並行コンピューティングに立ち返る
ストレージで生きる「ムーアの法則」、マルチコアプロセッサに再び脚光の理由(1/2 ページ)
仮想化技術が注目される今だからこそ、サーバ・ストレージのマルチコアプロセッサ技術が再評価されている。これは新時代の象徴として期待され、研究が中断されてしまったかつての技術をもう一度よみがえらせている。
時折、技術系ベンダーのプレゼンテーションで、「チックタック」に言及していることがある。チックタックとは、一定の期間をかけて起こる出来事の明確なパターンを示す業界用語だ。チックタックに言及する人は、このパターンを認識して、一見すると非常に無秩序なテクノロジーの進歩についても筋の通った見方を示す。それと同時に、将来を予測する枠組みも提示する。この2点により、私たちは未来をそこまで恐れなくても良いように感じる。
マルチコアプロセッサは、ストレージにおける次のチックタックとなる可能性が非常に高い。本稿では、それについて解説したい。
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かつてのストレージ技術が再びよみがえる
PCチップメーカーである米Intelの見解では、このシーケンスの“チック”の部分には、新しいマイクロプロセッサテクノロジーの開発または既存のマイクロプロセッサテクノロジーの向上が含まれる。そして、“タック”の部分では、チックの部分で行われた技術革新を製品化して、消費者基盤におけるプロセッサの導入と普及につなげるという。
具体的に説明しよう。チックとは、Intelが超小型回路のトランジスタの数を2倍に増やし、プロセッサのクロック速度を上げるための新しい良い方法を見つけることである。タックとは、より高密度で高速なチップを大量生産して市場に送り出し、サーバ、PC、タブレット、スマートフォンなどにチップが埋め込まれるようにすることだ。その結果、コンピューティングインフラのパフォーマンスと容量が全体的に向上する。技術革新をもたらしたベンダーとして、Intelが巨万の富を築くことは言うまでもない。これがチックタックだ。
ムーアの法則
ムーアの法則は、プロセッサのトランジスタ数の増加という面から、チックの速度を表すときに引用される。Intelの創始者の1人であるゴードン・E・ムーア氏は、統合回路のトランジスタの数は2年単位で倍増すると1965年に予測した。そして、この仮説は2012年まで正しかった。
その一方で、同様の理論でわずかに異なるものが、Intelの上級役員だったデビッド・ハウス氏によって1975年に提唱された。その理論は、トランジスタの数が2倍になるのと同様に、CPUの速度も18カ月ごとに2倍になるというものだった。その理論では、世代を経るごとにチップが高密度になるだけでなく、速度も2倍になるとされていた。
ただし、ハウス氏の仮説はムーア氏の仮説と比べて、証明される期間が短かった。発熱の問題などの要因によって、プロセッサの高速化は2005年に頭打ちになり始めた。この状況を受けて、チップメーカーは、シングルコアプロセッサ設計を離れ、“マルチコア”プロセッサへと移行するようになった。その結果、クロック速度の倍加にはほとんど動きが見られなかったにもかかわらず、トランジスタの倍増パターンは継続した。
新たなチックタックのマルチコア
これまで長い間、マルチコアプロセッサは新しいチックタックの土台となっていた。毎年のように、1つのダイに実装されるプロセッサコアの数が倍増したCPU製品が登場している。チップ速度は全くと言っていいほど向上しないにもかかわらずだ。チップに実装されている物理コアは、個別のCPUとなっている。各コアは、シングルコアや単一プロセッサシステムの特徴だったマルチスレッド化(タイムスライシング)を進展させている。マルチスレッド化とは、1つのリソースを複数のワークロードに十分な速度で分割し、複数のプロセスを並行して行っているように見せる技術だ。
マルチスレッド化を行うと、1つのコアが複数の論理コアに分割される。この論理コアの処理は非常に速く実行されるようにスケジュール設定できるため、複数の同時実行(並行)処理を疑似的に行うことが可能になる。マルチスレッド化とクロック速度が着実に向上したことで、シングルコアの有利に働く強力なチックタックが生まれた。このチックタックは、クロック速度の向上が頭打ちになるまで続いた。
それ以降、1つの物理チップにマルチスレッド化された複数のシングルコアCPUが実装されているプロセッサが世に送り出されてきた。このようにすることで、論理コア(CPUスレッド)の数が物理コアリソースの規定数の倍になる。つまり、クアッドコアプロセッサを購入すると、8基の論理コアが実装されている。オクタコアプロセッサでは、論理コアの数が16基になる。
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