法人・教育市場で2200万台以上が導入済み
Windows 7/8ユーザーの「Windows 10」移行が止まらない“無料”以外の理由
「Windows 10」は、米Microsoftの歴代OSの中で最も導入ペースが速いという。その理由は、無料アップグレードの存在だけではなさそうだ。
企業は「Windows 10」の採用に大きな関心を寄せている。Windows 10の機能や特徴を生かすために、旧版である「Windows 7」「Windows 8」からの移行を計画している企業は少なくない。
米Microsoftが2016年1月に公開したブログ記事によると、同社法人顧客の約76%がWindows 10をテストしており、法人市場と教育市場では既に2200万台以上のデバイスでWindows 10が動作している。全市場を合わせると、Windows 10が動作しているデバイスは2億台に達する。これは、Windowsがこれまで達成した中で最も早い記録だという。
併せて読みたいお薦め記事
Windows 10移行のベストなタイミングとは?
- 「Windows 10無料期間」を逃したWindows 7ユーザーを待ち受ける“痛過ぎる代償”
- 「Windows 7」から「Windows 10」への移行、失敗するのはこんな人
- 「Windows 10」へはいつ移行するのが正しいのか
Windows 10の“怖い話”
Microsoftのパートナー企業である米IT企業Cumulus Globalのアレン・ファルコン最高経営責任者(CEO)は、「当社の顧客はWindows 10への移行を精力的に進めている」と話す。「個人所有のマシンで無償アップグレードを利用した人も多い。中堅・中小企業も無償アップグレードを活用している」
米ITコンサルティング会社J. Gold Associatesの創業者で、同社の主席アナリストを務めるジャック・ゴールド氏は、Windows 10の急速な普及は驚くことではなく、Microsoftが同OSを無償提供したことによる直接的な結果だと語る。「企業は時間をかけて慎重に検討した上でOSを移行するものの、最終的には新OSが広く普及することになる」と同氏は話す。
「MicrosoftはWindows 10のプロモーションを非常にうまくやった。新しいOSには問題が付きものだが、Windows 10は好意的に受け止められており、問題も起きていない」とゴールド氏は付け加える。
Windows 10の普及が急拡大
Microsoftは8月末、Windows10が7500万本インストールされ、そのうち150万本が企業への導入だと発表した。前出Cumulus Globalのファルコン氏は、企業への新OSの普及は一般消費者よりも長い時間がかかるのが普通だと説明する。企業は多数のクライアントPCを一斉にアップグレードする傾向にあり、新しいハードウェアの購入と一緒にアップデートすることも多いからだ。加えて、企業の場合はレガシーアプリケーションやカスタムアプリを新OSでテストし、これらのアプリが問題なく動作するかどうか確認するための検証期間も必要になる。
Microsoftは、リリース後の最初の2年で、10億台のデバイスでWindows 10を動作させるという目標を明らかにしている。法人市場がこの目標達成に貢献しつつあることは間違いなさそうだ。
中堅・中小企業や教育機関を専門とする米ITコンサルティング企業SIGMAnetで、ビジネス開発と戦略構想を担当するスティーブン・モンテロス副社長は、次のように話す。「顧客はWindows 10への移行中またはテスト中だ。私の知り合いは全員、少なくともテストしている。顧客はWindows 10へ移行する価値があると考えている」
Windows 10にアップグレードする理由
新品のPCには基本的には全てWindows 10が組み込まれているので、多くの企業はハードウェアの更新に合わせて新OSへアップグレードする形を選ぶと考えられる。「現行の3、4年のハードウェアライフサイクルが終わるまでWindows 10の採用を見合わせる企業もあれば、古いWindows 7や評判が良くなかったWindows 8を早々とお払い箱にして、新OSに移行する企業もあるだろう」とファルコン氏は予想する。
PCの数が100台程度の中小企業であれば、移行計画を進めるのも簡単だ。だが何千台ものPCを保有している大企業の場合、「さまざまな部門の要求に応える必要があり、計画策定と調整に時間がかかる」とファルコン氏は語る。
前出J. Gold Associatesのゴールド氏によると、Windows 10の普及ペースの速さは、「Surface」シリーズなどMicrosoftの他製品の採用をユーザーに促すことにもなるという。また、Windows 10が企業向けコミュニケーションツール「Skype for Business」、オンラインオフィススイート「Office 365」といったMicrosoftのソフトウェアやサービスとの連係にも優れていることも、同OSの普及拡大につながる可能性がある。
「Windows 10はモバイル端末との連係も良くなっている。好調な滑り出しを見せたのも当然だ」とモンテロス氏は指摘する。「Microsoftは、Windows 10をモバイル対応のWindowsとして開発した。Windows 10に最適化されたSurfaceは、ユーザーが求める仕事のやり方に合致する」
デバイスの特性に応じてユーザーインタフェース(UI)を切り替える新機能の「Continuum」は、2-in-1型タブレット(キーボードを着脱できるタブレット)がタブレットとPCのどちらにでもシームレスに切り替わって動作できるようにする。Windows 10がタブレットモードのときは、タッチスクリーン向きのUIに変化する。PCモードのときはスタートメニューが利用でき、一般的なデスクトップの見た目や操作感を備える。
Windows 10のこうした特徴は、開発者がWindows向けのモバイルアプリを開発するのを楽にする。Windowsプラットフォーム用のユニバーサルアプリのエコシステム拡大に伴い、Windows用アプリストア「Windows Store」の利用も活発化してきた。Microsoftによると、2015年12月には、Windows StoreでのWindows 10アプリの売り上げはWindows 8用アプリの4.5倍以上だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー