ルールを破らずセキュリティを死守してアプリ開発
モバイル活用企業が挑む、デスクトップPCとは異なる“5つの難問”
企業のモバイル活用はIT管理者に新たな課題を突き付けている。コンプライアンスやセキュリティ、アプリ開発など代表的な5つの課題と、その対処方法を紹介する。
企業のモバイル活用がもたらす課題はIT管理のあり方を大きく変えた。IT管理者は想定外の事態に備えて慎重にならざるを得なくなっている。
企業のモバイル活用は、デスクトップPCが唯一のデバイスだった時代には考えられなかった概念をもたらしている。かつてデスクトップPCは移動せず、いついかなるときも離れた場所から会社のデータにアクセスすることはなかった。簡単にいってしまえば、デスクトップPCの制御は容易だった。
現在のIT管理者は、データを保護する方法を特定して、規制を順守する必要がある。一方で開発者は、従業員の求めるモバイルアプリを開発しなければならない。
効果的なモバイルアプリ戦略を立てる
IT管理者は、モバイルアプリがビジネスに恩恵をもたらすような“モバイル戦略”を立てる必要がある。そのためには、モバイル戦略の目標を設定することと、企業のビジネス目標全般を達成するアプリを整理し、それを網羅するポートフォリオの作成が欠かせない。こうすれば、最大の価値をもたらす戦略とは何なのか、IT管理者は判断できるようになる。
次に、開発者がモバイルアプリを社内で開発する予定なら、使用する全てのツールを標準化するために、ニーズに合っている普遍的な開発ツールを見つけなければならない。そうすればチームの全メンバーが1回だけツールの使い方を覚えれば済むので、サポート、トレーニング、アップデートが非常に簡単になる。必要な全てのモバイルアプリを開発するには人員が足りないと感じるなら、開発者を追加で雇用するか、外部の開発者に頼るとよい。
それから、モバイルアプリの開発と社内におけるアプリの使用方法に関するルールに一貫性を持たせるために、開発者がガバナンスと標準の定義を確立する必要がある。一連の標準があれば、開発者は安全なアプリの提供とアプリのパフォーマンス計測をより一貫した方法で実施できるようになる。
モバイルアプリ開発を簡略化する
モバイルアプリ開発は容易でない。人材不足が原因で効率的に開発できない企業もある。企業のモバイル活用において重要なジャンルの1つで、アプリ開発に関連するのが「モバイルアプリ開発プラットフォーム」(MADP)だ。MADPを使うと開発プロセス全体がシンプルになるので、経験の浅い開発者でもモバイルアプリを作成できる。MADPはモバイルアプリを簡単に開発できるようにするために、あまりコーディングを必要とせず、テンプレートやドラッグアンドドロップ機能を搭載していることが多い。
MADPプロバイダーを選ぶ前に、開発者が留意すべき注意事項が幾つかある。まず、全てのアプリとOSで一貫した操作性を提供するために、共通の開発標準があることとサードパーティーアプリのスクリプトライブラリにアクセスできることを確認してほしい。また、開発者はアプリのライフサイクル全体を完全に制御できなくてはならない。セキュリティの観点から考えると、次の点について開発者が知っておくことは重要だ。
- MADPがID管理をサポートしているか
- どの種類の暗号化に対応しているのか
- 暗号化キーをどこに保存するのか
- アプリのセキュリティを既存のシステムとどのように統合するのか
モバイルデータの安全を死守する
企業のデータを暗号化してモバイルデバイスの私的な領域から分離する「セキュアコンテナ」は、データ損失の防止に大きく貢献している。またセキュアコンテナがあれば、IT管理者がデータを細かく制御してデータの転送、印刷、コピー、貼り付けを制限できる。それから、ユーザーがコンテナ外にデータを転送しないようにすることも可能だ。
ただし、セキュアコンテナだけがあれば良いわけではない。IT管理者はユーザーのOSがセキュリティ侵害を受けていないことを確認するためのステップを踏む必要がある。
デバイス紛失とマルウェアから保護する
ユーザーが紛失したスマートフォンやタブレットから企業のデータに侵入することはハッカーにとって造作もないことだ。この脅威に対抗するために、Googleの「Android」デバイスには保存データの暗号化機能、Appleの「iOS」には管理者がデバイスのアクティベーションを防ぐことができる「キルスイッチ」が導入されている。
モバイルアプリには、必要のないデータが収集されているものもある。中にはデバイスID、位置情報、連絡先などを取得するアドウェア(広告を目的としたマルウェアの一種)も存在する。また、このようなアドウェアはデバイスに対して、個人情報を流出させるHTTPリクエストを実行する可能性もある。自動同期機能を搭載したアプリは、ユーザーやIT部門のあずかり知らないところでパブリッククラウドに個人情報を送信するかもしれない。最適な対策は、未承認のアプリストアからアプリをダウンロードさせないことだ。またIT管理者が、アプリについて他の企業で問題事例がないかどうか調査するのも良いだろう。
モバイル端末を狙うマルウェアはAndroidに限らず全てのOSにとって脅威となる。Appleの「App Store」を回避する「surveillanceware」などの脅威はAppleの「iPhone」や「iPad」でよく見られる。また、IT管理者はデバイスのJailbreak/root化を禁止しなければならない。Jailbreak/root化されたデバイスでは、どのような場所からでもアプリをインストールできてしまうためだ。
常に規制を順守する
国や州が定める規制に会社が違反しないよう、IT管理者はデータストレージとデータ処理を保護しなければならない。
規制順守が必要な項目は多数ある。パスワード、アドレス、社会保障番号(米国における納税者番号)などの個人情報はその一部になる。IT部門がネットワークの全てのデバイスを一つ一つ追跡したり、会社所有のデバイスと個人所有のデバイスを判別したりするのは難しい。そのため、モバイルデバイスで個人情報を保護するのは骨が折れる作業だ。故に、管理者は個人情報が保存されているデバイスの存在すら把握していない場合がある。この問題を軽減するには、パスワードを必須にしたり、最新のパッチを適用したり、IT部門/コンプライアンスの責任者と内部監査者の間でコミュニケーションを取ったりすることを推奨する。
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