業務用モバイルアプリ3つの成功例
大学生とトラック運転手が喜ぶ「iPhone/Androidアプリ」の共通点とは?(2/3 ページ)
果樹園の現場用アプリ
Allan Brothersは、外部生産者たちと協力してリンゴ、サクランボ、ワイン用ブドウなどの果実を栽培し、倉庫で箱詰めして世界中へ出荷している。果樹園や倉庫で働く従業員は、果実の重量や硬度、酸味などのデータを集めて管理するとともに、出荷先となる世界各地の安全基準を満たしていることを確認しなければならない。かつてはその作業の大部分をペンと紙で行い、その後、巨大なスプレッドシートと古いデータ管理システムに手作業でデータを入力していた。
またAllan Brothersは「グレープデータ」という社内と顧客向けのアプリも開発し、そこにブドウの水素イオン濃度指数(pH)といったデータを集約している。顧客のワイナリーはこのアプリでブドウの生育状態を追跡し、収穫してほしい正確なタイミングをAllan Brothersに依頼できる。
Allan BrothersのITチームは、生産ラインに沿って果実の重量や質、気温などのデータを収集するアプリも開発した。作業者は会社から支給されたタブレットや私物のスマートフォンからそのアプリを使って情報を確認でき、従業員は選別機の始動と停止を操作することもできる。
このモバイルアプリによって、リンゴの梱包ラインで働く80人以上の従業員の生産性が大きく向上し、梱包時間が50~83%短縮された。「少ない人員でより多くの作業が可能になり、全体的な人件費削減につながる」とバーニエ氏は話す。
こうしたモバイルアプリを開発するために、Allan Brothersは米ソフトウェア会社OutSystemsが提供する高速開発(RAD)ツールを導入した。同社のRADツールはコーディングと開発の経験が少なくても使うことができる。開発者はバックエンドの技術的部分よりもユーザーエクスペリエンス(UX)に集中できるという。
「これで望み通りのデザインを実現できる。従業員が使っている他のシステムと同じような見た目と操作性にすれば、別のアプリを開いている気がしない。とてもシームレスだ」とバーニエ氏は語る。
OutSystemsのRADツールはあまりに簡単に使えるので、Allan Brothersでモバイルアプリを開発する担当者の中には、出荷係や果実サイズ管理責任者など普段は倉庫で働いている従業員が3人含まれているという。「開発者に業務内容を教えるよりも、業務内容に詳しくて開発や技術に関する資質のある従業員に開発方法を教える方がずっといい。それに生産ラインに従事したり果樹園で働いたりしている従業員の方が、日々の作業やニーズをよく理解している」(バーニエ氏)
モバイルで迎える新学期
教育機関でも複雑なエンタープライズモバイルアプリの導入が進んでいる。The University of Massachusetts Lowell(UMass Lowell、マサチューセッツ大学ローウェル校)が最近開発した「Now」というWebアプリは、講義スケジュールや成績、カフェテリアのメニュー、学内イベントなど、さまざまな情報をリアルタイムで学生に提供する。学生はこのアプリを使って履修科目を追加したり取り消したりできる。
「以前はこうした情報へアクセスするのに、あちこち別のWebサイトを開いたり、Oracleの“古臭い”アプリ『PeopleSoft』を使ったりしなければならなかった」と、マサチューセッツ大学ローウェル校のWeb担当理事、ジェリー・ネルソン氏は話す。
ネルソン氏のチームはNowの開発に当たり、デバイスの画面サイズや縦横比に応じて表示内容を自動調整する「レスポンシブWebデザイン」を採用。どの端末のどのWebブラウザからでも使えるようにした。開発者はモバイルOSごとに異なるバージョンを作らずに済み、Webアプリなので各種公式アプリストアからの配布許可を得る必要もない。
Nowの開発で「学生に提供したいあらゆるデータを1カ所に集約できた」とネルソン氏は話す。Nowのダッシュボードでは、同校が別途開発した「iOS」とAndroid用ネイティブアプリ2種のデータも利用できる。キャンパス内のバス運行スケジュールを提供するアプリと、駐車場の空き状況を確認できるアプリだ。
これらのネイティブアプリは、同校のソフトウェア開発チームがXamarinのモバイルアプリ開発ツールを使って開発。Web開発チームがNowアプリを新たに一から開発した。「アプリのテストには学生にも協力してもらった。現行のWebサイトとダッシュボードの操作感をシームレスにするために、大学のWebサイト全体の新デザインに合わせたデザインにした」とネルソン氏は語る。
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