予定だ」と業務アプリケーションのクラウド移行を明かした。
IT部門にとってもクラウドアプリケーションはメリットがある。ユーザー数が多い経費管理などのアプリケーションをオンプレミスで導入する場合、必要になるシステム性能のサイジングが難しい。性能を確保するために月末など想定されるピーク時に合わせてシステムを設計しがちだ。しかし、これではピーク時以外のシステムリソースが無駄になる。ハードウェアコストが掛からず、月額課金のクラウドアプリケーションであれば、システムのサイジングを心配する必要がない。Concurの利用料金は経費申請の件数に応じた従量課金で、従業員1人当たりの月額料金は数百円程度という。
デルの堀川氏が説明したように、経費管理と同じくユーザー数が多い人事関連のアプリケーションでもクラウドアプリケーションの利用が目立つようになってきた(参考記事:「COMPANYシリーズ」をAmazon EC2で運用、パブリッククラウド選択の背景は)。汎用的でユーザー数が多いアプリケーションはクラウドでの利用が今後も拡大するだろう。
Suica、PASMOにも対応
コンカーは日本での正式サービス提供に合わせて、「ジョルダン乗換案内」との連動や、「Suica」「PASMO」など交通系ICカードへの対応を発表した。また、法人カードとして国内でアメリカン・エキスプレスのクレジットカードを利用できるようにした。アメリカン・エキスプレスのクレジットカードで利用した履歴を簡単にConcurに取り込むことが可能で、そのまま経費精算を行うことができる。コンカーの代表取締役社長 三村真宗氏は「Concurでは最短9カ月で新機能を提供していく。日本企業が必要とする機能も取り込んでいけるだろう」として「5年で500社への導入を目指す」と話した。
また、米Concurの創業者兼CEOのスティーブン・シン氏は「経費精算はまだまだ複雑でもっとシンプルになるべきだ。今後はスマートフォンで全ての作業ができるようになる。今後2、3年でさまざまな革新技術が生まれ、ビジネスや出張に関する新しいソリューションも登場するだろう」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
8
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
9
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー