アプリレベルの機能を大幅強化
もっと注目されてもよい「iOS」のセキュリティ強化、「iPad Pro」の推進役に
「Per-App VPN」の拡張、新ユーザーインタフェースの「Trust」の導入、「Device Enrollment Program」の変更などにより、IT担当者は「iOS」のセキュリティを柔軟に設定できるようになった。
企業のIT部門への進出を目指して地道な歩みを続ける米Appleは、モバイルセキュリティの設定を容易にする重要な機能とコントロールを「iOS 9」に組み込んだ。
Appleは米IBMや米Cisco Systemsなどのエンタープライズベンダーと提携を結び、新製品の「iPad Pro」などのiOS端末を、PCを代替するデバイスとしてより効率的かつ効果的に管理できるようにする取り組みを進めている。iOSの新しいセキュリティ機能は、Appleが今後もセキュリティホールの発見と修正を通じて企業のIT部門のセキュリティとプロビジョニングのニーズに応える方針であることを示している。
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モバイルデバイス管理のポイント
iOS 9では、デフォルト設定でのパスコードが4桁の数字から6文字の英数字に変更となった。デフォルトのパスコードの長さと複雑さが増したことで、端末の紛失や盗難に伴うリスクが大幅に減少した。比較的新しい「iPhone」および「iPad」のユーザーは、指紋認証機能の「Touch ID」を利用すれば、長いパスコードを毎回入力する手間を省くことができる。だが、Touch IDと強力な長いパスコードを併用すれば、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)の脅威が大幅に減少する。
iOSの新しいセキュリティ機能で特に重要なのが、「iCloud」に同期したデータへのアクセスに利用できる2要素認証だ。新しい端末で「Apple ID」を使って「iCloud」にアクセスするための設定を行うと、同じApple IDに関連付けられた他の全てのデバイスに対して確認通知がAppleから送られる。この方式は、不正なアクセスをユーザーに通知することにより、iCloudにデータを保存するリスクを減少させる。
アプリレベルのiOSセキュリティ機能
iOS 9では「Per App VPN」(アプリ単位のVPN接続)の拡張により、ネイティブのレイヤー3 VPNクライアントに対応するとともに、UDPトラフィックのサポートも追加された。これにより、VoIPアプリケーションのトラフィックをセキュアにトンネリングすることが可能になった。
さらに、「App Store」のアプリがIPv6および「App Transport Security(ATS)」をサポートしなければならないという新要件は、iOS 9のセキュリティをさらに高める。ATSを有効にすると、HTTP経由で通信するアプリは自動的にHTTPSでの接続を試みる。これらの変更は、暗号化されていない無線経由のトラフィックによる企業データの漏えいリスクを軽減する。
iOS 9では、AppleのP2P型データ共有機能である「AirDrop」をIT部門がきめ細かく管理できるようになった。従来は、AirDropをオン/オフすることしかできなかった。今では、IT部門は管理対象外の個人アプリによるAirDropの利用を許可する一方で、管理対象のエンタープライズアプリからAirDropへのアクセスを禁止できる。
IT部門向けの新機能には、「Apple Watch」とのペアリングを禁止する機能や、画面録画とiCloudとの同期を禁止する機能も含まれる。ただし、これらの新たな制限機能は、「Apple Device Enrollment Program(DEP)」を通じてアクティベートした企業所有端末でしか利用できない。
その他のセキュリティ機能
IT部門がアプリを効率的かつ効果的にコントロールする機能の重要性が高まる中、AppleはiOSのセキュリティ機能に多くの改良を施すことにより、同OSの従来版に見られた弱点と不備を補った。
例えば、業務用のApp Storeアプリを配備したい企業は多いが、ユーザーによる管理を必要とするAppleの制約条件がこうした取り組みの障害となってきた。だがiOS 9では、ユーザーがインストールしたApp StoreアプリをIT部門が管理できるようになった。
iOS 9で追加されたもう1つのセキュリティ機能が、IT部門によるアプリの配布を容易にする「Trust」ユーザーインタフェース(UI)だ。このTrust UIを利用すれば、ユーザーは特定の証明書で署名された社内開発アプリにインストール許可を与えることができる。ユーザーがこの1回限りの許可を与えると、それ以降はIT部門が同じ証明書で署名されたアプリをインストールするときに警告が出なくなる。また監視対象(Supervised)モードに設定された端末では自動的にインストールが行われ、ユーザーは全く関与しない。
Trust UIはユーザーが悪質なアプリをインストールするのを防ぐわけではないが、信頼できるソースと信頼できないソースからのアプリを区別できるため、適切な選択が可能になる。その一方で企業は、信頼できる証明書を受け入れる必要性とその方法および警告が現れたときにどうすべきかをユーザーに教える必要がある。
iOS 9ではDEPと一括購入プログラム「Volume Purchase Program(VPP)」も改善され、企業のアプリ配布ワークフローにより的確にマッチするようになった。例えば、DEPでは、IT部門がモバイル端末管理のプロビジョニングを完了するまで企業所有端末を使うことができない。また、2つの新しいアプリライセンスオプション(ユーザーベースと端末ベース)により、IT部門は端末をApple IDに関連付けなくてもアプリを端末に配布できる。
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