並行コンピューティングに立ち返る
ストレージで生きる「ムーアの法則」、マルチコアプロセッサに再び脚光の理由(2/2 ページ)
軽微ながらも重要なチップエンジニアリングの違い
ストレージに関連の記事で、チップエンジニアリングに関する微妙な違いが、なぜ重要になるのだろうか。その理由はシンプルだ。特定のアプリケーションでデータを保存および取得するためにディスク配列の一部を割り当てるのと同じ速さで、I/O処理などの特定のタスクや役割の実行に論理コアを割り当てることができれば、コンピューティングシステム全体の大幅な最適化を実現できるからだ。あるワークロードのI/O処理に一定数の論理コアを割り当てることができれば、アプリケーションのパフォーマンスを桁違いに加速させることができる。その結果、特定サーバのアプリケーションや仮想マシンの密度に大きな変化をもたらすことが可能になる。
これがまだ実現されていないのは、なぜだろうか。その理由の1つは、マルチプロセッサ環境を設計する企業の大半が、その分野から撤退しているからだ。
1970年代から1990年代初頭にかけて、あらゆる革新的なテクノロジー企業がマイクロプロセッサシステムの開発に熱心に取り組んでいた。有名どころでは米IBMや米Unisys、少し知名度が低い企業では米Encoreが挙げられる。そのような企業は、マイクロプロセッサに関するありとあらゆることを解明するチームを抱えていた。このチームは、OSのサポートや、複数のマイクロプロセッサを1つのシステムに実装して、提示されたワークロードを賢く効率的な方法で共有できるマザーボードや相互接続の設計などを研究していた。だが、シングルコアプロセッサが市場に投入され、システム戦略上PCやサーバ(大規模なPC)が優勢になったことで、マルチプロセッサの研究は棚上げとなった。
米MicrosoftはシンプルなCPUの恩恵を受けた。同社の「Windows」の進化の過程で、クロック速度とマルチスレッド化テクノロジーの着実な向上に投資した。実際、何年にもわたって、チップ向上のチックタックとWindowsでの導入が、コンピューティングテクノロジーの進化そのものを暗示するようになった。
ただし、別の面から考えると、コンピュータサイエンスの目的は一時的に無視されていたといえる。業界はシステムの効率を高めることに、そこまで大きな関心を持っていなかったようだ。新しいチップとOSを消費者に購入し続けてもらうために、チップの速度とタイムスライシングを強引に向上することで、より強力で高速な機能を付加することに躍起になっていただけだった。米VMwareは、タイムスライシングと最小限のマルチコアチップのアーキテクチャを最近使用したにすぎない。物理コアを仮想マシン専用にするために、マルチテナントに対応した特定のチップ機能を利用し始めている。
マルチコアのマルチスレッドチップの能力を解き放つ
マルチコアプロセッサとマルチスレッドチップの秘めた力を解放するには、マルチプロセスの並行コンピューティングの設計に立ち返る必要がある。
米DataCore Softwareは、この概念に初めて立ち返った企業だ。1980年代にDataCoreがパイオニアとなるべく後押ししたのは、同社の共同創設者であり取締役会長のジヤ・アラル氏だった。DataCoreは、サーバで利用可能な論理コアの中からユーザーが指定する部分をストレージのI/O処理に特化して割り当てる方法を特定した。
コアが使用する技法は、ますます精緻になっている。最終的には、少量のワークロードのI/O処理にも、プロセッサのリソースを明確に限定した形で割り当てられるようになるだろう。特に優れているのは、一度設定しても割り当てを変更できることだ。I/Oワークロードの処理に使用するマルチコアプロセッサの数は自動的に調整される。
DataCoreのStorage Performance Council(SPC-1)のベンチマークの数値は、ストレージのパフォーマンス面でハードウェア好きの人々を驚かせている。任意の市販の相互接続されたストレージデバイスを使用しながら、I/O当たりのコストを現在の低コスト帯の製品よりも大幅に下げている。
ストレージおよび完全なサーバ、ネットワーク、ストレージスタックに向けた、全く新しいチックタックによって、新しい時代が始まろうとしている。そのベースとなるのは、マルチコアプロセッサを原動力とするシステムに適用されたマルチプロセッサのアーキテクチャとエンジニアリングだ。
あらゆる旧式のものが、新しいものとしてよみがえっている。
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