マクロで捉える OpenStackソリューション選定【第1回】
“マルバツ表”だけでは分からない、OpenStackディストリビューション選びのコツ(2/2 ページ)
製品よりも、ビジョンとバリューチェーンで選ぶ
では、ベンダー、製品選定をどのように進めればいいのだろうか。筆者は製品そのものよりも「長期的なパートナー」として信用できるか重視すべきと考える。その際に検討してほしいのは、ベンダーのビジョンとバリューチェーンだ。
クラウド基盤は、どのベンダーから買っても同じようなものが出来上がる、いわゆる「コモディティ」ではない。それをとりまく技術、市場は変化を続けており、その出来上がりは多様だ。そして、その変化についていける技術者の数、ノウハウの蓄積は、十分とはいえない。料理人とレシピが足りないのだ。また、この世界を理解してセールスできる営業担当者も不足している。
それ故にベンダーは、もうかるかどうかまだ答えの出ていないクラウド+オープンソースの市場で、有能な人材の採用、教育の投資を続けなければならない。その投資が続けられるか。その判断材料となるのがビジョンである。平たく言えば、「どうやって利益を上げようとしているのか」という狙いだ。この狙いを理解した上でのベンダー選定をお薦めする。ベンダーが長期的なビジネスとして考えているか、本気度を計ってほしい。
また、バリューチェーンも重要だ。いくら製品が優れていても、それを提案、設計、構築、運用できるエコシステムが出来上がっていなければ、動かないシステムが出来上がる。OpenStackの技術者数も情報も潤沢でない現在、製品と技術者をつなぎ、ユーザーに価値を届けるバリューチェーンは重視すべきだ。筆者の肌感覚では、バリューチェーンのよし悪しが製品に与えるインパクトは、足し算ではなく掛け算である。製品とその提案を担うセールスと支援技術者、デリバリを実施するエンジニアの間が、鎖でがっちりつながっているか、価値の連鎖が生まれているか、確認が必要だ。
製品ベンダーをグループ分けする
では、ベンダーのビジョンとバリューチェーンをどのように評価すればいいのだろうか。当連載ではミスリードにつながらないよう、個別ベンダーの評価は避けたい。しかし、ベンダーのビジョンとバリューチェーンは、同様の特徴を持った幾つかのグループに分類することができる。それぞれのグループの特徴を理解するだけでも、ベンダーからの情報収集、提案依頼、評価に役立つはずだ。
グループは3つある。
1.オープンソースディストリビューター型
以前からオープンソースを商用サポート付きで販売しているベンダー群。Linuxのディストリビューターが多いが、OpenStackに特化したディストリビューターも現れている。
2.総合ベンダー型
ハードウェア、ソフトウェア、サービスをトータルで提供できるベンダー。ディストリビューションだけでなく、ハードウェアとパッケージしたアプライアンス製品を提供するベンダーもある。
3.オーバーレイ型
OpenStackと同様の機能を有する製品を持ち、パッと見競合にも見えるが、OpenStackとも組み合わせて提供できるベンダー。仮想化基盤が主力製品であり、それを制御するインタフェース部分にOpenStackを選ぶ、かぶせることができるなど。
次回は、この3グループのビジョンとバリューチェーンについて深掘りしたい。
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マクロで捉える OpenStackソリューション選定
当連載はエンタープライズ、中でもベンダーの協力を得てOpenStack環境を構築しようと検討しているユーザー企業を対象に、「どのような観点でベンダーを選定し、協力関係を作り上げ、活用するか」をテーマに、実践的な情報をお伝えしたい。主な対象は、OpenStackそのものを提供するディストリビューションやアプライアンスである。
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