業務用モバイルアプリ3つの成功例
大学生とトラック運転手が喜ぶ「iPhone/Androidアプリ」の共通点とは?(3/3 ページ)
燃料効率化への道
米国トラック協会(ATA)が2015年10月に発表した報告書によると、米国のトラック運送業界では前年の2014年に3万8000人もの運転手が不足していたことが分かった。この傾向が続けば、2024年には17万5000人も不足することが予測されるという。トラック運送・物流各社は、今いるドライバーたちに快適に働いてもらうためのあらゆる対策を講じており、モバイルデバイスの活用もその一環だ。
「ドライバーの毎日をできる限り快適なものにし、できる限り接続環境を整えることは、ドライバーの雇用を維持する手だての1つだ」。ATAのチーフエコノミストでシニアバイスプレジデントのボブ・コステロ氏はこう話す。
ドライバーが運転前や運転中、運転後に確認すべきことは数多くある。燃料消費量や給油所の場所、事故情報、保守点検状況、走行時間、道順、積荷情報などだ。こうした情報の多くは、責任者や配車係にも報告しなければならない。「現在の運送業界では、必要なデータがすぐに手に入るかどうかが極めて重要だ」と、米トラック運送会社Veriha Truckingの元テクノロジー&プロジェクト管理責任者、ボー・ハイネマイヤー氏は話す。
過去何十年も紙で行われていたこうした管理作業を効率化すべく、トラック運送会社向けの車載用モバイルハードウェアとソフトウェアが、PeopleNet、Rand McNally、Omnitracsなど多くのベンダーから提供されている。Verihaがドライバー向けに利用しているPeopleNetの専用端末は、頑丈な車載用7インチタブレットで、車両検査や事故報告、走行時間管理などのツールが入っている。「トラック用の『Fitbit』(フィットネス用スマートウォッチ)のようなものだ」(ハイネマイヤー氏)
ドライバーの重要な仕事の1つには燃費管理もある。米新興ベンダーLinkeDriveは、トラック運送会社向けに「PedalCoach」という燃費管理アプリを提供している。Verihaは2015年にPedalCoach端末を導入。現行のPeopleNet稼働デバイスや従業員の私物モバイルデバイスには、新しいPedalCoachモバイルアプリを配布する予定だ。
PedalCoachは、ドライバーが必要以上に燃料を消費するのを防ぐために、「赤」「黄」「緑」のゾーンに色分けされたシンプルなメーターを表示する。ドライバーがアクセルを強く踏み過ぎたり、急ブレーキをかけたりすると、メーターが赤いゾーンを指して燃費に悪影響を与える運転操作であることを示す。緑のゾーンを維持して運転すれば、燃料の節約になるというわけだ。
ハイネマイヤー氏によると、VerihaはPedalCoachをテストユーザー10人に導入した結果、6週間で燃料消費が8%減ったという。1年分に換算すると約3万5000ドルの節約になるという。こうした燃費管理は穏やかな運転を促すので、結果的に安全運転にもつながる。
このモバイルアプリにはゲーム的な要素もある。一定時間、緑ゾーンを維持したドライバーはポイントを獲得でき、高得点ドライバーを発表するスコアボードもある。「スコアボードで下位になりたくないという気持ちが、やる気をかき立てるようだ」(ハイネマイヤー氏)
管理者はPedalCoachから燃料データを入手して、効率のよい運転ルートの検証と計画に役立てることができる。VerihaはPedalCoachを使い、有料道路と一般道で運転実験をして、燃費に悪影響を与える渋滞が多いのはどちらのルートかを調べた。
ハイネマイヤー氏は、トラック輸送テクノロジーが進み、より多くのドライバーが私物のモバイルデバイスを業務に使えるようになることを期待している。現時点では、運転中に大量のモバイルデータ通信が必要で通信料が掛かるので、ほとんどのドライバーは自分の端末を使おうとしないという。
「ドライバーがトラックを降りてからもさまざまなデータを確認できれば大いに役に立つ。とてもパワフルなツールだから、データプランに関係なく自分の端末を使える方がいい。いずれはそうなることを待ち望んでいる」。ハイネマイヤー氏はこう期待を込める。
モバイルデバイス技術がさらに進歩すれば、業務アプリやプロセスのモバイル化に取り組む企業は増えるだろう。果実栽培でも教育でもトラックの運転でも、ユーザーの使いやすさを重視することがカギになる。状況に応じたデータを活用する職務別機能を備えれば、モバイルアプリはビジネスゴールの達成と従業員の生産性向上に役立つはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
8
テレワークやBYODでリスクが拡大、デバイスの多様化を弱点としない管理方法とは
-
9
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
10
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
4
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
SASE選定は「見極め力」で大きな差――本当に必要な製品を選ぶための6つの視点
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
9
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー